「私の製品じゃない!」レバノン爆発で疑惑の的、台湾企業社長の無実訴え

ヒズボラのメンバーが使用していたポケベルが大規模に爆発し、数千人が負傷。これらのポケベルは台湾製との情報が流れている。画像:(美聯社)
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「台湾製」疑惑のポケベルが引き起こした国際的緊張

レバノンで起きたヒズボラメンバーのポケベル同時爆発事件。その背後に台湾企業の影があるとの疑惑が持ち上がり、国際的な注目を集めています。事件では少なくとも9人が死亡、約2800人が負傷する大惨事となりました。

「私は被害者だ」台湾企業社長の必死の弁明

ゴールドアポロ社(金阿波羅)の許清光社長は緊急記者会見を開き、「問題のポケベルは当社製ではありません」と強く否定しました。

「私がやったのではない」と声を震わせる許社長。「なぜテロ事件に巻き込まれなければならないのか。私たちは責任ある企業です」と、困惑と怒りを隠せない様子でした。

謎の欧州企業「BAC社」の存在

許社長によると、欧州の代理店「BAC社」が3年前から同社ブランドを使用して独自にポケベルを製造していたとのこと。同社は声明を発表し、「BAC社との契約で特定地域での商標使用を許可していたが、製品設計と製造はBAC社が担当していた」と説明。問題のAR-924機種はBAC社の製品だとしています。

しかし、BAC社の詳細や所在地については明らかにされておらず、新たな謎を生んでいます。

台湾当局、緊急調査に乗り出す

18日朝、台湾の調査局(特務機関)は国家安全局からの緊急指令を受け、新北市に本社を置くゴールドアポロ社の捜査に着手しました。約3000台のポケベルがレバノンに流出した経緯を追跡しています。

台湾経済部は、同社がレバノンへ直接ポケベルを輸出した記録はないと発表。しかし、第三国経由での流出の可能性は否定できないとしています。


イスラエルの暗躍か?専門家が指摘する"第三の可能性"

元台湾空軍少佐の邱世卿氏は、爆発の性質から判断して、イスラエルの情報機関がポケベルに爆発装置を仕掛けた可能性を指摘しています。

「爆発後の映像を見ると、ほとんど炎の痕跡がありません。また、破片の損傷度から判断すると、爆発装置の設計はかなり高度なものだったと言えます」と邱氏は分析しています。

記者が国際訴訟の可能性を聞いた。許社長は「もちろん」と答えた。

「うちは大きな会社じゃない。でも責任ある製品を作ってきた」と許社長は言った。「長年この仕事をしてきた。この件で会社の名前に傷がつくのは嫌だ」

自分が被害者だと思うかという質問に、許社長は「当然だ」と答えた。「まじめに商売をしているだけなのに、なぜテロ事件に巻き込まれるんだ」

許社長の言葉からは、怒りと困惑が伝わってくる。突然の事態に、会社の名誉を守ろうとする必死の姿が見える。

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