舞台裏》米国を怒らせ、頼氏の「17条」に怯えた?国民党が訪中禁止令、朱立倫の「ダブルD戦略」が「ダブルデッド」に

国民党が国防予算を削減しアメリカの怒りを買う中、最も「親米知米」を自称する国民党主席の朱立倫(中)は頭を悩ませている。(資料写真、顏麟宇撮影)

国民党・民進党のリコール戦争が台湾全土に広がっている。最近、国民党による民進党立法委員のリコール第一段階の提案がついに初めて承認され、8件が通過した。これにより、リコールの件数は35対8となり、以前ほど惨めではなくなった。しかし、3月13日に頼清徳総統が「頼17条」という国家安全戦略を発表しその後、台湾で武力統一を語った中国籍配偶者を追放し、中国への思いを持つ北一女子高校の教師・区桂芝氏も告発され取り調べを受けた。台湾社会には暗黙の緊張感が漂い、国民党への圧力は高まっている。特に、民進党のリコールに対抗し、国会での優勢な議席を守ることに尽力する一方で、米国や中国からの不満にも対応しなければならず、国民党は四面楚歌の厳しい状況に置かれている。

本来、大規模なリコールや「頼17条」はいずれも台湾の内部問題であり、国民党は与党ではないため、米中両大国が何か意見を持ったとしても、それが国民党に直接関係するわけではないはず。しかし、実際の状況はそうではなかった。今回、与党・民進党野党の国民党と民衆党が2025年度の総予算を大幅に削減したことを理由に大規模なリコールを開始した。国民党も国民の財布を守るため予算の監督と厳格な審査は当然の責務だと主張している。

しかし、ちょうど米国の新政権が発足し、ワシントンは台湾に自衛の決意を示すよう求め、大幅な軍事防衛費の増加を準備している敏感な時期。たとえ国民党と民衆党が削った国防予算は実際にはそこまで多くないとしても、米国の官僚や議員には非常に目立つものとなり、頼政権もこの機会に米国側に対し、国会多数派の野党こそが台湾の国防支出を増やせない最大の障害であると訴え、国民党は米国の主要な「対話」相手となってしまった。


20250327-總統賴清德(中)27日視察「2025全社會防衛韌性委員會實地演練:擴充急救醫療場所」。(柯承惠攝)

頼清徳総統(中央)は「国家安全17条戦略」を打ち出し、その後に「武力統一」を主張する中国籍配偶者の追放事件が発生したことで、国民党の中国との交流に冷却効果をもたらした。(資料写真:柯承惠撮影)

国防予算削減で米国の不興を買う 国民党に圧力

実際、国民党は早くから米国の不満による圧力を感じていた。最も親米で米国を知るとされる国民党主席・朱立倫氏は、2月に副主席・夏立言氏を派遣し、元国防部副部長で立法委員の陳永康氏、中山大学教授の楊念祖氏、戦略学者で国際事務部主任の黄介正氏らと共に訪米し、総予算の削減・凍結は主に民生項目であり、軍事投資や武器調達には影響しないこと、また、厳格な予算審査で節約された資金は国防強化に転用することを支持すると説明した。しかし関係者によると、国民党がいくら疑念を解こうとしても、米国側の十分な理解は得られず、米国側は一部の国民党議員が過度に親中的で、台湾の自主防衛能力向上を意図的に妨害していると疑っている。特に、国民党が凍結された国防予算の回復や軍事支出の増加を全面的に支持する具体的な約束をしていないことが、米国からの圧力は継続している。 (関連記事: 台湾の大規模リコールに懸念 与党議員が異例の進言「一つの声だけではいけない」 関連記事をもっと読む

国民党本部と米国との関係が緊張する中、国民党の民進党による大規模リコールへの対応策の策定にも影響を及ぼしている。リコール投票の結果は、政党がどれだけ基盤を動員できるかにかかっており、一般的に民進党の支持者はリコール賛成票を投じる動機が国民党の支持者よりもはるかに強いとされている。国民党は、国民投票の提案を通じて基盤の投票率を引き上げようと考えている。