株式会社デンソー（本社：愛知県刈谷市）は、6月3日開催の取締役会において、豊田自動織機（以下、豊田自動織機）の保有株式を売却するとともに、豊田自動織機が保有するデンソー株式の自己株式公開買付を事前通知することを決議したと発表した。
同社は2021年より「資本コストを意識した経営」のもとで財務戦略を再構築し、(1)収益構造の強化、(2)低収益資産の圧縮、(3)資本構成の改善、(4)市場との対話を4本柱に掲げている。今回の取引は、グループ間連携を強化するというトヨタグループの方針に基づき、トヨタ不動産が提案したもので、デンソーの財務戦略の加速にもつながると位置づけられている。
豊田自動織機株式の売却
デンソーは2024年3月から2年半にわたり段階的に豊田自動織機株式を売却する方針を示していたが、本日発表されたトヨタ不動産による株式公開買付の実施を受け、段階売却を中止し、公開買付に応募することを決定。これにより、より有利な条件での迅速な一括売却が可能になるという。2024年度における政策保有株の売却額は過去最高の4,385億円に達しており、2025年度は今回の売却により3,800億円超のキャッシュ創出を見込んでいる。
自己株式の公開買付事前通知
また、豊田自動織機が保有するデンソー株式の売却意向を受け、市場への影響を抑えるため、同社株式の公開買付を行うことを決定。市場価格にディスカウントを加える形で自社株を取得することで、需給の不安定要因を払拭する狙いがある。
2025年度には、前年度に発表された市場買付枠のうち残り2,500億円分と、今回の自己株式公開買付による最大3,580億円を合わせ、総額6,100億円規模の自社株買いを実施予定。これは同社史上最大の株式取得額となる。
デンソーは今後も資本構成の改善と同時に、事業ポートフォリオ転換を加速する成長投資に資源を振り向け、ステークホルダーと価値を共有する企業価値の向上に努めていくとしている。
※ROE：自己資本利益率
編集：柄澤南 （関連記事： デンソー×ロームが半導体強化 戦略的パートナーシップで合意 ｜ 関連記事をもっと読む ）
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