アメリカのトランプ大統領が台湾に対して32%の高関税を課したことを受けて、頼清徳総統は最近、対策として5つの方針を発表。その中には、行政院副院長の鄭麗君氏を交渉チームのリーダーとし、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を参考に、台湾とアメリカの間で「関税ゼロ」から交渉を開始するという提案が含まれている。
これに対し、前行政院副院長の施俊吉氏は本日(7日)、インタビューでこの案に同意を示し、蔡英文前総統が特任の立場で交渉に臨むことも、頼政権にとって一つの選択肢となり得ると述べた。また、鄭麗君氏が交渉に適していないということではなく、政府が表に出していない準備が多く存在しており、それは言えないだけで、何もしていないわけではないと語った。これにはTSMCの対米投資も含まれる。
施俊吉氏は、インターネット番組「中午來開匯」に出演し、今回のような重要な局面においては、蔡英文氏が交渉に臨むことも検討されるべきだと述べた。1990年代に蔡氏は台湾代表としてWTO交渉に参加した経歴があり、広く知られている。たとえすでに総統職を退いていても、特任という立場で交渉に臨むことは可能であり、たとえ党派的な損失があったとしても、それを乗り越えて実行すべきであり、功績は最終的に意思決定者に帰属すると強調した。
施俊吉氏はまた、台湾の現在の交渉担当者の中には非常に優れた人材がいると述べた。たとえば行政院政務委員の楊珍妮氏は、かつて経済部国際貿易局に勤務し、局長も務めた経歴がある。施氏が副行政院長だった当時も、楊氏とは国際経済貿易の分野で数多くのやり取りがあり、彼女は英語力が高いだけでなく、数々の交渉に参加してきた人物である。WTO交渉の際にも、蔡英文氏とともに参加していたと説明した。
しかしながら施俊吉氏は、鄭麗君氏が交渉代表に不適任だと言っているわけではないと改めて強調。トランプ大統領による関税政策発表の後、行政部門では各戦略ごとに綿密な代替案を準備しており、行政院が即時に反応を示さないからといって、それは理解していないからではなく、表に出せないだけであると述べた。
さらに施俊吉氏は、TSMCがアメリカに1,000億ドルの追加投資を決定した件について言及し、この交渉はすでにかなり前から進められていたと見ていると述べた。だからこそ、交渉が成立していたにもかかわらず、アメリカ側が今回のような対応を取ったことに対して、台湾側は大きな衝撃を受け、受け入れがたいと感じているのだという。TSMCの対米長期投資は蔡英文政権時代から構想されていた可能性があり、それは国家安全に関わる問題であること、また交渉のカードをすべて明かせるものではないことから、国民に対してすべてを説明することは難しいと語った。
編集:梅木奈実 (関連記事: 【台湾】民進党党員2人が中国スパイ関与で除名 対中浸透工作に厳正対応 | 関連記事をもっと読む )
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