舞台裏》中国、対台軍演に極超音速ミサイル『鷹撃21(YJ-21)』を投入 台湾は“極めて深刻”と評価

2025-04-07 11:56
中国人民解放軍は今月初め、台湾に対して連続して軍事演習を行い、H-6K搭載の「鷹撃21(YJ-21)」極超音速ミサイルが国際的な注目を集めた。参考図。(資料写真、AP通信)
中国人民解放軍は今月初め、台湾に対して連続して軍事演習を行い、H-6K搭載の「鷹撃21(YJ-21)」極超音速ミサイルが国際的な注目を集めた。参考図。(資料写真、AP通信)

中国人民解放軍は、頼清徳総統による「頼17条」国家安全戦略への対抗を名目に、4月1日と2日の2日間にわたり台湾周辺の海空域で大規模な合同軍事演習を展開した。陸軍、海軍、空軍、ロケット軍、さらには海警の艦艇を動員し、台湾への統合作戦権の奪取、海陸への打撃、重要地域と要衝の封鎖・統制を想定した演習と発表した。2022年、米国のペロシ下院議長訪台を契機に始まった一連の軍演を経て、国軍は解放軍の行動に対して十分な経験と備えを持ち、台湾社会も冷静さを保っている。しかし、2024年の2度の「聯合利剣」演習と比較すると、今回の兵力規模はより大きく、台湾の航路や港湾の封鎖、天然ガス受入施設への打撃といった演習科目は、より実戦的で標的性の強い脅威となっている。

国軍関係者によると、解放軍はここ数年で台海における各軍種の統合作戦能力を向上させ、台湾周辺海空域での常態的な配備と集中的な活動によって戦場環境の習熟を進めていると指摘した。特に近年は海警艦艇も加わることで、台湾への封鎖や隔離作戦の計画がより綿密になっている。ただし、解放軍が頻繁に演習を行っても、その真の戦意は隠しきれず、国軍には観察と推演の機会が生じ、反制の道筋を計画することが可能であるという。今回の軍演では、ある兵器の登場が国軍の警戒を呼び起こした。

20250313-総統賴清德13日出席「國安高層會議會後記者會」。(柯承惠攝)
解放軍は総統賴清德(写真)が提起した「賴17条」国家安全保障戦略への対抗措置として、4月1、2日の連続2日間、台湾周辺の海空域にて大規模な統合軍事演習を実施した。(資料写真、柯承惠撮影)

解放軍の戦力向上、殺傷能力の高い兵器が姿を現す

軍関係者は、近年、解放軍の海空兵力は演習開始から戦術配置までの時間が短縮されており、戦備能力が向上していると述べた。国軍も各部隊の即応訓練を強化し、2025年からは「即時戦備演習」の実施を予定している。4月1日・2日の演習では、山東艦を含む大規模兵力が動員され、初めて高雄・永安の天然ガス受入施設への遠距離ロケット砲による模擬攻撃も実施されたことで、臨戦の緊張感が一層高まった。

同関係者によれば、威嚇手法自体は過去と大きな違いはなく、演習シナリオも国軍の想定範囲内で対処は容易だという。ただし注目すべき点は、解放軍が公開した映像において、H-6K爆撃機が新型の「鷹撃21(YJ-21)」対艦弾道ミサイルを搭載して離陸する様子が確認されたことだ。もし実際にこの兵器が演習に投入されたのであれば、国軍はこれを極めて深刻な脅威と見なす必要がある。鷹撃21(YJ-21)は極超音速空中発射弾道ミサイルであり、台海防衛において極めて深刻な脅威となり得る兵器である。 (関連記事: 論評:中共軍事演習が接近、トランプは出兵して救うのか? 関連記事をもっと読む


2024年7月9日,從日本驅逐艦望向中國海軍山東號航空母艦為首的航母戰鬥群。(美聯社)
中国軍の山東艦が今回の対台湾軍事演習に参加した。写真は、日本の駆逐艦から山東号空母を中心とした戦闘群を望む様子。(資料写真、AP通信)

H-6の兵装が鷹撃21(YJ-21)に 国軍の防空体制に重圧

過去の解放軍による台湾包囲演習では、作戦半径3000キロのH-6K爆撃機が定番で、東台湾沖で花東地域の空港を標的とした演習が行われていた。従来、H-6Kの標準兵装は長剣20巡航ミサイル2発(実戦時は最大6発搭載)で、射程は2000キロに達するものの、亜音速・低空で侵入するため、国軍のパトリオットや天弓シリーズ防空ミサイルでの迎撃は十分可能であった。飽和攻撃でない限り、脅威は限定的だった。

