中国の身分証明書を保有する台湾の一般市民について、台湾の対中政策を所管する大陸委員会(陸委会)が対応方針を示した。
陸委会副主任委員の梁文傑氏は、11日に行われた定例記者会見で、「現在進めている調査は中央政府の公務員を対象としたものであり、すでに主要な作業は完了している」と述べた。今回の調査は自己申告を基本とし、啓発を目的としたものだという。今後は定期的な確認も行い、申告内容に虚偽が判明した場合には法的責任が生じるとしている。
こうした中、陸委会主任委員の邱垂正氏は、「中国の身分証関連の調査は公務員に限らず、台湾の身分を有するすべての人が対象となりうる」と発言。中国大陸の身分を保持している場合は放棄する必要があるとの見解を示した。
これに対し、梁氏は「一般市民に対して調査を実施する予定はない」とする一方で、「居住証・身分証・パスポートのいずれかを所持していると告発された場合には、『両岸人民関係条例』に基づき、台湾の国籍抹消措置が取られる」と説明。すでにこうした措置が実際に行われた例もあると明かした。
陸委会による初回調査では、中央政府機関の公務員約37万人を対象に審査を実施。今年4月末までに、大陸の身分証を所持していた2人と、居住証の保有者75人が確認された。風傳媒の取材によれば、身分証を持っていた2人は、いずれも安全保障関連機関に所属する海軍の志願兵および海上警察の兵士だったという。
現在、調査は第2段階に入り、対象は地方政府および各級の公立学校職員へと広がっている。梁氏は記者会見で、今回の調査は主に「自己申告」と「啓発」を目的としており、調査そのものはすでに完了していると説明。また、申告された内容については定期的に確認が行われ、後から虚偽が判明すれば法的責任が生じるとも述べた。
一方で、梁氏は「公務員以外の一般市民に対する調査は行わない」としつつも、「仮に一般市民が中国の身分証・居住証・パスポートのいずれかを持っていると告発された場合には、『両岸人民関係条例』に基づいて、台湾の身分が剥奪される」と再度強調。実際にそうした措置が取られた事例も多くあるとした。
なお、こうした厳格な姿勢に対して、処分の正当性に疑問を投げかける声もある。張立齊氏は、自身の居住証はすでに無効化されていると公表した上で、「自分は“放浪の地球人”だ」と語り、陸委会に対して誤解を解くための証拠公開を求めている。
編集:田中佳奈
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