「防衛産業参入促進展2024」が今月13・14日に東京で開催、『風傳媒』の現地取材では多くの台湾人が参加している様子が伺えた。同時に台湾企業も日本のパートナーを通じて出展しており、現場の看板やチラシには「台湾の会社」という大きな文字が見られた。日本ではELSA Japanの協力パートナーである台湾の洞見未来テクノロジー社が、今回の展示会に銃照準器や暗視鏡を出展。現在すでに複数の台湾企業が使用を検討しており、同社は「非レッドサプライチェーン」のメンバーで、設計から生産まですべて「MIT(Made in Taiwan)」となっている。
日本の軍は中国関連製品の使用を直接制限していないが、近年、日本政府は特にハイテク分野で中国への依存度を下げるための様々な措置を講じている。2023年3月31日、日本政府は高性能半導体製造装置など23品目を輸出管理対象に含めると発表し、これらの商品の中国への輸出が困難になることを意味している。さらに、日本政府は2023年7月29日に承認した「防衛白書」で中国を日本にとって「前例のない最大の戦略的挑戦」と位置づけた。企業レベルでも、日本企業は政府の政策に積極的に応じ、中国のテクノロジー製品への依存を減らしている。
高度なヘッドマウントディスプレイ 主に没入型シミュレーション訓練・設計分野で活用 ELSA Japan技術部は同社が開発したヘッドマウントディスプレイ(HMD)を紹介した。その主な特徴は非常に高いピクセル密度を持ち、鮮明な画像表示を提供できることだ。高解像度を持つため、この装置は日本では主に没入型シミュレーション訓練や設計分野に応用され、様々なシステムと統合して使用できる。このHMDはCG(コンピュータ生成画像)データを実際の映像に重ねて拡張表示することができ、火災現場や人命救助などのシナリオに適している。デモンストレーションでは、装置がCGシミュレーション車両を正確に表示し、映像がクリアで実際の画面とシームレスに融合することを確認した。
暗い環境での使用について、ELSA Japan技術部は安定した動作を確保するために外部センサーとの併用を推奨しており、そうでなければ環境光の影響を受ける可能性があると述べた。また、装置の焦点距離の最適範囲は80cm以内で、この距離内では画質が最も鮮明だが、それを超えると画像が若干ぼやける可能性がある。同社は日本の防衛省との協力に意欲を示し、国防展に参加して技術力をアピールする計画も明かした。
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「台湾の会社」が日本側のパートナーに 暗視鏡・銃照準器の特徴を一挙公開 日本ではELSA Japanの協力パートナーである台湾の洞見未来テクノロジー社が商品販売を支援している。同社は『風傳媒』のインタビューに応じ、開発した銃照準器は軍事と民間の二重用途を持ち、銃の照準装置として機能し、夜間モードでも使用できると説明した。この装置はピカティニーレール(Picatinny Rail)に取り付け可能で、異なる倍率(1倍、2倍、8倍など)をサポートし、表示色も調整可能。さらに、IVAS暗視鏡は熱画像センサーを搭載しており、完全な暗闇でも熱源を検知し、ターゲットをロックすることができる。また、現在台湾企業が購入を検討中だという。
ELSA Japanの銃照準器と暗視鏡は台湾企業と共同開発されたもので、その製品の特徴は完全な暗闇(ゼロ照明環境)でも熱源を検知し、目標をロックできる点にある。(撮影:黄信維)
今回の展示会参加について同社は、IVAS暗視鏡の日本市場での販売も期待しており、防災関連機関とのさらなる協力も検討していると述べた。また、同社は次世代製品の開発も進めており、より軽量な銃照準器を頭部装着式に変更し、ヘルメットやハンドヘルド装置に適応させ、Wi-Fi機能を統合して戦術ネットワークシステムに接続し、戦場での情報伝送能力を向上させる予定だ。今後も同社は研究開発に継続的に投資し、個人戦闘装備により適した先進的な暗視・照準装置を提供する。また、同社は「非レッドサプライチェーン」の重要なテクノロジー企業であり、研究開発、設計、材料、製品、生産など全て台湾で行っている。
