日本政府防衛省の外局である防衛装備庁(国防部軍備局に相当)が主催する「防衛産業参入促進展2024」が3月13日・14日に東京市谷のグランドヒル市谷ホテルで開催された。これは2024年に名古屋、東京に続く3回目の開催となる。オープニングでは、日本の防衛大臣補佐官である若宮健嗣氏が挨拶し、日本の現在の安全保障環境は戦後最も厳しく複雑な状況に直面しており、国民の生命と生活を確保するため、政府は積極的に防衛力の強化を推進していると述べた。
防衛装備庁は、防衛生産・技術基盤の維持と強化のため、優れた技術、製品、価格競争力を持つ中小企業(スタートアップ、新興企業を含む)の防衛産業への参入を積極的に推進している。今回の展示会の目的は、潜在力のある中小企業を発掘し、防衛関連企業、防衛省、自衛隊とのマッチングの機会を提供し、これらの企業の防衛産業への参入を促進することである。会場はいくつかのエリアに分かれており、出展者・参加者のみが参加できる講演ホール(録音・録画は完全に禁止され、メディアは参加不可)や、メインイベントの関連メーカー展示ホールなどがあった。会場では軍服を着た防衛省の幹部が行き交い、メーカーとコミュニケーションを取る様子も見られた。
防衛省・自衛隊と防衛関連企業の協力を促進 防衛装備庁が展示会で連携
若宮防衛大臣は、防衛生産技術基盤が装備品の安定供給、技術革新、価格調整にとって極めて重要であり、それ自体が防衛能力の一部であると指摘した。自衛隊の任務需要の変化に伴い、国内生産基盤の維持・強化の必要性がますます高まっており、サプライチェーンの強靭性とセンシング技術の発展が国防産業の競争力を確保する鍵であるとした。防衛省・自衛隊と防衛関連企業の協力を促進するため、この展示会は2016年から毎年開催されており、昨年12月に開催された展示会では応募企業数が予想を大幅に上回り、当初の出展枠を超えたため、防衛省は産業界のニーズを満たすために今回の展示会を追加開催することを決定した。
防衛省との協力について、若宮氏は今回の展示会が第24回目で、425の企業・団体が出展していると説明した。今回出展している40社はいずれも将来の防衛装備品への応用が期待される技術・製品を持ち、防衛産業市場への参入を積極的に模索している。このような展示会を通じて、防衛省は企業が防衛関連機関との協力関係を構築し、防衛装備品の製造・維持能力を高め、技術的優位性を確保し、サプライチェーンの安全性を強化することを期待している。防衛産業は国防責任を共に担う重要なパートナーであり、防衛省は政府と民間の協力を継続的に推進し、強靭で持続可能な防衛産業の構築に取り組んでおり、各界の支援を求めているとした。
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防火材料メーカー 救助活動での安全確保を考える
会場では様々な特色を持つ多くの出展メーカーが見られた。昭和7年(1932年)に創立された林撚糸株式会社は、長年撚糸技術の開発・応用に取り組み、耐熱製品の生産に注力しており、主に自動車産業や火災現場などの高温環境における防護装備を供給している。今回の展示会に参加し、『風傳媒』の取材に応じた林撚糸株式会社は、主に耐熱製品を製造しており、これらの製品は主に自動車産業や火災現場などの高温環境で使用されていると説明した。例えば、同社が生産する手袋や防護服は、火花や高温から人体を保護し、約1300度の高温に耐えることができるという。
同社はサンプルを示して説明した。一般的に、バーナーの炎の温度は約1300度だが、直接炙っても、これらの製品は完全な状態を保ち、表面に焦げ目がつく程度で、焼け穴や破れは生じないという。高い耐熱性と強度を備え、安定した保護を提供できる。現在、このような製品は主に高温作業に従事する企業、例えば溶接工場、製鉄所、金属加工業などが購入している。防衛省との協力の可能性について質問されると、同社は例として、火災現場や緊急救助活動において、このような防護装備は良好な保護を提供できると述べた。例えば、地震発生後の救助活動や関連訓練では、安全を確保するためにこのような製品が必要になる可能性があるという。
「大型船」のみ適用可能な状態を変える 企業が落水位置特定装置を開発
OCEAN SOLUTION TECHNOLOGY CO.,LTDは今回の展示会で、船舶向けに設計された2つの装置を紹介した。Triton(トリトン)ボックスは船舶に設置される装置で、船の航跡や動きの軌跡を追跡し、船舶の行動パターンを分析できる。もう一つの製品であるRescue(レスキュー)は救助活動専用で、落水者がいる場合、ボタンを押すとこの装置がTritonボックスと通信し、画面に落水者の正確な位置を表示して救助を支援する。この装置が水面に浮いている場合は、正常に無線信号を送信して位置情報を提供できるが、海底に沈むと信号が伝送できなくなり、機能に影響を与えるという。
