論評:“脱中入北”? 頼清徳の終末への狂詩曲

民進党主席も兼任する頼清徳総統は9日、民進党中央常務委員会を主宰し、「脱中入北」というプロセスへの投資は非常にポジティブなものだと述べた。(民進党提供)
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大規模なリコール、中国人配偶者の追放、国外敵対勢力、TSMCの米国投資、解放軍の台湾周辺軍事演習、トランプ(Donald Trump)の喜怒に応じて変動する株式市場……このような息つく暇もない重大事態が、短期間のうちに次々と実際に起きている。ネット上では多くの人が「​終末の様相」という言葉で私たちが日々直面している状況を表現している。異常に混乱し、比類なく不安である。

御用文人が上意に迎合し、オーダーメイドの「政治理論」を作り上げる

民進党中央常務委員会は9日、中央研究院社会学研究所特別招聘研究員の呉介民を招き、「解放日関税:問題解決と対策案の議論」をテーマに特別報告を行った。彼は台湾の産業発展の方向性として「脱中入北」を提案した。呉介民は、台湾は地政学的経済変動の機会を利用して、自国の産業発展に適した方向を推進すべきだと考えている。また、台湾の科学技術製造力は、アメリカ、日本、ヨーロッパを代表とする中核国が構成する「グローバル・ノース」に立脚できると述べた。「これは台湾が半世紀以上にわたって現代のグローバル化に参加することを切望してきた成果である」と彼は言う。

民進党主席も兼任する頼清徳総統は、報告を聞いた後、「脱中入北」が正しい方向性であると表明。実際、トランプの対等関税がどれほど誤りで荒唐無稽であっても、依然として知識人が支持し後押ししているように、台湾にはさまざまな色の御用文人が不足したことがない。彼らは学術的な外装を纏い、上意に迎合しながら個人のイデオロギー的私物を混ぜ込み、権力者のためにオーダーメイドの「政治理論」を作り上げる。

「脱中入北」という4文字がこうして誕生し、「頼清徳新時代台湾独立特色思想」の構築が正式に完成したことを宣言した。台湾が中国を「他者化」するプロセスにおいて、呉介民は常に学術界の先駆者であった。彼はひまわり運動の発生前に提唱した「第三の中国想像」の中で、「中国要因」に対する恐怖、怒り、抵抗を世論の言説体系に導入し、台湾は「自由で開かれた民主主義」で中国の「官僚と富裕層が強く民衆が弱い専制主義」に対抗すべきだと強調した。同時に「あれこれと論じる」方式で中国に対して「守りから攻めへ」転じるべきだと主張した。

彼と協力し肩を並べて戦う中央研究院台湾史研究所副研究員の呉叡人は、台湾を「賤民」とする被害者コンプレックスを強化する役割を担ってきた。一方では「自由民主人権」を象徴する「台湾要因」で逆に中国に影響を与え、もう一方では国防面でアメリカと協力することを露骨に奨励し、黒熊学院や長老教会フォルモサ学院などの「民間防衛団体」を利用して台湾社会の防衛意識を高めようとしている。 (関連記事: 論評:対等関税が世界経済貿易に大打撃、地政学はどのように再編されるか 関連記事をもっと読む

20250219-中央研究院社會學所研究員吳介民以「矽盾2.0:全球台灣與美中對抗」為題,今(19)日在政治大學進行演講。(許詠晴攝)
中央研究院社会学研究所特別招聘研究員の呉介民(写真)が「解放日関税:問題解決と対策案の議論」をテーマに、9日民進党中央常務委員会で特別報告を行った。(資料写真、許詠晴撮影)

民主自由でアメリカを弁護し、抗中親米の本質が見抜かれる

「二人の呉」の言説は台湾派と独立派の若者グループの間で特に人気があり、「左派」思想の代表と見なされている。しかし、「左」と名付けられた理由は主に、彼らが中国を「台湾を抑圧する」「帝国」、さらには「帝国主義」と解釈しているからである。一方、拳で世界を支配する露骨な帝国、少なくとも80カ国に750の軍事基地を持ち、1991年以来海外に251回も出兵したアメリカは、彼らの目には美しく善良な楽園、台湾の揺るぎない同盟国であり、いかなる代価を払ってもともに歩むべき存在である。