政府の三方面からの戦略で株価急上昇、しかし課題は山積
中国政府が長期低迷する経済の立て直しに向けて、金融、株式、不動産市場での積極的な政策を打ち出した。この「三本の矢」とも言える戦略により、中国の株価指数は2675ポイントから3225ポイントへと急上昇し、約20%の上昇率を記録した。
専門家の見解:慎重な楽観論を:元立法委員でイェール大学政治学博士号を取得した郭正亮氏は、ネット番組「亮哥快評」で、政府の政策とそのタイミングは適切だとしながらも、過度な楽観は避けるべきだと指摘した。その理由として、中国に対する外部からの圧力が依然として存在していることを挙げている。
経済成長率5%の目標達成は困難か:郭氏によると、中国政府は年間経済成長率5%を目指しているが、第1四半期の4.7%、第2四半期の5.3%に続き、第3四半期は4.5%を下回る可能性があるという。目標達成には第4四半期での挽回が不可欠だ。
政府の積極策:金融緩和から株式市場てこ入れまで
金融緩和策:中国人民銀行は預金準備率や7日物リバースレポ金利を引き下げ、金融緩和を進めている。
株式市場への資金流入促進:銀行や非銀行機関が中央銀行から借り入れた資金を国内株式市場に還流させる仕組みを導入。
不動産市場の安定化:住宅ローンの頭金比率調整や、国有銀行による不動産開発企業への融資拡大を通じて、不動産価格の下落に歯止めをかけようとしている。
消費と投資の低迷:経済回復の最大の障壁
消費者信頼感の回復が鍵:郭氏は、現在の中国経済の主な問題として消費者信頼感の低下と投資の不振を指摘。株価上昇による資産効果で消費を刺激し、それが企業の投資を促す好循環を期待している。
新たな金融政策ツールの導入:中国人民銀行は、証券会社やファンド、保険会社が保有する債券や株式、ETFなどを担保に資金を調達できる新たな仕組みを導入。これにより、約5000億元の資金が株式市場に流入する見込みだ。
警戒すべき点:「政策相場」の実態
株価上昇の背景:郭氏は、今回の株価上昇を「牛市(強気相場)」ではなく「政策相場」と分析。政府の政策誘導による一時的な現象である可能性を指摘している。
若年層の高失業率:16〜24歳の失業率は7月の17.1%から8月には18%に上昇。雇用市場の改善が見られていない点も懸念材料だ。
今後の展望:10月の経済指標に注目
郭氏は、この株価上昇が消費と投資の回復につながるかどうかを見極めるには、10月の経済指標の発表を待つ必要があると指摘。製造業購買担当者指数(PMI)の改善、雇用の増加、民間企業の収益性向上などが、真の経済回復の鍵を握るとしている。
編集:高畷祐子 (関連記事: 台湾海峡緊張:賴清德総統の演説を受け中国が大規模軍事演習を実施 尖閣諸島沖で中国船4隻が一時領海侵入 | 関連記事をもっと読む )
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