飛行無人機の開発 日本企業が特に強調する利点は「MIJ」 KAAZ株式会社によると、同社は現在2行程ガソリンエンジンを搭載した飛行無人機(UAV)を開発中だ。このUAVのエンジン出力は約2kWで、8200rpmで動作し、最大飛行時間は14時間、飛行高度は1万フィート(約3000メートル)に達することができ、翼の展開幅は約3.1メートルとなっている。このUAVは主に情報収集や警戒監視などの任務に使用され、防衛用途への導入も計画されている。KAAZ株式会社は米国のSwift Engineeringと提携し、このUAVに搭載されるエンジンの生産を担当している。
KAAZ株式会社が製造した次世代無人機。(撮影:黄信維)
『風傳媒』が同社製品の最大の利点と特徴について質問したところ、KAAZ株式会社は「日本製」のエンジンが同製品の最大の特徴であり、同社の技術的優位性を示していると指摘した。現在、このUAVはまだ開発段階にあり、実際の納入記録はなく、次世代無人機に属する。発射方式については、現在はカタパルト発射(Catapult Launch)方式を採用しているが、将来的にはVTOL(垂直離着陸)タイプに変更する計画だ。
最新無人機技術の展示 将来は戦闘ヘリコプターと編隊を組んで敵に対抗 SkyLink Technologies株式会社は今回の展示会で、最新開発の無人機と関連技術を展示し、『風傳媒』のインタビューで機体の性能と応用について紹介した。この無人機の最大の特徴は「チルトウィング」技術を採用していることで、調整可能なプロペラと翼により垂直離着陸(VTOL)を実現しながら、固定翼機並みの高速・長距離飛行能力を備えている。現在、同社はこの無人機の実験機を開発中で、さらに小型無人機の展開も計画している。
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SkyLink Technologies株式会社の説明によると、この機体は時速230km、260km、330kmの3つの速度モードを持ち、航続距離はそれぞれ600km、720km、1000kmに達する。このような速度と航続距離により、無人機は有人ヘリコプターと協調してミッションを実行でき、国防応用において高い柔軟性を発揮する。この無人機の作戦コンセプトは戦闘機と無人機の協調作戦モードに類似しているが、ヘリコプター領域に応用される。具体的には、有人ヘリコプターが後方で指揮を執り、無人機が先に前線に飛行して偵察、監視、さらには攻撃任務を実行することができる。
SkyLink Technologies株式会社が最新開発した無人機。(撮影:黄信維)
防空兵器技術の発展に伴い、このタイプの無人機は先行偵察を行い、ヘリコプターがより安全な状況で作戦行動を実行できるようにする。また、この機体は海上作戦にも応用でき、ヘリコプターや軍艦と協調して運用される。例えば、水平線の外側で接近するミサイルを検知し、即座に軍艦に情報を送信したり、ホバリング能力を利用して潜水艦の捜索任務を実行したりすることができる。救助活動においては、味方の航空機が撃墜された場合、この無人機をパイロットの位置の検索に使用し、ヘリコプターと協力してより安全かつ迅速に救助を行うことができる。この機体の最大の特徴は、ヘリコプターと共同作戦ができることで、無人機の戦術応用範囲を拡大する。
将来の開発方向性について同社は、現在の無人機技術が段階的にアップグレードされており、最終目標は6人を搭載できる有人飛行機を「先進航空移動手段」(Advanced Air Mobility, AAM)として開発することだと述べた。この機体はより高速で長距離飛行能力を持ち、目標航続距離は1400km、速度は時速650kmになる予定だ。現在このプロジェクトはまだ開発段階にあり、2037年の商業化を目指している。有人機は「型式認証」(Type Certification, TC)の取得が必要なため、開発期間は比較的長くなる。それまでに同社は中型無人機を先に発売し、上位バージョンとして技術成熟度を段階的に高めていく。このプロジェクトの推進により、現段階の無人機開発から将来の有人機へと徐々に移行し、航空モビリティ技術の全面的なアップグレードを実現する。