最新ニュース
セブン店長が半年無休で自殺、過重労働で労災認定
台湾先住民が映像で語る「忘れられた戦い」 3年をかけた記録作品『百年原殤』
台湾株ショック止まらず 台湾株価指数先物がナイトセッションで再び暴落、一時17600ポイント割れ
日経平均が2644円安 トランプ氏の「相互関税」表明で売り殺到、史上3番目の下げ幅
【46%関税】「ベトナム製」がNike直撃 トランプがスニーカー市場を揺らす
不合理な関税には報復せず 台湾総統・頼清徳氏が5つの戦略を発表「台米はゼロ関税から始める」
TSMCが30兆円を投資しても高関税を免れず BBCが提起:「台湾にはまだ交渉の切り札があるのか」
台湾株式市場、2,000ポイント超の急落で取引開始 「TSMCは848台湾ドルに下落」過去最大の下げ幅を記録
イラストレーターからモデルまで多彩な肩書きを持つ葉媚 日本在住の長い年月に新たなキャリアの節目
台湾初の高松宮殿下記念世界文化賞受賞 李安監督が創作のインスピレーション源として日本人監督たちを語る
墾丁・小琉球も負けた!屏東の人気爆発観光スポット、143万人が殺到「交通も便利・美味しい・楽しい・飽きない」と地元民も太鼓判
日本在住KOL・阿倫がコンテンツ制作のきっかけを語る スノーボードインストラクター・ツアーガイドの資格取得のため撮影
論評:相互関税が世界経済貿易に大打撃、地政学はどのように再編されるか
【2025年最新】台北から車で30分!北台湾おすすめキャンプ場10選 「アクセス便利・絶景・高コスパ」でグランピングも
AI生成されたジブリ風イラストが大流行!著作権問題と宮崎駿の怒りを懸念し、ChatGPTが自ら制限
4月4・5・6日…なぜ毎年清明節の日付が異なる?結局いつなのか?
公孫策コラム:柯文哲は施明德になるのか、それとも鄭南榕になるのか?
論評:中共軍事演習が接近、トランプは出兵して救うのか?
「平和でなければ、台湾に民主主義なし!」龍應台、NYTの客員評論にて:台湾は直ちに対話を開始し、中国との平和共存を模索すべき
舞台裏》賴清德の独占を防げ! 民進党の新北、高雄、嘉義、台南の予備選挙 英蘇連盟と頼派閥グループの対決
独占インタビュー》日米同盟は形だけ?トランプ再登場で日米安保に警鐘 福島伸享氏「日本は防衛強化とアジア連携を急ぐべき」
台湾・国民党「親米和中」路線を再主張 「民進党の対中対決姿勢は戦争招く」と朱立倫氏
台湾与党・民進党関係者に中国スパイ疑惑 「裏切りには最も厳しい制裁」と強調
論評》習近平×トランプ「バースデー・サミット」浮上、中東和平と台湾海峡が取引材料に?習近平とトランプの「戦略的妥協」説
台湾文化部の100億元文化基金に不正疑惑 仮想通貨詐欺関係者の創投に3000万元出資、元民進党議員の息子も関与か
「音楽とネイルで日台をつなぐ」大阪出身・台湾ルーツのシンガーソングライター天邑が語る、家族、夢、そして言葉へのこだわり
「値上げの春」食品4000品目超が一斉値上げ 米・卵も高騰、住宅ローン金利も上昇へ
フェアモント東京、2025年7月1日に開業決定 ― 日本初進出、予約は4月1日より開始 伝統と革新が融合するラグジュアリーホテル
拳銃を誤って持ち込んだ米国人観光客を逮捕 関空の保安検査通過か、トイレから実弾も
舞台裏》米国を怒らせ、頼氏の「17条」に怯えた?国民党が訪中禁止令、朱立倫の「ダブルD戦略」が「ダブルデッド」に
トランプ関税「解放日」、台湾は嵐の中心に?海外メディアが4つの注目ポイントを整理 起こりうる事態とは
トランプ政権、関税発表間近!石破首相「全国1000カ所の相談窓口で中小企業支援へ」
速報》マレーシアで天然ガス輸送管が爆発!「幼児の背中が火傷」激痛に叫び声…63人が病院搬送、49軒の住宅が被害
日本の3000人が皇居に戸籍を置いている!日本の戸籍制度はどのように機能しているのか?日台の違いを一目で
台湾独立の大家も赤化と非難される!柯建銘がリコールに激怒し林濁水を「中国を庇う」と非難 本人は苦笑いで一言返す
「中国が台湾周辺で合同軍事演習を開始」台湾国防部長「緊急対応センターを設置、全動向を掌握」
日米防衛相会談 米側「西太平洋有事で日本が前線に」要求 トランプ政権の圧力に日本政府は警戒
「台湾はアジアの孤児に?」中国人配偶者の強制送還が波紋、両岸関係に新たな火種か
Z世代の「推し活」が消費構造を変える?日本の専門家が分析する2つのカギ
トランプ氏、プーチン氏の停戦遅延に激怒 「ロシアに追加制裁も」イランには核合意迫り爆撃を警告
江頭2:50、永野芽郁を泣かせた“暴走演出”に炎上 「オールスター感謝祭」での不適切行動を謝罪
台湾の大規模リコールに懸念 与党議員が異例の進言「一つの声だけではいけない」
警察家庭出身の英国人、京都で子供の相談支援システム開発 いじめ・不登校の支援に「君の味方」全国展開へ
家庭に眠る不要品が資産に?日本の「かくれ資産」が100兆円に迫る衝撃データ
台湾発「P.Seven」新作香水『府城香』が日本上陸 台南文化を香りで体験、誠品生活日本橋店で発売
ミャンマー大地震の死者数1万人超の恐れ!国際社会が支援の手、台湾・米国・中国・インド・日本・ロシアも援助へ
「日本で働いてわかったこと」ー台湾出身アリサさんが語る、東京で見つけた自分らしさ
宜蘭の最強観光スポット約12万人を魅了、​太平山は4位に! 観光客絶賛:「海外の絶景に劣らず忘れられない風景」
プラモデル展で注目の段ボール「大巨人」 ファンタジー風「ピザカッター」が伝統を覆す
バンド活動の夢を捨て 台湾の「ピンク教祖」燕梓、自分を貫きファッションデザインの夢を実現