フィリピン政界に激震!ドゥテルテ前大統領をマニラ空港で逮捕 ― 麻薬撲滅作戦での「無差別殺人」容疑

フィリピンの強硬派前大統領ドゥテルテ。(AP通信)

フィリピン前大統領ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏が、マニラ国際空港で国際刑事裁判所(ICC)が発行した逮捕状により拘束されたことが報じられています。ドゥテルテ氏は人道に対する罪の容疑で逮捕されました。外国メディアによりますと、フィリピン警察はICCの命令に基づいて前大統領を逮捕したと発表しています。ドゥテルテ氏は大統領時代に国内で実施した大規模な麻薬取締作戦で、多くの容疑者が法的手続きを経ない処刑や殺害の被害に遭ったとされる容疑で起訴されています。この事件はフィリピン国内外のメディアから大きな注目を集め、結果としてドゥテルテ氏への捜査に発展しました。​

AP通信の報道によりますと、マニラ国際空港で逮捕されたドゥテルテ氏は、香港での在外フィリピン人コミュニティのイベントから帰国したところでした。この強硬派の前大統領は以前、自分は国際手配や逮捕を恐れていないと公言していましたが、予想に反して11日に逮捕されました。フェルディナンド・マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)現大統領府は声明で「前大統領が空港に到着後、検事総長がICCの逮捕状を本人に手渡し、現在彼(ドゥテルテ氏)は拘留中です」と発表しています。

市長時代から物議を醸してきたドゥテルテ氏の公然たる逮捕は、フィリピン社会全体に衝撃を与えました。支持者や議員たちは、政府が憲法で保障された権利を侵害していると強く反対しています。一方、被害者の家族たちは感動の涙を流し、「ついに正義がやってきた」と叫んでいます。

菲律賓警察在馬尼拉機場大廳等待杜特蒂。(美聯社)
フィリピン警察がマニラ空港ロビーでドゥテルテ氏を待機。(AP通信)

報道によりますと、ICCによるドゥテルテ氏への捜査は、彼が大統領だった期間だけでなく、ダバオ(Davao)市長時代(2011年11月1日)から始まり、フィリピンが2019年3月16日に「ローマ規程」(Rome Statute)から脱退するまで続いていました。ドゥテルテ氏は2019年の在任中、ICCによる捜査を回避するためにフィリピンの一方的な脱退を宣言しました。しかしICCは、フィリピン国内では麻薬取締作戦中の殺害事件が十分に調査されていないと判断し、2023年に独自調査を再開することを決めました。 (関連記事: 台湾女性「新千歳空港保安検査員に胸を触られる」被害! 容疑者逮捕…「触ったか覚えていない」と弁明 関連記事をもっと読む

物議を醸すこの指導者の経歴を振り返ると、ドゥテルテ氏は南部の大都市ダバオで台頭し、22年間市長を務め、この都市をフィリピンで街頭犯罪率が最も低い地域の一つにすることに成功しました。彼はダバオ市の治安のイメージを利用して、発言力のある反体制的な政治家として自らを位置づけ、2016年の選挙で圧倒的な勝利を収めました。就任後、ドゥテルテ氏は過激な手法を続け、治安部隊を扇動し私的な勢力も容認して、麻薬犯罪の容疑者を直接殺害させました。彼の麻薬取締作戦の期間中、6000人以上の容疑者が警察や正体不明の人物によって射殺されましたが、人権団体の調査では実際の死者数はさらに多い可能性があると指摘されています。

大批菲律賓僑胞在香港街頭等待杜特蒂到來。(美聯社)
多くのフィリピン在外同胞が香港の街頭でドゥテルテ氏の到着を待つ。(AP通信)