中国・福建省で教鞭をとっていた台湾籍の教師・張立齊氏が、台湾当局の大陸委員会(以下:陸委会)によって「中国定居証」を所持していると認定され、台湾の戸籍を抹消されたことが明らかになった。これは定居証を理由に台湾籍が抹消された初のケースとなる。
張氏は6月8日に声明を発表し、自身の定居証はすでに2024年6月時点で失効していたと説明。陸委会は証拠を示さないまま1年も遅れて身分を取り消したと強く反発している。
張氏の6月8日の声明では、以下の3点がとくに重要なポイントとして挙げられている。
●定居証はすでに2024年6月に失効しており、台湾戸籍の抹消より1年早く効力を失っていた。
●陸委会が「有効な定居証を保持している」と判断するなら、その証拠を公開すべき。
●定居証は「中国の戸籍取得」とは無関係であり、陸委会は制度の実態を理解していない。
陸委会は2024年4月に新たな指針を発表しており、中国大陸のパスポート・身分証・定居証を所持している台湾人は、台湾の戸籍が抹消される対象になるとした。
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さらに、6月5日には陸委会副主任の梁文傑氏が「張氏は2024年に定居証を取得したため、台湾籍が抹消された」と発言。今後、張氏が台湾に入境するには法的な申請と許可が必要になるという。

張氏は、2024年に中国・福建省の「両岸融合発展示範区」の新政策に参加したことで、定居証を取得した最初の台湾青年教師だった。しかしその後、台湾の民進党政権からの「緑色恐怖」による圧力を受けたと主張している。
張氏は、「定居証の有効期限は6カ月間」であり、取得後に期限内に中国の戸籍登録(落籍)をしなければ、定居資格が取り消されると説明。自分の定居証はすでに2023年6月で失効しているとし、陸委会の判断は「1年遅れの不当な抹消だ」と非難した。
また張氏は、台湾当局が「台胞証」「居住証」「定居証」といった性質の異なる証件を意図的に混同していると指摘。中国側の定義では、定居証は「臨時的な証明書」にすぎず、「取得=中国籍取得ではない」と強調した。

さらに張氏は、陸委会に対し、「中国定居証」と「中国身分証」の関係性についても明確に説明するよう求めている。
編集:田中佳奈
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