しかし、『風傳媒』のインタビューに応じた際、現在この装置はまだ開発段階にあり、10月に正式に発売される予定だと述べた。将来の応用について同社は、現在主に複数の企業と協力して製品開発を推進しており、特定の企業が技術を独占的に買収する計画はなく、協力開発モデルを採用して市場応用を拡大していると述べた。OCEAN SOLUTION TECHNOLOGY CO.,LTDは展示会で、この装置を通じて日本の防衛省との協力関係を構築したいと表明した。
この装置の市場潜在力は広範囲にわたる。現在、大型船舶にはこのような装置の設置が義務付けられているが、既存製品は価格が高く、中小型船舶の使用が制限されている。そのため、同社は小型化・低コスト版を開発し、中小型船舶でも手頃な価格で利用できるようにし、全体の安全性を高める計画だ。現在市場にある類似装置は大型船舶向けが多く、サイズが大きく価格も高いため、適用範囲が限られている。OCEAN SOLUTION TECHNOLOGY CO.,LTDは、同社の製品が小型・中型船舶向けに特別に設計されており、より低コストで同じ安全機能を提供し、より多くの船舶が恩恵を受けられるよう装置のアクセシビリティを向上させることを目指していると強調した。
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模型製作を専門とし 防衛省とのさらなる協力を期待
株式会社Takayanagiは今回の展示会で模型製作事業を紹介した。同社は展示モデル(モックアップ)の製作を専門とし、顧客の要望に応じて縮尺モデルを提供している。今回展示された製品は1/3スケールの展示モデルで、原物のサイズと重量が大きいため、顧客の要望に基づいて展示会での展示用に製作されたものである。同社によると、このモデルは開発中の製品ではなく、既存の装備に基づいて製作された展示モデルで、主に展示会での展示を目的としているという。

株式会社Takayanagiは展示モデルの製作を専門としている。(撮影:黄信維)
具体的な顧客や協力企業については、同社は機密保持の観点から関連情報を開示できないとし、多くの業務が研究開発段階の製作に関わっており、一部の製品はまだ公開されていないため、具体的なプロジェクト内容を提供できないと強調した。今後の展開について同社は、今回の展示会を通じて政府機関や企業との協力関係を構築し、事業範囲を拡大したいと考えている。また、将来的に日本の防衛省との協力の可能性に期待を表明し、この機会を通じてより多くの模型製作の注文を獲得し、市場をさらに拡大したいと述べた。
AIソリューションに特化 工場、製造業、さらには人命救助にも活用可能
株式会社Spakonaは今回の展示会で、AI内蔵のソフトウェア技術を紹介した。この技術はさまざまな産業ニーズに応用でき、技術的ソリューションを提供する。この技術はトヨタ自動車などの企業に採用されており、カメラを通じてリアルタイムに工場内でロボットアームの作業範囲に人が入っているかどうかを検出し、工場が人による監視なしに自動的に安全モニタリングを行えるようにしている。さらに、このAIシステムは工場事故の検出にも使用でき、火災や人身事故が発生した場合、システムは被害者の位置を自動的に特定することができる。コンサルティングから機器選定まで、Spakonaは包括的なAI分析技術とアプリケーションソリューションを提供し、技術導入を全面的にサポートできる。

株式会社Spakonaは今回の展示会でAI内蔵のソフトウェア技術を紹介した。(撮影:黄信維)
『風傳媒』のインタビューに応じた同社は、現在この技術は主に製造業に応用されているが、食品産業など他の分野にも拡張可能だと述べた。例えば、食品包装検査では、AIが「正常な状態」を学習し、異常を検出すると自動的にアラームを発する。例えば、カプセル包装が破損した場合、システムは即座に識別し、製品品質を確保できる。同社は会場でAIシステムの検出能力を実演し、システムが人物の輪郭を識別し、顔、体、手などの領域に細分化して特定の行動パターンを識別できることを示した。例えば、工場内で作業員が安全ヘルメットを着用しているかどうかを確認したり、白い手袋を着用している作業員の数を集計したりすることができる。
しかし、具体的な応用方法は顧客のニーズに応じて設定でき、柔軟なAI検出ソリューションを提供できる。市場開発について、Spakonaは他のAIソフトウェア企業と比較して、より強力なコンサルティング能力を持ち、技術を迅速に開発・応用して、顧客が使用可能なソリューションを迅速に得られるようにしていると述べた。設立から5年間で、この技術は多くの大企業(自動車メーカーなど)に採用されており、大企業よりもコスト効率の高いAIソリューションを提供している。同社は防衛・産業AI分野での技術に高い市場需要があると考えており、今回の展示会を通じて協力の機会を拡大したいと考えている。