アメリカのトランプ大統領による関税攻勢が迫る中、台湾の頼清徳総統はこの脅威に対処するため、行政院副院長の鄭麗君氏を交渉チームの召集人に任命した。しかし、民進党内では、前総統の蔡英文氏を交渉特使として起用すべきとの声も上がっている。これに関連して、前副総統の呂秀蓮氏は本日(8日)、番組『天下論談』に出演し、政府に対して5つの提言を行った。その中で、前総統の蔡英文氏を団長として訪米交渉にあたらせることを提唱するとともに、内閣改造や朝野の和解も呼びかけた。
呂秀蓮氏は、トランプ大統領が2025年4月2日に全世界を対象とする貿易関税を発表したことについて「この日は人類史に刻まれることになる」と述べたうえで、台湾は自らを過小評価すべきではないと強調した。「台湾は小国だと言う人がいるが、ナノテクノロジーのように、小さければ小さいほど力があるということを、皆わかっていないのか?」と語った。
また呂氏は、今こそ台湾の外交を再評価すべき時だと指摘。たとえ12か国との国交維持に努力を尽くしているとしても、世界全体を見れば、非邦交国が台湾に与える影響の方がはるかに大きいと述べた。そして、「台湾は邦交国を十分に支援してきた。もはや仁義を尽くしたと言える」としつつ、「外交の壁をどう打破するかが鍵だ。今回のトランプ関税に関しては、特に強く言いたい。現内閣の閣僚たちはこの責任を果たせるのか?」と厳しく問いかけた。
さらに呂秀蓮氏は、自身のフェイスブックでも今回の関税措置について、「台湾の東北角に吹きつける“巨大波”のようだ」と表現し、これに対する詳細な分析と5つの提言を提示した。
第一に、「台湾は自己肯定し、自らを貶めたり、無理に妥協してはならない」こと。
第二に、「外交政策とその実質的な効果を全面的に見直し、とくにアメリカ、日本、韓国、欧州連合との関係を再評価し、駐外人事を調整すること」。
第三に、「前総統の蔡英文氏を団長として訪米交渉に臨むこと」。
第四に、「内閣を適度に改組すべきこと」。
そして第五に、「与野党の和解を進め、立法院を憲法に基づく理性的な運営に戻すこと」が挙げられた。
編集:梅木奈実 (関連記事: 【台湾】対米関税交渉に蔡英文氏起用案 前副院長「特使として適任」と指摘 TSMC投資も交渉材料か | 関連記事をもっと読む )
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