米国からの急務として、民進党政府は社会防衛レジリエンスに力を入れています。3月27日に台南で開催される「2025全社会防衛レジリエンス委員会実地訓練」には、頼清徳総統と蕭美琴副総統も出席し、その重要性を示しています。今後、形式的で市民に実感のなかった民間防衛訓練と万安演習は「都市レジリエンス」演習として統合され、民進党政府は「演習は『もう演じない』」と決定し、市民の力を引き出す方法を模索しています。
国家安全保障関係者によると、これまで各県市が持ち回りで行っていた民間防衛・万安演習(台湾で定期的に実施される民間防空訓練)は今後「都市レジリエンス」と呼ばれることになります。3月27日に台南で先導的・模範的な訓練が行われ、4月からは台中、台北を含む各県市で一連の演習が行われ、7月の漢光演習(台湾で毎年実施する大規模の軍事演習)と連携して続けられます。7月の都市レジリエンスと漢光演習では、互いに密接に関連するシナリオが使用されます。一方は民間の演習、もう一方は軍事訓練となりますが、民進党政府はどのような戦力調整を行っているのでしょうか。

軍人は戦闘に専念、都市レジリエンスは民間力で対応
別の国家安全保障関係者は「平時であれば、軍は民間の災害救助ニーズに全力で支援しますが、戦時の状況では『軍人には戦闘に専念してほしい』」と述べています。そのため、今回の都市レジリエンス演習では、軍備局から前進外科小組(FRSD, Forward Resuscitative and Surgical Detachment)を借りる以外に「できる限り軍の資源を使わない」という設計になっており、軍に演習に参加させないという訓練方法を取っています。
ある国家安全保障官は、今回の想定は「戦時」ではないものの「軍には軍の任務があることを前提としている」と説明し、そのような状況で民間社会が何をできるかを探るのが今回の訓練の趣旨だと述べています。同官は「921防災訓練では軍の役割がありましたが、今は方向転換しています。実際に災害が発生すると、地方が救助を要請すれば軍はすぐに支援しますが、将来、軍が本当に忙しい作戦任務があるとき、軍は支援できないので、民間に頼らなければなりません」と説明しています。国家安全保障関係者は、今回はそのために力を注いでいると述べています。簡単に言えば、戦時下では、軍は戦闘に専念し、平時のように観音菩薩のように至る所で救済活動を行うことはできなくなります。 (関連記事: 中国、台湾周辺で軍事演習を実施し中間線を越境 米国務省・国防総省が同時に中国を非難:露骨かつ無責任 | 関連記事をもっと読む )
国家安全保障関係者によると、現在の全社会防衛レジリエンスの最も核心的な概念は、非軍事部門と民間力が自主的な対応能力を持つことです。過去の戦争形態では「軍が民を管理する」と言われていましたが、現在の世界の先進国はもはやそのように考えておらず、真の危機の際に民間と国民、さらには非軍事部門が対応・反応する能力を持つことを考えています。重要なのは「軍+民」「全政府」の考え方です。今後の漢光演習では軍隊が戦闘に専念し、都市レジリエンスの部分は民間力で対応することになります。今回の訓練はそのような能力と準備を磨くためのものです。
