日本工商会、台湾のCPTPP加盟を支持 「五缺」問題の解決と両岸関係の安定化を要望

台北市日本工商会は、日本政府に対し台湾のCPTPP早期加盟への支持表明を呼びかけている。(資料写真、AP通信)
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台北市日本工商会は本日、2024年政策提言白書を発表し、台湾政府に対して研究開発費や設備投資の適用基準緩和を要請した。これにより、日系企業が台湾版チップ法の恩恵を受けやすくなることが期待される。同時に、日台両政府に包括的経済連携協定の早期締結を求め、日本政府に台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)早期加盟支持を呼びかけた。さらに、2030年までに日台貿易額を1.5倍に引き上げる目標も設定した。

シームレスな経済協力:日台関係の新時代へ

村田温理事長が国家発展委員会の劉鏡清主任委員に白書を手渡した。今年の白書は「シームレスな日台経済協力と共同発展」を主眼に置き、貿易・投資・人的交流の拡大を目指している。具体的には、2030年までの貿易額1.5倍増、最高水準の相互投資維持、学生・ビジネス交流の促進などが挙げられる。

福島県など5県産食品の輸入規制撤廃を要望

白書では、ビジョン実現に向けた5つの重点項目が提示された:

  1. 物品・サービスの自由な流通を可能にする制度構築

  2. 安心して投資できる環境の創出

  3. 企業間協力による日台サプライチェーンの強化

  4. 学生間・企業間の交流機会の創出

  5. 柔軟な行政政策の実施

特に、日台間の経済連携協定締結や関税引き下げ、非関税障壁の撤廃など、解決すべき課題が多いことが指摘された。福島県など5県産食品の輸入規制に関しては、台湾政府の対応に感謝しつつ、早期の規制撤廃を要望。食品を通じた日台友好関係の深化に期待を寄せている。

CPTPP加盟支持と包括的経済連携協定の早期締結を

中国が海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のアーリーハーベスト品目の優遇関税を停止したことについて、日本工商会は台湾企業だけでなく日系企業にも影響が及ぶと指摘。台湾がニュージーランドやシンガポールと経済連携協定を締結していることを挙げ、日台間でも早期の包括的経済連携協定締結を求めた。

また、台湾の2021年CPTPP加盟申請に関して、台湾政府に他国からの支持獲得を継続するよう促すとともに、日本政府にも台湾の早期加盟支持を表明するよう要請した。

投資環境の改善:「五缺」問題の解決と両岸関係の安定化

投資環境の最適化について、日本工商会は日本からの対台湾投資拡大の観点から、いわゆる「五缺」(電力不足、水不足、人材不足、労働力不足、用地不足)問題の解決と両岸関係の安定化を求めた。これにより、日系企業が安心して台湾に投資できる環境の整備を目指している。

台湾版チップ法の適用条件緩和を要請

2023年に施行された台湾版チップ法に関して、日本工商会は適用対象や金額、規模などの条件に問題があると指摘。現状では日系企業による新規投資案件が台湾版チップ法の恩恵を受けられていないとし、研究開発費や設備投資の基準緩和、日本の半導体事業への補助金支給などを要請した。

産業協力の強化:サプライチェーンの連携と第三国市場の開拓

日本工商会は、企業間協力を通じた日台サプライチェーンの強化を提言。台湾政府に対し、現在注力している半導体やAI産業だけでなく、再生可能エネルギーやバイオテクノロジーなど幅広い分野での協力強化、さらには第三国市場の共同開拓を求めた。

人材交流の促進:教育とビジネスの架け橋に

人材育成に関しては、日台共同での人材育成プログラムの開設や学生間の双方向交流機会の増加を提案。これにより、次世代の日台関係を担う人材の育成を目指している。

行政の柔軟性向上:グローバル時代に即した制度改革を

最後に、日本工商会は行政の柔軟性向上について言及。グローバル化時代に対応した透明性の高い制度の策定や、実務に即した法規制の改正などを提言した。これらの施策により、より円滑な日台経済連携の実現を目指している。編集:高畷祐子 (関連記事: なぜ台湾の集団は常に人手不足にならないのか? 更生し10年、笑って振り返るターニングポイント:裕福な人々には理解できない平行世界 関連記事をもっと読む

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