台湾国防部は最近、数十機の中国軍機が台湾海峡の中間線およびその延長線を越えたことを相次いで探知したと発表しました。これを受け、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は、中国人民解放軍が台湾周辺で演習を行ったことを認めました。米国防総省は19日、この軍事行動を「密接に注視している」とし、さらに米国務省も声明を発表し、中国は台湾に対して「露骨かつ無責任な」(brazen and irresponsible)な威嚇を行う一方で、「動揺する世界の安定勢力」だと主張しても、国際社会に信じてもらうことはできないと批判しました。米国は、台湾が中国の圧力に対抗するために支援を継続すると強調しました。
これまで米国は、中国の軍事演習に対し「密接に注視している」との表現を使うことが多かったですが、台湾包囲軍演のように情勢が深刻な場合には「深刻な懸念」を表明してきました。しかし、今回は「露骨」との強い言葉を用いたことは、より強い非難の意思を示しています。
台湾国防部は17日と18日、数十機の中国軍機が台湾海峡の中間線およびその延長線を越え、中国軍艦と連携して「合同戦備パトロール」を実施したことを確認しました。これを受け、中国国台弁は、解放軍が台湾周辺で軍事演習を行ったことを認め、「これは正当かつ必要な行動である」と主張しました。
米国防総省と国務省が中国軍の挑発を非難
中国軍が台湾周辺で再び軍事演習を行ったことについて、米国防総省の報道官は「台湾周辺の動きを密接に注視している」と述べました。
また、米国務省の報道官も「中国の軍事的、経済的、情報的、外交的な圧力に直面する台湾を米国は引き続き支援する」と強調しました。「我々は国際的なパートナーとともに、台湾海峡の平和と安定を堅持し、武力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」と述べました。さらに、「米国は台湾への確固たるコミットメントを継続する。この約束は45年間、歴代政権を通じて変わらない」と改めて強調しました。
台湾軍は即時戦備演習を実施、中国の軍事的圧力に対応
中国は近年、台湾周辺の海空域で「グレーゾーン戦術」による威嚇を強めており、「演習から実戦へ」とのシナリオも排除できない状況となっています。このため、台湾軍は17日から5日間の「即時戦備演習」を実施し、中国の軍事的挑発に備えています。演習初日には、中国軍が午前と午後に台湾を標的とした合同戦備パトロールを実施していたことが確認されました。
一方、中国国台弁の報道官である陳斌華氏は、「台湾周辺での演習は、頼清徳総統が台湾独立の主張を強め、両岸関係を悪化させていることに対する断固たる懲罰であり、外部勢力の干渉に対する厳しい警告である」と主張し、「国家主権を守り、台湾海峡の平和を維持するための正当かつ必要な行動だ」と述べました。
頼清徳総統、台湾の安全保障戦略を強化
頼清徳総統は13日、「統一戦線の浸透に対抗し、台湾併呑の試みに対処するための国家安全保障会議」を開催し、中国を「国外の敵対勢力」と位置付けました。そして、台湾が直面する安全保障上の脅威として5つの主要課題と17の対策(「頼17条」と呼ばれる)を発表し、軍事裁判制度の復活や、台湾人が中国の身分証を取得する際の審査・管理強化などの政策を打ち出しました。
外交部長・林佳龍、米国の支持に感謝し国際社会に警鐘を鳴らす
台湾外交部長の林佳龍氏は、米国の台湾支持に感謝の意を表し、「国際社会も中国の『泥棒が泥棒を捕まえろと叫ぶ』ような欺瞞的な手口を見抜き、その偽善的な本質を理解しています」と指摘しました。「各国が中国による台湾への圧力と一方的な地域の緊張のエスカレーションに警戒を強めることが重要です」と呼びかけました。
編集:梅木奈実 (関連記事: 中国の台湾侵攻リスクが倍増?元空軍将官が日本のミサイル配備に警鐘 | 関連記事をもっと読む )
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