台湾の産業発展モデル:TSMCの成功例から
TSMCの劉徳音前会長は、行政院経済発展委員会の初回顧問会議で、台湾の経済発展について講演を行った。劉氏は、TSMCの成功を例に挙げ、台湾の強みを活かし、弱点を避ける戦略の重要性を強調した。
新竹科学園区の優位性
劉氏は特に、1980年に設立された新竹科学園区の「シングルウィンドウ制度」を高く評価した。「最近、米国で工場を建設していて痛感しましたが、シングルウィンドウがないのは本当に苦痛です」と述べ、会場の企業家たちからも共感の笑いが起こった。
米国進出の課題
TSMCの米国アリゾナ州進出については、文化の衝突やインテル(Intel)による人材引き抜き、トランプ政権の政治的圧力など、様々な課題に直面していることを示唆した。特に、台湾の工程師(エンジニア)文化が米国では適用しづらく、労使関係の緊張を招いていると指摘した。
公私協力の重要性
劉氏は「台湾では公私協力が非常にうまくいっているが、米国ではそれが非常に困難だった」と述べ、これこそが台湾の真の強みだと強調した。シンガポールや中国も台湾のモデルを学んでいるが、台湾がこれらの「学習者」よりも優れた成果を出せることを期待すると語った。
「追う者より速く進歩せよ」
しかし、劉氏は過去の成功に驕ることなく、「リードしている者の進歩速度が追いかける者よりも速くなければ、本当のリードとは言えない」と警鐘を鳴らした。台湾の産業の多くが、柔軟な協力会社の存在によって競争力を維持していると指摘し、この独特のエコシステムを今後も発展させていく必要性を説いた。編集/高畷祐子
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