「不登校」問題解決を目指し 日本の高校がメタバース課程導入、アバターで授業参加が可能に

日本外国特派員協会が「バーチャルアバターで学べる通信制高校が広げる学びの可能性」をテーマに外国人記者向けの記者会見を開催。(オンライン記者会見より)
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日本外国特派員協会(Foreign Press Center Japan, FPCJ)は「バーチャルアバターで学べる通信制高校が広げる学びの可能性」をテーマに、本日(19日)外国人記者向けの記者会見を開催した。会見では、「不登校」の生徒がメタバースを通じて他者と交流しやすくなるかという質問に対し、勇志国際高等学校の教務主任・櫻庭輝典氏は、現在高校に在籍している生徒や入学したばかりの生徒のうち、約7割が不登校の経験を持っていると説明。メタバースで学んでいる生徒の中にも、不登校や引きこもりを経験した生徒が少なくないと述べた。

日本文部科学省の令和6年度『学校基本調査』によると、通信制高校に在籍する生徒数は29万人を超え、9年連続で増加している。この学習形態では、生徒が登校頻度や単位取得ペースを柔軟に選択でき、様々な背景を持つ生徒に新たな学習機会を提供している。熊本県の勇志国際高等学校は2024年4月に「メタバース生」コースを設立。このコースでは、生徒が好きなバーチャルアバターを自由に選び、その姿でメタバース(仮想空間)内の教室に入り、オンラインホームルームや文化祭などの校内活動に参加することができる。

メタバース課程を開設し生徒がVR空間で学習 教育機会の公平性を確保

同校は近年、日本における不登校生徒の増加と遠隔教育需要の拡大に対応するため、メタバースコース(Metaverse Course)を開設。バーチャルアバターを通じて生徒がVR空間内で学習できるようにすることで、教育機会の公平性を確保するだけでなく、生徒同士の交流の可能性も提供している。櫻庭輝典氏は、このコースは単なるオンライン学習ではなく、デジタル技術を通じて生徒が仮想環境内で社交能力を発展させながら専門知識を習得できるようにするものだと強調した。同校には現在2,420名の生徒が在籍し、遠隔方式で学業を修了し、全日制学校と同等の学習進度と卒業資格を得ることができる。

櫻庭氏は、メタバース空間を通じて、これまで家から一歩も出られなかった生徒も、現在ではこの環境に一歩踏み出すことができるようになったと指摘。メタバースの多くの利点について聞いているが、課題や改善点については、現在メタバース空間内でさまざまな試みを行っていると述べた。さらに学校外の場所への展開も目指しており、例えばメタバース関連の活動を発表したり企画したりする機会を提供し、そうした発表や企画の場をより多様化させ、さまざまな形式を取り入れていきたいとしている。個人的には、生徒たちが現実世界でより多くの活躍や交流の機会を持つことが非常に重要だと考えており、実体験での交流の機会もより多く提供していきたいと述べた。 (関連記事: 単独インタビュー》東北楽天イーグルス・宋家豪:次の目標は日本プロ野球500試合、200ホールド 関連記事をもっと読む

生徒の使用後の感想:仮想から現実への移行がとてもスムーズ

二人の生徒「See2et」と虎猫が彼らの見解を共有した。See2etは、日常的にメタバースで交流していても、対面での交流体験とほとんど変わらないと述べた。最近、現実世界で初めて虎猫に会ったが、メタバースでの会話の感覚とまったく同じで、仮想から現実への移行がとてもスムーズで、大きな障壁に遭遇することはなかったという。続いて虎猫は、現実世界でも仮想世界でも、交流の本質はほぼ同じだと考えていると補足。どちらの環境でも、人と目を合わせて会話することが同じように重要であり、メタバース空間での交流が現実世界での会話能力向上に役立つと述べた。