トランプ政権、台湾を「戦略的重要性は低下」と判断か 日本・韓国重視の第一列島線新戦略

郭正亮は、米国が第一列島線の戦略的配置を調整しており、台湾が誇りにしてきた戦略的地位は優先されなくなる可能性があり、今後の軍事支援は直接介入ではなく、訓練と防衛に重点を置くと述べた。(資料写真、AP通信)

ドナルド・トランプ(Donald Trump)米国大統領が二期目に就任し、世界情勢に大きな変化をもたらしています。台湾の元立法委員である郭正亮氏は、番組「亮劍台灣」で、台湾が誇りにしてきた第一列島線における立場が変化しつつあると指摘しました。今後は日本、韓国、フィリピンなどが重視され、台湾はもはや「列島線優先」ではなくなる恐れがあるとのことです。

郭氏によれば、トランプ大統領就任後、第一列島線の変化が見られるようになりました。過去には台湾は重要な地理的位置を占める国と見なされていましたが、現在ではアジアの鍵となる国は中国、日本、インド、韓国であり、台湾が含まれなくても、アメリカはアジアでの力の均衡を維持できるとしています。

郭氏は「アメリカが台湾を支援するかどうかは、アジアの軍事バランスとは関係ありません」と述べました。また、中国の軍事力はこの10年で発展してきたと指摘し、「現在、中国は長距離無人機を持っているだけでなく、戦略爆撃機や軍艦も保有しており、補給艦と共にオーストラリア周辺まで8000キロ以上航行できます。これは第三列島線の外側にあたります。さらに核ミサイルを発射できる原子力潜水艦も保有しています。このような状況で、アメリカが台湾を掌握したとしても、第一列島線の軍事バランスのどこが変わるのでしょうか」と疑問を呈しました。

従来の見方では、日本や韓国へのアクセスには台湾海峡を通過する必要があるため、台湾は極めて重要とされてきました。しかし郭氏は「本当にそうでしょうか?もし中国が日本と韓国への人員の封鎖を実行しようとした場合、台湾はその封鎖を解除できるのでしょうか」と問いかけました。

郭氏はさらに、封鎖に直面した場合、台湾は自国の状況を解決することさえ困難であり、日本や韓国を支援することはさらに難しいと指摘しました。ただし、中国が日韓への補給線を封鎖すれば、北京、天津から山東、さらには南部の浙江、江蘇など、中国自身の運輸も同様に封鎖されることになるため、そのような状況は実際には起こり得ないとの見解を示しました。

今後のアメリカの日本、フィリピンへの関与の程度について、郭氏は、アメリカが「アメリカ・ファースト」と「孤立主義」の姿勢を取っているものの、第一列島線の軍事には引き続き関与するだろうと述べました。「今後はリスクの低い国々への支援を選択する可能性があります。将来的には、アメリカ、日本、韓国、フィリピンの合同軍事演習がますます増えるでしょう。しかし、これが台湾のためだと勘違いしないでください。これは第一列島線の防衛のためなのです」と郭氏は強調しました。

台湾の将来の情勢に関して、郭氏はアメリカのメディアの見解として、アメリカ政府は直接的な軍事介入ではなく、台湾の軍事訓練への間接的な支援や、国防予算の増額、軍人訓練の改善、徴兵期間の延長などを台湾に促す方針だと述べました。また、アメリカは台湾への依存度を下げ、台湾積体電路製造(TSMC)の重要技術やサプライチェーンをアメリカに移転させ、中国の手に落ちるのを防ぐことを目指しているとのことです。軍事援助に関しては、挑発行為を減らし、堅実な「一つの中国政策」へ回帰するため、攻撃的な大型装備の提供は行わない方針だと指摘しました。

台湾ニュースをもっと深く:風傳媒日本語版Xをフォロー👉 @stormmedia_jp