舞台裏》中国、対台軍演に極超音速ミサイル『鷹撃21(YJ-21)』を投入 台湾は“極めて深刻”と評価

中国人民解放軍は今月初め、台湾に対して連続して軍事演習を行い、H-6K搭載の「鷹撃21(YJ-21)」極超音速ミサイルが国際的な注目を集めた。参考図。(資料写真、AP通信)

中国人民解放軍は、頼清徳総統による「頼17条」国家安全戦略への対抗を名目に、4月1日と2日の2日間にわたり台湾周辺の海空域で大規模な合同軍事演習を展開した。陸軍、海軍、空軍、ロケット軍、さらには海警の艦艇を動員し、台湾への統合作戦権の奪取、海陸への打撃、重要地域と要衝の封鎖・統制を想定した演習と発表した。2022年、米国のペロシ下院議長訪台を契機に始まった一連の軍演を経て、国軍は解放軍の行動に対して十分な経験と備えを持ち、台湾社会も冷静さを保っている。しかし、2024年の2度の「聯合利剣」演習と比較すると、今回の兵力規模はより大きく、台湾の航路や港湾の封鎖、天然ガス受入施設への打撃といった演習科目は、より実戦的で標的性の強い脅威となっている。

国軍関係者によると、解放軍はここ数年で台海における各軍種の統合作戦能力を向上させ、台湾周辺海空域での常態的な配備と集中的な活動によって戦場環境の習熟を進めていると指摘した。特に近年は海警艦艇も加わることで、台湾への封鎖や隔離作戦の計画がより綿密になっている。ただし、解放軍が頻繁に演習を行っても、その真の戦意は隠しきれず、国軍には観察と推演の機会が生じ、反制の道筋を計画することが可能であるという。今回の軍演では、ある兵器の登場が国軍の警戒を呼び起こした。

20250313-総統賴清德13日出席「國安高層會議會後記者會」。(柯承惠攝)
解放軍は総統賴清德(写真)が提起した「賴17条」国家安全保障戦略への対抗措置として、4月1、2日の連続2日間、台湾周辺の海空域にて大規模な統合軍事演習を実施した。(資料写真、柯承惠撮影)

解放軍の戦力向上、殺傷能力の高い兵器が姿を現す

軍関係者は、近年、解放軍の海空兵力は演習開始から戦術配置までの時間が短縮されており、戦備能力が向上していると述べた。国軍も各部隊の即応訓練を強化し、2025年からは「即時戦備演習」の実施を予定している。4月1日・2日の演習では、山東艦を含む大規模兵力が動員され、初めて高雄・永安の天然ガス受入施設への遠距離ロケット砲による模擬攻撃も実施されたことで、臨戦の緊張感が一層高まった。

同関係者によれば、威嚇手法自体は過去と大きな違いはなく、演習シナリオも国軍の想定範囲内で対処は容易だという。ただし注目すべき点は、解放軍が公開した映像において、H-6K爆撃機が新型の「鷹撃21(YJ-21)」対艦弾道ミサイルを搭載して離陸する様子が確認されたことだ。もし実際にこの兵器が演習に投入されたのであれば、国軍はこれを極めて深刻な脅威と見なす必要がある。鷹撃21(YJ-21)は極超音速空中発射弾道ミサイルであり、台海防衛において極めて深刻な脅威となり得る兵器である。 (関連記事: 論評:中共軍事演習が接近、トランプは出兵して救うのか? 関連記事をもっと読む


2024年7月9日,從日本驅逐艦望向中國海軍山東號航空母艦為首的航母戰鬥群。(美聯社)
中国軍の山東艦が今回の対台湾軍事演習に参加した。写真は、日本の駆逐艦から山東号空母を中心とした戦闘群を望む様子。(資料写真、AP通信)

H-6の兵装が鷹撃21(YJ-21)に 国軍の防空体制に重圧

過去の解放軍による台湾包囲演習では、作戦半径3000キロのH-6K爆撃機が定番で、東台湾沖で花東地域の空港を標的とした演習が行われていた。従来、H-6Kの標準兵装は長剣20巡航ミサイル2発(実戦時は最大6発搭載)で、射程は2000キロに達するものの、亜音速・低空で侵入するため、国軍のパトリオットや天弓シリーズ防空ミサイルでの迎撃は十分可能であった。飽和攻撃でない限り、脅威は限定的だった。