香港が「台独宣伝」として「逆統戦」を禁止 ダウンロードも課金も罪

2025-06-11 16:04
香港警察国家安全処が台湾チーム開発のスマホゲーム「逆統戦:烽火」に対し禁止措置を実施した。(画像/YouTube「逆統戦」より)
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台湾のゲーム開発チーム「ESC」が制作したスマートフォンゲーム『逆統戦:烽火』が、香港警察により「国家安全に危害を及ぼす」として禁止令を受けた。警察は市民に対し、同ゲームのダウンロードや課金を行わないよう警告した。この事件は大きな注目を集め、ネットユーザーは今回の封殺が「無料宣伝」になったと揶揄する声も上がった。『逆統戦』は一時香港のGoogle検索ランキングで上位に躍り出て、Apple Storeのアドベンチャー系無料ゲーム部門でも第4位まで上昇した。これに対し、「逆統戦 Reversed Front」はFacebookで「丞相様、矢を賜り感謝します」と投稿し応答した。

香港警察が市民による『逆統戦:烽火』のダウンロードを厳禁

香港警察国家安全処は10日、香港国家安全維持法第43条実施細則に基づき、『逆統戦:烽火』に対して正式に電子情報禁制措置を講じたと発表した。市民に対し、承知の上でダウンロード、共有、課金による開発者への資金援助を行った者は、「国家分裂扇動」「政権転覆扇動」などの罪を含む複数の刑事責任を問われる可能性があると警告した。

警察は、同ゲームは娯楽を装いながら、実際には台湾独立、香港独立などの分裂主張を宣伝していると指摘した。また、中華人民共和国憲法によって確立された政治体制を武力で転覆することを扇動しているとしている。声明によると、ゲームプレイヤーは台湾、香港、ウイグル、チベットなどの陣営を演じることができ、目標は「共産政権の打倒」となっている。一方で「紅軍への忠誠」という選択肢も存在する。警察はさらに、実際に資金援助を行わなくても、このゲームを所持しているだけで「扇動的刊行物所持」に該当する可能性があると強調し、市民に対して直ちに削除し、法に触れることのないよう呼びかけた。

開発チームが皮肉を込めて応答

ゲーム公式はFacebookで黒地に白文字で「丞相様、矢を賜り感謝します」と投稿し、この措置が『三国志演義』の「草船借箭」のようにゲームを一躍有名にしたと皮肉った。香港の各大手インターネット掲示板でも大量の議論が巻き起こり、ネットユーザーからは「元々このゲームを知らなかったが、今では香港全体が知ることになった」「この広告効果は数千万の価値がある。国家安全処が無料宣伝してくれた」「国家安全認定、必ず良品」といったコメントが寄せられた。また「スマホゲーム1つで国家安全を揺るがすことができるとは、本当にそれほど凄いのか」と揶揄する声や、「これは逆統戦がすでに成功したということではないのか」と皮肉る声も上がった。

『逆統戦:烽火』は4月のリリース後から話題が絶えず、今回香港政府の禁制措置により注目度が急上昇した。禁止令発布後、迅速に香港地区のGoogle検索キーワードランキング上位に躍り出て、Apple Storeのダウンロードランキングでも急上昇し、アドベンチャー系で第4位に位置している。ゲーム公式サイトは香港地区ではアクセスできなくなったものの、関連情報はソーシャルメディアプラットフォームや転載を通じて拡散し続けている。

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