トランプ氏、対日24%関税を決定 石破首相の投資表明も効果なし、台湾も他人事ではない

2025-04-09 18:04
2025年2月7日、石破茂首相がホワイトハウスの記者会見で、トランプ氏から贈られた本を手に持っている。(AP通信)
2025年2月7日、石破茂首相がホワイトハウスの記者会見で、トランプ氏から贈られた本を手に持っている。(AP通信)

2月初旬に自らホワイトハウスを訪問した日本の石破茂首相は、米国への大規模投資を約束することで、トランプ米大統領が推進する「対等関税」リストから日本を免除させようと試みた。しかし、最大24%にも及ぶ関税課税が現実となった。これは、従来の戦略的信頼関係に基づいた日米関係が、力の非対称性を特徴とする新たな段階へと移行したことを意味するのだろうか。

「風傳媒」は、日本の政治経済情勢に詳しい専門家である、淡江大学日本政経研究修士課程教授の蔡錫勲氏と、国策研究院上級顧問であり開南大学地域発展センター所長を務める陳文甲氏にインタビューを行い、トランプ氏による「関税津波」の本質を分析するとともに、台湾が次なる犠牲者とならないための示唆を探った。

質問1:トランプ政権が日本に対して課した24%の対等関税をどう解釈すべきか。これは経済的手段に過ぎないのか。

蔡錫勲氏は、24%という対等関税が日本国内に衝撃を与えたと指摘する。トランプ政権は「相手が自国に課した分の半分を課す」という方式で税率を逆算しており、法的根拠もなければ国際的な慣例にも則っていない。

同氏は、「石破茂氏は2月初旬に訪米し、1兆ドルの投資をトランプ氏に約束した。また、日本の対米投資額の大きさや雇用への貢献を強調したが、トランプ政権はそうした細部を全く顧みなかった。石破氏は帰国後、国会で何度も質疑を受け、財務官僚すら関税率の算出方法を説明できなかった。これは理性的な貿易交渉ではなく、トランプ流の政治的圧力の表れだ」と述べた。

2025年2月,日本首相石破茂與美國總統川普在白宮會面。(美聯社)
2025年2月、日本の石破茂首相とアメリカのトランプ大統領がホワイトハウスで会談。(AP通信)

陳文甲氏は、今回の対等関税には貿易赤字の削減という明確な経済的動機があるとしながらも、親密な同盟国であっても免除が保証されないという政治的メッセージが含まれていると語る。トランプ氏は経済的圧力を通じて外交の再均衡を図っており、それは彼の「取引型外交」の典型である。

また陳氏は、石破茂氏が4月7日夜にトランプ氏と電話会談を行ったのは、ベトナムのスリン総書記の方式を参考にし、高官レベルの対話によって摩擦を緩和しようとしたもので、状況を読み違えたわけではなく、誠意と信頼の外交姿勢を示したものだと述べた。

さらに、トランプ氏の圧力決定は内政や世論調査に左右されることが多く、石破氏が影響力を発揮できる余地は限られていると分析。「この交渉は即効性がない」と通話前に強調した点からもそれがうかがえる。結局のところ、トランプ関税政策は単なる貿易利益の争いにとどまらず、同盟関係の再定義でもあり、各国にとって極めて困難かつ挑戦的な外交・経済課題である。 (関連記事: 米国、中国からの一部輸入品に104%の関税 ホワイトハウス「8日発効、9日徴収開始」 関連記事をもっと読む

國策研究院資深顧問、開南大學國家暨區域發展研究中心主任陳文甲。(陳文甲提供)
国策研究院上級顧問、開南大学国家及び地域発展研究センター所長の陳文甲氏。(陳文甲氏提供)

質問2:日米関係はすでに「制度的不均衡」に突入したのか。

蔡錫勲氏は、「制度的不均衡」という表現は時期尚早だとしながらも、トランプ政権の対応が両国の信頼関係を明らかに損ねていると指摘する。今回の事件は、米国が一方的に経済・貿易問題を主導し、制度化された協議の枠組みが欠如しているため、日本側は受け身に回るしかなかったことを浮き彫りにしている。

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