「国籍が消えた」台湾出身の教師、身分抹消の理由に異議 証拠の開示を要求

2025-06-09 16:31
張立齊氏は最近の声明で、定住証が昨年6月には失効していたことを明らかにし、陸委員会は台湾の身分を抹消すべきではないと訴えた。(「台湾張立齊」今日頭条チャンネルより)
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中国・福建省で教鞭をとっていた台湾籍の教師・張立齊氏が、台湾当局の大陸委員会(以下:陸委会)によって「中国定居証」を所持していると認定され、台湾の戸籍を抹消されたことが明らかになった。これは定居証を理由に台湾籍が抹消された初のケースとなる。

張氏は6月8日に声明を発表し、自身の定居証はすでに2024年6月時点で失効していたと説明。陸委会は証拠を示さないまま1年も遅れて身分を取り消したと強く反発している。

張氏の6月8日の声明では、以下の3点がとくに重要なポイントとして挙げられている。

    ●定居証はすでに2024年6月に失効しており、台湾戸籍の抹消より1年早く効力を失っていた。

    陸委会が「有効な定居証を保持している」と判断するなら、その証拠を公開すべき

    定居証は「中国の戸籍取得」とは無関係であり、陸委会は制度の実態を理解していない。

      ​​陸委会は2024年4月に新たな指針を発表しており、中国大陸のパスポート・身分証・定居証を所持している台湾人は、台湾の戸籍が抹消される対象になるとした。

      最新:中国配偶者の除籍証明提出期限、3千人が台湾身分抹消の危機!

      さらに、6月5日には陸委会副主任の梁文傑氏が「張氏は2024年に定居証を取得したため、台湾籍が抹消された」と発言。今後、張氏が台湾に入境するには法的な申請と許可が必要になるという。

      陸委会副主任の梁文傑が6月5日に定例記者会見を開催。(楊騰凱撮影)
      ​​陸委員会の梁文傑副主任が6月5日の定例記者会見で、張立齊氏の台湾戸籍抹消を発表した。(写真/楊騰凱撮影)

      張氏は、2024年に中国・福建省の「両岸融合発展示範区」の新政策に参加したことで、定居証を取得した最初の台湾青年教師だった。しかしその後、台湾の民進党政権からの「緑色恐怖」による圧力を受けたと主張している。

      張氏は、「定居証の有効期限は6カ月間」であり、取得後に期限内に中国の戸籍登録(落籍)をしなければ、定居資格が取り消されると説明。自分の定居証はすでに2023年6月で失効しているとし、陸委会の判断は「1年遅れの不当な抹消だ」と非難した。

      また張氏は、台湾当局が「台胞証」「居住証」「定居証」といった性質の異なる証件を意図的に混同していると指摘。中国側の定義では、定居証は「臨時的な証明書」にすぎず、「取得=中国籍取得ではない」と強調した。

      台籍教師の張立齊は中国大陸から発行された「定居証」を保持しているため、台湾政府によって戸籍と国籍が抹消された。(写真:微博からの引用)
      ​張立齊氏は2024年1月に中国大陸で発行された「定居証」を取得したが、自身の最新声明では、その定居証は同年6月にはすでに廃止されていたと示している。(引用/微博)

      さらに張氏は、陸委会に対し、「中国定居証」と「中国身分証」の関係性についても明確に説明するよう求めている。

      編集:田中佳奈