日本ハムファイターズは2023年、台湾の新世代エースピッチャー孫易磊と4年契約を結んだ。推定契約金総額は9000万円。ほぼ1シーズンを経た9月、孫は二軍の鎌ケ谷スタジアムで風傳媒のインタビューに応じ、成長を実感していると語った。
しかし孫は、試合の感覚不足も正直に認めている。「出場機会が少なく、前半はほとんど練習に励んでいた。各試合は長い期間が開くため、全体的に試合感覚が乏しいと感じている」と述べた。
なぜ日本ハムを選んだのか 孫易磊が理由を明かす
日本ハム入団の理由について、孫は「台湾から近く、食事にも慣れやすいから」と語った。また、米国のマイナーリーグシステムと比べ、日本の一軍二軍制度はシンプルで、集中的な訓練と即時のフィードバックが得られる点を評価した。入団時には球団からプレゼンテーションを受け、家族もこれを聞き、日本ハムが良いと感じたという。
学生時代との違いについて、孫は「プロの強度は非常に高い」と指摘。「学生時代は試合が頻繁だったが、プロでは8〜10日間隔で登板するため、試合感覚の掴みにくさがある。また、プロの試合の強度と細やかさは大きく異なる」と説明した。
先輩選手からのアドバイスも重要だという。楽天の陳冠宇や、ヤクルトの高橋翔聖らから生活面や野球面での助言を得ているという。「高橋とは中学時代から知り合いで、高校でも一緒に試合をした。彼はヤクルト二軍の拠点がある戸田にいる」と語った。
元日ハム陽岱鋼との対戦に興奮 "憧れの選手"からアドバイスも
オイシックス新潟アルビレックス所属の陽岱鋼との対戦について、孫は「初登板でとても興奮した」と振り返る。「テレビで見ていた選手と実際に対戦できるとは思わなかった」と語り、陽からのアドバイスにも感謝の意を示した。
来季の目標について、孫は「感覚をつかみたい」と述べた。「今年は焦りがあったが、来年はゆっくりと調整し、4・5・6月頃から本格的に投げていきたい。支配下登録も目指したい」と意欲を示した。
先発投手として育成 秋季フェニックス・リーグ参加へ
球団は孫を先発投手として育成する方針だ。「前回は間隔が空いたため中継ぎで1イニング投げたが、基本的には先発として調整している」と説明した。10月7日から28日に開催される「宮崎フェニックスリーグ」にも参加予定で、さらなる成長が期待される。
言葉の壁については「何とか乗り越えている。話せる限り話すようにしている。時々でたらめに話しているような時もあるが、チームメイトともコミュニケーションを取れている」と語った。背番号「196」については「U-18時代の背番号96に特別な思い入れがあるが、育成選手は3桁の背番号なので、この番号を選んだ」と説明した。
ファンの支援にも感謝を示し、「春季キャンプから現在まで、二軍の試合でも多くの方が応援に来てくれ、台湾人ファンも来てくれると聞いている」と喜びを語った。
大物先輩との"幻の食事会" 孫易磊が微笑みながら明かす
チームメイトとの関係も良好だという。日本プロ野球記録となる400試合中継ぎ登板を達成した宮西尚生選手が、孫を特に気にかけていたという。「宮西さんは春季キャンプや開幕直後によく食事に誘ってくれました」と孫は語る。「日本ハム二軍施設はかなり不便な場所にあって、周辺に飲食店がほとんどないんです。宮西さんは私がいつも寮で食事をしているのを見て、一緒に外食しようと声をかけてくれたんだと思います」と。
又、「宮西さんに食事に誘われたが、彼が一軍に上がってしまい、実現できていないので来年に期待している」と孫は笑顔で語った。若手投手の畔柳享丞とも仲が良く、チームの若手選手たちとの交流も活発だという。「みんなで食事に行くこともあり、誘ってもらっている」と楽しそうに述べた。
編集:佐野華美 (関連記事: 【特集】周思齊選手を引退寸前に追い込んだ過去台湾プロ野球、栄光と汚点の20年史 〜八百長問題の深い闇〜 | 関連記事をもっと読む )
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