TSMCを30年追跡したアナリストが明かす 創業者・張忠謀氏の軌跡

TSMCの創業者・張忠謀氏(左)が新刊発表会を開催し、産業界の著名人が集結した。(撮影:蔡親傑)
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台湾の「国家守護の聖山」、半導体製造受託のトップ企業TSMCの創業者・張忠謀氏は9日、自伝の新刊発表会を開催。産業界の重鎮である現TSMC会長の魏哲家氏、クアンタ会長の林百里氏、そして前総統の蔡英文氏など多くの著名人が出席している。

半導体アナリスト コメント

陸行之氏は11日、フェイスブックで、TSMCを約30年間研究してきたアナリストとして、張忠謀氏の自伝下巻を読了後、張忠謀氏とTSMCが業界制覇と頂点到達前に遭遇した数々の障壁に非常に驚いたと指摘。張忠謀氏は貢献した者も過ちを犯した者も、TSMCを去った全ての幹部に対して尊敬と感謝の念を抱いているという。陸氏の結論は「適切な上司、適切な上司の上司、適切な会社を見つけることが人生を良くする」というものである。

陸行之氏は、張忠謀氏とTSMCをより成長させ、強くした「訓練としての障壁」を列挙している。その中には張忠謀氏のテキサス・インスツルメンツ(TI)での経験が含まれており、これは後継者選びの重要性を示すもので、インテルはまさにその生きた例であるとしている。また、張忠謀氏が「ゼネラル・インスツルメント」を短期間で去ったことは、仕事を選ぶ際に会長や社長の方向性が自分と一致しているかを理解する必要性を浮き彫りにしているという。

さらに、当時の政務委員・李国鼎氏以外に、工業技術研究院董事長の徐修賢氏や行政院長の孫運璿氏らも、張忠謀氏を台湾に招き貢献してもらうよう最大限努力していたと感じると述べた。また、工業技術研究院の改革失敗と人間関係の不和は、高級公務員や公的機関の悪しき平等主義的慣習によるものではないかと指摘。もし張忠謀氏が工業技術研究院の改革に成功していれば、台湾の研究開発力と企業への技術移転の推進力は倍増していたかもしれない。陸行之氏は、張忠謀氏の経営理念として、汚職を絶対に許さない、社内での派閥や小集団の形成を許さない、社内政治を許さないという点を強調していたことを引用しつつ、近年これらの面で多少の悪化が感じられると指摘した。

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