27日、自民党総裁選挙が東京・永田町の党本部で行われ、67歳の石破茂氏が2回の投票を経て、第28代自民党総裁に選出された。共同通信の報道によると、自民党は現在、衆議院と参議院で過半数の議席を確保しているため、新総裁は10月1日に開かれる国会臨時会で第102代首相に選出される見込みで、新内閣も同日に発足する。
「保守派」の純度が低いことが利点に、石破茂氏が高市早苗氏に勝利
淡江大学日本政経研究修士課程の蔡錫勲教授が『風傳媒』のインタビューを受け、分析結果を答えた。63歳の経済安全保障担当大臣である高市早苗氏は一時、日本初の女性首相になると期待されていたが、党内の2回目の投票で石破氏に敗れた。これは派閥間の駆け引きが大きく影響しているほか、「女性」であることも関係しているが、決定的なのは高市氏が保守派に偏りすぎていたこと、また自身が新首相に選ばれた場合、その立場で靖国神社に参拝すると発言していたことだという。
蔡教授はさらに、高市氏が新首相になれば、日本と韓国の関係改善に影響を与え、ひいては日米韓同盟関係にもマイナスの影響を及ぼすのではないかと外部から懸念されていたと分析する。それに対し、石破氏の保守派としての純度が低いことが、自民党総裁選や新首相の座を争う上で有利に働いたという。
一方、石破氏が5度目の自民党総裁選でついに成功を収めたのは、「党内孤立派」というイメージを意図的に変え、党内の人々との交流を強化したことと関係があり、これにより多くの同党議員が今後の国会選挙での票集めに自信を持つようになったという。
日本のメディア報道を総合すると、石破氏は短期的には衆議院を解散して総選挙を行う考えはなく、数回の国会会議を通じて国民に新内閣をより知ってもらい、支持を得たいと考えているという。彼は「共感と納得」の新内閣を率いたいと望んでいる。
蔡教授は、石破氏が率いる新内閣の支持率は短期的に上昇し、岸田文雄政権の20%に満たない支持率の窮地を脱すると予想しているが、長期的な支持率は実際の政策実績次第だとしている。衆議院選挙は依然として行われる見込みで、そのタイミングは来年の夏前になるだろうという。これは、さらに延期すれば参議院選挙と重なってしまうためだ。
日本の自衛権の修正を主張、日米・米韓同盟を「アジアNATO」に統合可能
石破氏の主要な外交・防衛政策の方向性は、岸田文雄政権の路線を継承するものとなる。彼は防衛大臣を務めた経験があり、日本の安全保障を特に重視している。自民党総裁選の期間中、中国の空母が日本の海域に侵入した際、石破氏は特にこの事態に抗議し、日本の自衛権を修正する必要があると主張した。従来の警察権的アプローチでは、日本の領土・領海・領空を侵害から十分に守ることができないためだ。
石破氏は「今日のウクライナ、明日のアジア」という言葉を何度も公に発している。ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)の加盟国でなかったがゆえにロシアの侵攻を受けたとし、ロシアを中国に、ウクライナを台湾に置き換えれば、台湾海峡で戦争が勃発する可能性もあると指摘している。
石破氏は、地域の安全を強化するためには、日本が防衛態勢を強化し、防衛予算を増額するだけでなく、「アジアNATO」(Asia NATO)の創設を推進する必要があると考えている。これは、同盟国の一つが攻撃を受けた場合、他の加盟国が共同で防衛できるようにするためで、アジアの集団防衛体制を構築することを目指している。現在の日米同盟や米韓同盟などをこの「アジアNATO」に統合することも可能だと主張している。
蔡教授は、石破氏が中国を恐れず、以前台湾を訪問した際に自民党総裁選への出馬を高らかに宣言したことを指摘している。彼は選挙期間中も「台湾有事は日本有事」という概念を繰り返し言及し、台湾が花蓮地震の際に迅速に被災者を収容し、避難所を設置し、損壊した建物を解体した対応に感銘を受けたという。蔡教授は、石破氏が日本の新首相に就任すれば、日台関係や両者の交流・協力の拡大にさらにプラスになると予想している。
編集:佐野華美 (関連記事: 《自民党総裁選》「日本初の女性首相」に手が届かず、第一回投票でリードした高市早苗氏はなぜ負けたのか? | 関連記事をもっと読む )
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