自民党総裁選の投開票が27日に行われる中、15日、9人の候選者がフジテレビの番組に出演し「台湾有事」の際の邦人保護の方法について議論した。内閣官房長官の林芳正氏は、「現行法では対応できなくても、まず邦人を救出し、その後で政治的責任を負うべきだ」と述べた。元幹事長の石破茂氏は、邦人保護に必要な「同意」を得る対象は台湾であると指摘。元環境大臣の小泉進次郎氏は、シミュレーションを行う必要性を強調しました。
自民党総裁選挙には9人が立候補している。経済安全保障担当大臣の高市早苗、小林鷹之、林芳正、小泉進次郎、外務大臣の上川陽子、前内閣官房長官の加藤勝信、デジタル大臣の河野太郎、石破茂、そして現自民党幹事長の茂木敏充である。今回の選挙は、1972年に自民党が推薦人制度を導入して以来、最多の候補者数となった。
台湾海峡問題が注目を集める 「有事シミュレーション」が観察指標に
産経新聞の報道によると、外相、防衛相、官房長官など「有事」シミュレーションを担当した経験の有無が、候補者の発言内容の具体性に差をもたらしているとのことである。中台関係については、2024年2月に台湾の金門島付近で中国漁船の転覆事故が発生し、2名が死亡した。その後、中国海警船が台湾の管轄水域に侵入し、さらなる圧力をかけた。2024年7月下旬に中国と台湾が和解に達したものの、8月に米国のシンクタンク戦争研究所と米国企業研究所(AEI)が発表した報告書では、中国が今後6ヶ月以内に金門島奪取作戦を行う可能性があると指摘している。
番組では、中国が台湾を封鎖した場合の邦人救出の法的根拠についても質問があった。茂木敏充は、新型コロナウイルス感染症の初期に外相として封鎖下の中国・武漢からの邦人退避を指揮した経験を挙げ、様々なシミュレーションを基に対応に自信があると強調。小泉進次郎も邦人救出時の法的根拠について問われ、「リスクが高まった際には、日本が単独で対処できる事項と他国との協力が必要な事項を整理し、シミュレーションを行い、他国との協力を強化することが非常に重要である」と述べた。
自衛隊法によると、自衛隊が在外邦人保護を行う際には現地国の「同意」が必要である。中国が台湾を封鎖した場合、邦人救出時の「同意」は中国から得るべきか、それとも日本が国交を持たない台湾から得るべきかという問題がある。この点について問われた小泉は再び「有事のシミュレーション」の必要性を強調し、簡潔な回答で締めくくった。一方、石破茂は躊躇なく「台湾だろう」と答え、「中国がこのような状況を作り出せば明らかに国際法違反であり、中国との交渉は不可能である」と指摘した。
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石破の発言の後、番組側は全候補者に対し、台湾の同意が必要かどうかを尋ねた。加藤勝信も「政府の解釈はそのようなものである」と述べ、小泉氏を含む全員が同意の意を示した。しかし、このような状況が発生した場合、日本政府は台湾の国家主権を認めることになるのかという疑問が生じる。歴代の外相、防衛相等を務めたデジタル大臣の河野太郎は次のように指摘した。「平時において日本は『一つの中国』政策を遵守しているが、このような危機的状況下では、実効支配している側に基づいて判断する必要がある。金門島は平時より台湾が管轄しており、台湾の同意を得れば、法的にも問題のない判断となる。」この議論は、台湾海峡の緊張状況下における日本の外交的立場と実際の対応の間のジレンマを浮き彫りにしている。候補者たちの発言は、危機的状況下では実態に即した判断が必要であることを示唆しているが、同時に「一つの中国」政策との整合性をどう保つかという難しい課題も提起している。