日本、半導体供給網の“中核”目指す 石破内閣、台湾海峽危機に備えRapidusを巨額支援

日本の半導体新興企業Rapidusは、北海道に全自動化工場を建設。来年から2nmチップの試験生産を開始予定。(写真/公式サイトより)
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石破茂首相は東京で開催されたSemicon Japan 2024展示会において、半導体産業が国家経済に持つ重要性を強調、日本がグローバルな半導体サプライチェーンにおいて「中核的役割」を担う意向を表明した。これは、政府に対して産業全体と新興企業Rapidusへの投資拡大を求める業界からの要請に応えるものである。石破首相は、半導体産業を地域と日本経済の活性化に寄与する重要な鍵であり、極めて重要な開発目標であると位置付けている。

『日経アジア』の報道によると、石破首相は演説で台湾積体電路製造(TSMC)の九州熊本工場を例に挙げ、大規模プロジェクトが地域の中小企業による追加投資を促進する様子を説明。また首相は、政府が2030年度までに10兆円以上を国内の半導体およびAI産業の発展支援に投じる計画で、今後10年間で官民合わせて少なくとも50兆円の総投資額を呼び込むことを目標としている。

自民党の半導体戦略担当の甘利明議員も、政府がRapidusを継続的に支援し、TSMCと競争できる半導体メーカーへと成長させる方針を示しており、これがグローバルサプライチェーンのリスク低減に寄与すると述べた。「台湾海峽が混乱により封鎖された場合、半導体供給は途絶の危機に直面する」としている。

Rapidusとは

日本政府のRapidusに対する手厚い支援からは、「日の丸半導体」への意気込みが見て取れる。2022年に設立されたこの新会社は、トヨタ自動車、キオクシア、ソニーグループ、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行など8社の日本の大手企業から73億円の投資を受け、さらに政府から700億円の政策補助金を得ており、Rapidusをグローバル半導体サプライチェーンの重要な一翼とすることを目指している。

既存の資金に加え、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、日本政策投資銀行は2025年に250億円の追加投資を検討している。政府の1兆円規模の補助金と合わせ、Rapidusの東哲郎会長は、同社が2023年から北海道新千歳地区で建設を進めている生産ラインについて、2027年には先端半導体の量産開始を目指している。

しかし、この企業にとって半導体市場での地位確立に向けた最大の課題の一つが、巨額かつ底なしとも見える資金需要である。初期試算によると、Rapidusが量産体制を確立するには、少なくとも5兆円の投資が基盤整備に必要とされている。

半導体市場

半導体産業団体SEMIの予測によると、世界の半導体市場は2030年までに1兆ドル規模に達し、2023年から2030年までの年平均成長率(CAGR)は10%となる見込みである。サーバー、データセンター、メモリが最大の需要源となり、AI関連チップの需要も高水準を維持すると予想されている。

SEMIによると、日本の半導体設備投資額は2028年に186億ドルに達する見通しで、これは2024年の3倍に相当する。この投資の大部分はTSMCとRapidusの2社によるものとされ、両社は生産能力の拡大と技術向上に投資を行っており、さらなる海外投資家の関心と興味を引きつけることが期待されている。

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