アメリカ国務省は最新の発表で、長らく中断されていた国際学生向けビザの面接手続きを再開する方針を明らかにした。ただし、トランプ政権下で導入された方針に従い、今後アメリカへの留学を予定する申請者には、ある重要な条件が課される。それは、ソーシャルメディアのアカウントを公開設定とし、連邦政府がその内容を確認できるようにすることだ。申請者がプライバシーを理由にこれを拒否した場合、ビザが発給されない可能性もある。
AP通信の報道によれば、こうした審査を見越して、アメリカやインドの複数メディアは申請書の提出前にSNSでの発言を確認するよう呼びかけている。国務省の公式発表によると、審査ではアメリカの政府、制度、文化、建国理念に対して敵対的な言動がないかをチェックするという。
US resumes student visas but orders enhanced social media vettinghttps://t.co/3I6VFbuQpB
— BBC News (World) (@BBCWorld)June 18, 2025
アカウントの公開を拒否したり、疑わしい投稿を削除したりすることも、審査を意図的に回避したと見なされ、ビザ不発行の理由となる可能性がある。これにより、各国の領事官に従来以上の裁量が与えられることになり、国際的には「発言の自由が過度に制限されるのでは」と懸念の声も上がっている。特に、ある国の政府とアメリカとの関係性次第で、学生の投稿が歪曲されて解釈されるリスクも指摘されている。
現時点で特に影響を受けやすいとされるのは、中国、インド、メキシコ、フィリピンなどの国々だ。これらの国々からの留学生は元々申請数が多く、今回の変更によりビザ取得の手続きがさらに煩雑になる。面接の予約確保を目指し、領事館のウェブサイトを何度も更新している学生も少なくないという。

留学先の「国際学生比率」が新たな分かれ道に
アメリカの新たな方針によれば、今後は国際学生の登録率が15%未満の大学が、学生ビザの「優先処理対象」となるという。このため、馴染みのあるハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学といったアイビーリーグの名門校や、南カリフォルニア大学、カーネギーメロン大学、ジョンズホプキンス大学といった私立大学に進学予定の学生は、慎重な対応が求められるかもしれない。
これらの大学では、海外学生の比率が20%を超えるケースが多く、審査の優先順位が下がることで、入国が学期開始に間に合わなくなるリスクも出てくる。

各大学の公表データによれば、ハーバード大学の過去3年間の国際学生比率は25.8〜27%で、コロンビア大学では約30%、カーネギーメロン大学は42%に達している。一方で、プリンストン大学やペンシルバニア大学の比率は10〜14%台にとどまり、優先対象に近いとみられる。
学生ビザの再開は朗報ではあるが、SNSという「新しい審査基準」が加わることで、今後の留学計画に影響を与える可能性は高い。申請者は早めに準備を進め、審査への対応力を問われることになりそうだ。
編集:田中佳奈
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