「アジア世紀」到来を予見する外交のエキスパート
シンガポール国立大学アジア研究所の特別研究員で、元国連安全保障理事会議長のキショー・マーブバニ氏が、風傳媒のインタビューに応じ、台湾を取り巻く厳しい国際情勢について警告を発した。
米大統領選の行方:ハリスとトランプ、五分五分の戦い
マーブバニ氏は、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領の勝算は五分五分だと分析。「ハリス氏に若干の勢いがあるように見えますが、多くのアメリカ人が強い大統領を求めており、それがトランプ氏への支持につながる可能性もあります」と風傳媒に語った。
「台湾独立」発言で戦争勃発も
マーブバニ氏は、トランプ氏再選の場合、台湾が米中競争の「簡単に犠牲にされる駒」になる可能性を警告。「トランプ氏は『台湾の独立を認める』と宣言するかもしれません。しかし、これは台湾への贈り物ではなく、直接的に戦争を引き起こすでしょう」と指摘。一方で、「経済協定などトランプ氏にとってより重要な問題で中国と妥協し、台湾の利益を無視する可能性もある」と分析した。
「半導体ビジネス」と「保護費」発言
台湾の最近の懸念は、トランプ氏の発言に由来している。トランプ氏は今年6月のインタビューで、台湾が「アメリカの半導体ビジネスを奪った」と述べ、台湾がアメリカに「保護費」を支払うべきだと主張。外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は、トランプ氏主導の対台湾政策下では、台湾が予測困難な厳しい4年間に直面し、自国の価値を必死に証明しなければならなくなると分析している。
マーブバニ氏は風傳媒に対し、「トランプ氏は感情に左右されない人物です。『アメリカを再び偉大に』する目標のために台湾を犠牲にする必要があれば、彼は躊躇しないでしょう」と警告した。
「米国は台湾のために犠牲を払わない」― 自主防衛の現実直視を促す警告
マーブバニ氏は、台湾がワシントンで超党派の支持を得ていることを認めつつも、「アメリカ人は常に自国の利益を最優先します。そのため、台湾も慎重に自国の核心的利益を守る必要があります」と強調。風傳媒は、この発言が台湾の自主防衛の重要性を示唆していると報じている。
同盟国も自国優先 ― 日韓の対中政策に台湾は含まれず
マーブバニ氏は、日本や韓国などの米国の同盟国も、対中関係において自国の利益を最優先すると指摘。「韓国にとって最大の脅威は北朝鮮です。中国を刺激して北朝鮮と手を組ませることは韓国の利益になりますか?」と述べ、台湾問題が必ずしも同盟国の対中政策の中心にはならないと分析した。
「中国か台湾か」の二者択一を迫るな
「世界の多くの国にとって、中国との関係は台湾との関係よりもはるかに重要です。だから、これらの国々に中国と台湾の間の選択を強いてはいけません」とマーブバニ氏は結論づけた。
編集:高畷祐子 (関連記事: 台北地検、「小沈1500」情報漏洩か 台北地検は、三立テレビ女性記者を召喚 | 関連記事をもっと読む )
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