台湾出身195cmルーキー、林冠臣選手 西武入りで夢のプロ舞台へ

2025-06-08 15:34
西武初の台湾人外野手・林選手(日本経済大学硬式野球部提供)
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2024年のプロ野球ドラフトで、台湾出身の林冠臣選手が埼玉西武ライオンズから4位指名を受けた。西武としては初めての台湾出身外野手の入団で、日台双方の野球ファンの間で注目が集まっている。

林選手は2002年12月30日生まれ。身長195cm、体重105kgという恵まれた体格を持ち、右投げ右打ちの外野手。中学2年の時に野球を始め、高校は地元・桃園市立光明中学校と提携する宮崎県の日南学園に進学。その後、日本経済大学に進み、福岡六大学リーグでは大学4年生の春季リーグで打率.429・本塁打4本をマーク。ベストナインにも選ばれ、一躍注目を集めた。

来日から7年目となる今、日本での生活にはすっかり慣れたという。台湾メディア《風伝媒》の取材に対し、「食事を含めて何も問題はない」と笑顔を見せた。ただ、プロでの競争はこれまでとは比べ物にならないと話す。「プロは“君がクビになるか、僕がクビになるか”の世界。毎日、自分自身を乗り越えていくしかない」と、強い覚悟をにじませた。

現在のトレーニングには明確な方向性があり、大きな変更は予定していないが、体格に見合った体重増を目指している。「身長があるぶん、少し体重を増やしたい。でもスピードは落とせない」。フィジカルとスピードの両立が、プロで生き抜く鍵だと見ている。

林選手は2025年1月に埼玉で行われる新人合同自主トレに参加し、春季キャンプにも合流予定。また、日本の学制に沿って3月に大学を卒業する。

プロ1年目の目標は「開幕一軍」。ヒットを打つことだけでなく、守備や走塁を含めて「チームの勝利に貢献することを一番に考えている」と話す。「守備もしっかりこなして、できることはすべてやりたい」と意気込みを見せた。

大学時代の成績を振り返り、林選手は「正直、昨年までの成績は良くなかった」と明かす。転機となったのは、大学4年春のリーグ開幕戦。「初打席でホームランを打てて、“自分にもまだやれるかもしれない”と思えた」。そこから打撃に手応えを感じ、最終的に4本塁打を記録。大きな自信と成長につながった。

努力の方向性について聞かれると、林選手は「他の選手と比べるより、自分自身に集中している」と答えた。「西武で活躍した台湾の先輩たちと比べるのではなく、昨日の自分を超えることを大事にしている」。特に、自信のきっかけとなった打席のホームランについて「それがあって以降、気持ちも安定し、良い結果につながった」と話す。

​学生からプロへ──

林選手は、プロと大学野球との違いについて「大学では年間の試合数が少なくて、公式戦と練習試合を合わせても10試合ほど。でもプロでは年間100試合以上。全然違う」と語る。

試合数が一気に増えることで、体力面や疲労の管理がこれからの課題になると見ている。「試合が増えれば当然疲労も溜まるし、ケガのリスクも上がる。だからこそ、コンディションを整えてケガを防ぐことがすごく大事」と、プロで長く活躍するための意識を口にした。 (関連記事: 「我が巨人軍は永久に不滅です!」長嶋茂雄氏、89歳で逝去 「ミスタープロ野球」が歩んだ伝説の生涯 関連記事をもっと読む

憧れの選手として名前を挙げたのは、ニューヨーク・ヤンキースのスター、アーロン・ジャッジ選手。バッティングで悩んだときは、ジャッジ選手のスイングを何度も見返して参考にするという。「力任せじゃなくて、しっかりボールを見極めながら打つところがすごい。あまり力を入れていないように見えるのに、打球が遠くまで飛んでいくのが本当にすごいと思う」と語り、映像を通じて技術を学び続けている。