アメリカのトランプ大統領の政策は予測不能で、「日米安保条約」は日本にのみ有利だと批判しており、インド太平洋地域の安全保障に不安をもたらしている。日本航空自衛隊退役の「三ツ星空将」小野田治氏は、米国は地域同盟国に対してより強硬な姿勢を取り、より具体的な要求をするだろうと述べる。「日本はもはや曖昧な戦略に頼って自国を守ることはできず、早期に自国の安全保障の枠組みを再構築し、インド太平洋の秩序形成に積極的に参画すべきである」
小野田治氏(以下、小野田)は現在、日本安全保障戦略研究所の上級研究員を務め、日本の安全保障政策と戦略について深い研究を行っている。4月10日、淡江大学日本政経研究修士課程の蔡錫勲教授の招きにより、「トランプ政権のインド太平洋安全保障戦略と日本の安全保障」をテーマに、ビデオ会議を通じて淡江大学の教職員と学生に英語で講演を行った。

トランプ2.0は「米国がいかに世界秩序を再構築するか」を核心に
小野田氏によると、トランプ氏の政治的言語は誇張され、劇的な特徴を持っており、彼の国際防衛に関する発言は「米国が長年世界の安全保障コストを負担する役割から脱却する」ことを反映しているという。例えば、トランプ氏はグリーンランドの併合、NATO離脱、経済制裁による同盟国の防衛費増額強要などの極端な主張をしており、これらが実行されるとは限らないが、その背後にあるメッセージは明確で、米国は他国に「自己責任」を求めている。

小野田氏は「これはトランプ個人のスタイルの問題だけでなく、トランプを支持する社会的雰囲気の反映でもある」と強調。
トランプ1.0と比較して、小野田氏はトランプ2.0政権チームがより制度化され、行動志向になっていると考えている。多くの国家安全保障、経済、司法関係者が「米国がいかに世界秩序を再構築するか」という戦略設計に着手しており、これらの人々は単に大統領の発言に対応するスタッフではなく、変革を積極的に推進する中心的役割を担うことになるという。
小野田氏は、トランプ2.0の任期中、国家安全保障戦略(NSS)、インド太平洋戦略、地域防衛ネットワークが以下の三大目標に焦点を当て続けると予測している:
1. 同盟国にさらなる防衛コスト負担を強いる
2. 米国を中心とした経済安全保障の枠組みを強化
アメリカを中心とした経済安全保障の枠組みの強化


周縁化を恐れる?日本はインド太平洋安全保障への貢献計画を積極的に提案すべき
小野田氏は、トランプ氏が当選するかどうかにかかわらず、米国の戦略的方向性は「取引型同盟」に傾き続けるだろうと強調した。これに対し、日本はもはや単に「同盟国」としての立場にとどまることなく、地域の共同構築者という視点から、インド太平洋安全保障の枠組みへの貢献計画を積極的に提案する必要があるという。 (関連記事: 舞台裏》台湾政府高官の元側近にスパイ疑惑 8年間潜伏し機密情報漏洩の疑い | 関連記事をもっと読む )
小野田氏は「トランプ氏は孤立主義者ではなく、取引主義者である。彼は同盟国を見捨てることはないが、代価を要求するだろう。米中対立が激化する前に、日本が明確な立場を示し貢献価値を示せなければ、将来的に排除や周縁化のリスクに直面する可能性がある」と述べた。