中国の統一戦線工作の脅威が増大!頼清徳総統、「軍事審判制度」の復活を発表 軍法官が第一線へ

総統賴清德は13日、「国家安全高層会議後の記者会見」に出席し、中国の台湾併合への野心は一日も変わっていないと指摘した。(柯承惠撮影)
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中国共産党による台湾への浸透工作が深刻化しています。先日、国民党の傅崐萁・立法院党団長が代表団を率いて香港を訪問し、「中央政府代表」を名乗ったことに加え、昨日には台湾空軍の管制官が雄三ミサイルや中国軍の台湾侵攻に対する迎撃戦略など、極めて機密性の高い情報を4年間にわたり漏洩していたことが発覚しました。こうした事例は、中国の台湾への浸透工作が一層深刻化していることを如実に示しています。こうした状況を受け、頼清徳総統は本日(13日)、国家安全保障に関する高官会議を開催し、「軍事審判制度」を復活させることを発表しました。

頼清徳総統は、「最近、多くの国民が同じ懸念を私に訴えてきた」と述べ、中国による影響が多方面に及んでいることを指摘しました。「現役および退役軍人が中国に買収され、情報を漏洩したり、武装組織を結成して台湾を攻撃しようとする動きがある。さらに、芸能界や文化界の一部では、個人の利益のために北京の指示に従い、『台湾は国ではない』と発言する人もいる」と強調。

また、中国の官製メディアが台湾社会の分断を煽る情報を発信し、それが特定のメディアを通じて素早く拡散される実態についても懸念を示しました。「中には、中国官製メディアの統一戦線プロパガンダ番組に協力し、『民主主義は無意味』『アメリカや台湾軍を疑え』というメッセージを広め、台湾社会の分断を助長している者もいる」と指摘。「国民の多くが、私たちの国家、民主主義、そして築き上げてきた繁栄が、こうした統一戦線工作によって少しずつ奪われていくことを危惧している」と述べました。

賴清德:中国の台湾社会に対する統一戦線工作と浸透が一層深刻化

頼総統は、中国戦略学者であるケリー・ガーシャネック(Kerry K. Gershaneck)氏の分析を引用し、「中国共産党は、台湾を分断し征服するために、サイバー戦・情報戦・法的戦略を駆使し、メディアの買収や心理戦、法律戦を展開している」と説明。中国の目的は、台湾社会に不和の種を撒き、内部対立に注力させることで、外部からの脅威を軽視させることにあるとしました。

頼清徳総統は「何十年もの間、中国の台湾併合と中華民国消滅への野心は一日たりとも変わっていません。文化的攻撃と軍事的威嚇を続けるだけでなく、台湾社会への統一戦線浸透もますます深刻化しています。2005年に中国が『反分裂国家法』を制定し、武力による台湾併合を国家任務としてから、昨年6月にはいわゆる『独立懲罰22条』を発表し、『台湾は中華人民共和国の一部である』と認めないすべての人を『懲戒』対象とし、台湾人民を傷つける口実としています。最近では国連総会決議2758号を独自の解釈で用いるなど、台湾の主権に対する中国の圧力がますます強まっていることが窺えます」と述べました。 (関連記事: 中国人配偶者YouTuberが「武力統一」発言で在留取消し 台湾内政部長「言論自由は統一工作の口実にならぬ」 関連記事をもっと読む

スパイ事件の起訴人数は3年で3倍に​

頼清徳総統によれば、この期間、中国は民主的な台湾の自由と多元的開放性を利用して、暴力団、メディア、コメンテーター、政党、さらには現役・退役軍人・警察官を吸収し、内部で分断・破壊・転覆活動を行ってきました。国家安全局の報告によると、昨年中国スパイ事件で起訴された人数は64人で、2021年の3倍に達しています。中でも統一促進党、復康連盟党、台湾軍政府などが中国のために反逆組織を発展させ、武装勢力を配置するケースは、民主的で自由な社会では信じがたいものですが、現在の台湾社会に確かに存在しています。