台中市で再びバス事故が発生し、東海大学の女子学生1名が死亡、1名が負傷した。この事故は、3年前に同じバス会社の車両に娘を奪われた遺族の心に深い傷を与えた。
繰り返される悲劇:巨業バスによる2度の死亡事故
巨業バスの305号車は22日、台中市中区の宮原眼科前の交差点で、横断歩道を渡っていた東海大学の女子学生2名をはね、1名が死亡、1名が負傷した。運転手の施氏は「薄暮で人影が見えなかった」と供述。検察は過失致死容疑で1万台湾ドルの保釈金を設定した。
3年前にも同社のバスが、嘉陽高校に通う張さんをはねて死亡させる事故を起こしている。裁判所は「バスが速度超過で信号無視し、横断歩道の歩行者に譲らなかった」と認定。運転手に禁錮10ヶ月、執行猶予3年の判決を下している。
遺族の心の叫び:「2万ドルで娘の命は買えない」
今回の事故を知った張さんの遺族は、3年前に市長の盧秀燕氏に宛てた手紙を公開した。その中で行政の対応を厳しく批判している。
「事故後、市からの謝罪の言葉は一切なく、慰問金が送られてきただけでした。2万台湾ドルの慰問金は、母親にとって屈辱以外の何物でもありません。娘の命がたった2万台湾ドルの価値しかないというのでしょうか」と遺族は訴えている。
安全な通学路を求めて:行政の責任を問う声
張さんの母親は、多くの学生がバスで通学している現状を踏まえ、「台中市は歩行者の安全を本当に確保しているのでしょうか」と疑問を呈している。
「事故後の対策は後手に回っているだけです。市や法律が変わらない限り、厳しい規制や罰則で事業者を正さない限り、次の犠牲者が出ないという保証はありません」と、行政の本質的な対応を求めている。
癒えない心の傷:家族の日常に影を落とす事故の記憶
張さんの父親は、妻が今でも娘を失った悲しみから立ち直れていないと語る。「残された子どもたちのために強くならざるを得ません。今でもバスを見ると緊張してしまい、下の娘は私か妻が交代でバイクで送り迎えしています。二度と同じ思いはしたくないのです」
時に抑えきれない思いに駆られ、そのまま保存している娘の部屋で一人涙を流すこともあるという。「泣いた後は再び強くなる。生活は続いていくのですから」と、父親は静かに語った。
編集:高畷祐子 (関連記事: 男児が就学年齢に達しても入学せず…基隆の山奥で乳児遺骨を発見!実父が「2つの重罪容疑」で勾留される | 関連記事をもっと読む )
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