専門的なデータ複製・削除の大手メーカー 米国防総省優先サプライヤーが日本市場への参入を試みる U-Reach Data Solutions Inc.は今回の展示会でHumanskyコンプレッサーシステム(Compressor System)を紹介した。この装置は基本的なデータ圧縮機能に加え、データ削除処理能力も備えている。電子システムと比較して、この装置の特徴は高性能処理にあり、単一ソースから目標データを迅速に処理でき、独立して動作することができる。Humanskyコンプレッサーは、M.2インターフェース、SATA(Serial ATA)ストレージデバイス、U.2/U.3 NVMeインターフェース、およびその他の特殊なインターフェースなど、多種類のストレージデバイスに適応でき、柔軟な接続ソリューションを提供する。
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この装置は電子インターフェースに依存しないため、クローズドシステムに特に適しており、安全性を確保し、ウイルス攻撃の影響を受けず、軍事・政府機関の高保護装置に対する要求を満たしている。同社は現在、米国国防総省(DoD)の優先サプライヤー(Preferred Vendor)であり、米国政府および複数の軍事産業分野と協力して対応する装置を提供している。また、欧州の政府機関もこのタイプの装置に対する保護要件を出しており、国際市場での応用の優位性を示している。日本市場に関しては、米国の軍事・政府機関との協力経験に基づき、同社は今回の展示会を通じて日本の防衛省との連携を構築し、製品を推進して将来の協力機会を拡大したいと考えている。
ロケット発射「気球運搬」の新技術 三つの大きな特徴がある AstroX株式会社は今回の展示会で人工衛星輸送技術を紹介し、同社が現在気球運搬型ロケット(Rockoon)の開発に取り組んでいることを強調した。この技術はSpaceXのFalcon 9や日本のH3ロケットと同じカテゴリーに属するが、異なる発射方式を採用している。AstroXが採用する大型気球運搬方式は、ロケットを約20km上空まで運び、ほとんど空気抵抗のない条件下で発射することで、燃料消費を減らし発射コストを削減できる。ロケットが予定の高度に達すると、姿勢制御装置が発射角度を調整し、ロケットが軌道に正確に進入して衛星の展開を完了できるようにする。
AstroX株式会社は気球運搬型ロケットの開発に取り組んでいる。(撮影:黄信維)
従来の地上発射ロケットと比較して、この技術は発射効率を向上させ、環境への影響も軽減する。現在、AstroXは基礎技術を検証するための発射実験を行っている。テスト内容には、気球を使用してロケットを20km上空まで運び、その高度で発射することが含まれる。開発過程における三大技術ポイントは、ロケット本体の改良、運搬用気球の強化、および姿勢制御装置の調整であり、ロケットが予定軌道に正確に進入できるようにすることだ。この技術の利点は、高い発射頻度、迅速な対応発射、および柔軟な発射場所にある。現在、日本の大型ロケットは年間2〜3回しか発射できないが、この技術では年間50回の発射が見込まれている。
さらに、従来のロケットの発射準備時間は通常1〜2ヶ月必要だが、AstroXの技術は人工衛星を受け取った後、最短で数日以内に発射を完了することができる。発射場所については、H3ロケットが種子島からしか発射できないのに対し、AstroXのRockoon技術はニーズに応じて北海道、福島、東京、さらには海上での発射も可能で、より柔軟な発射ソリューションを提供する。同社は今回の展示会を通じて日本の防衛関連機関との協力関係を構築することを望んでおり、この技術が緊急衛星発射、災害対応、および軍事応用における潜在的価値を強調している。適切な条件下では、この技術は危機発生後に迅速に人工衛星を発射し、リアルタイムの監視と対応を支援することができる。今後も同社はこの技術の発展と実用化を継続的に推進していく。