香港の街角に広がる電子の目:AI監視カメラ2000台導入計画
香港警察は治安強化と犯罪対策を目的に、2024年までに全市に2000台のAI顔認証機能付き監視カメラを設置する計画を発表した。この新システムは、人工知能(AI)技術を活用して犯罪者の追跡を行うことを目指している。
『星島日報』の報道によると、香港の1月から5月までの犯罪率は前年同期比3%増加した。蕭澤頤(シウ・チャクイー)香港警務処長は8月末、監視カメラ設置の進捗状況を報告。旺角地区に15台の監視カメラを追加設置したところ、犯罪解決に大きな効果があったという。
蕭澤頤処長は、年末までにさらに615台の監視カメラを設置する計画を明らかにした。これらは香港全18区の犯罪多発地点や人口密集地域をカバーし、群衆管理にも役立つとしている。また、ロンドンが90年代から監視カメラを導入し、現在80万台以上が稼働していることを挙げ、香港の計画の正当性を強調した。
AI顔認証技術の導入
香港警務処のウェブサイトによると、2000台の監視カメラ設置後の密度は1平方キロメートルあたり1.8台となる。これは、シンガポールの128.6台(2021年時点)や、英国の700万台以上と比較すると依然として低い水準だ。
CNNの報道によれば、2000台という数字は今年の目標に過ぎず、今後毎年この数を上回る設置が予定されているという。これらの新しい監視カメラには将来的に顔認証技術が導入される予定だが、具体的な時期や規模については明らかにされていない。
この計画に対し、匿名の批評家はCNNの取材に対し、多くの国が香港以上の監視カメラを設置し、顔認証技術を導入していると指摘しつつも、香港の場合は政治環境が異なると強調。香港政府の管理が北京当局に近づくにつれ、政治的反対者への弾圧に使用される懸念が高まっているという。
中国化する香港:監視社会化への懸念
英国の技術研究会社Comparitechの推計によると、香港には5万4500台以上の政府機関が使用する公共の監視カメラがあり、1000人あたり約7台の監視カメラが設置されている計算になる。これはニューヨークと同程度だが、ロンドンの約13台、中国都市部の平均約44台と比べると低い水準だ。
北京当局の「天網」監視システムによる抗議者の監視手法が徐々に香港に導入され、地域の自治権が制限されているのではないかという懸念は以前から存在した。2019年の反送中運動が最高潮に達した際、街頭の抗議者たちはマスクやゴーグルで顔を隠し、監視カメラを破壊することもあった。
『ニューヨーク・タイムズ』の2022年の報道によると、その年末に北京当局は顔認証システムを備えた監視カメラなどのツールを使って、各地で厳格な防疫措置に抗議する市民を監視し、警察が逮捕を行ったという。
専門家の見解:香港の自治と中国化のはざまで
ロンドン大学アジア・アフリカ学院教授で中国研究院主任のスティーブ・ツァン氏は、香港政府が国家安全法に基づいて新しい監視カメラを使用する可能性があると指摘。これらのツールが政治的抑圧に使用される可能性があり、香港政府がそのような使用を行わないと公に保証しない限り、香港の法執行方法がさらに中国共産党に近づく可能性があると警告している。編集:高畷祐子 (関連記事: 世論調査:台湾有事は日本有事か?台湾海峡で紛争発生なら、日本人4割以上が米軍の後方支援に賛成 | 関連記事をもっと読む )
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