米中覇権争いは「AI技術」で勝負が決まる 過去の産業革命に見る大国の興亡と「テクノロジー」の密接な関係

2026-02-12 14:15
米中間の大国間競争はAIで勝負が決まるのか。写真は昨年、中国・北京で開催された世界ロボット大会の初日、箱を運ぶ人型ロボット(写真/AP通信提供)。
米中間の大国間競争はAIで勝負が決まるのか。写真は昨年、中国・北京で開催された世界ロボット大会の初日、箱を運ぶ人型ロボット(写真/AP通信提供)。

過去2世紀、「第N次産業革命」の到来は常に列強の興亡と交代を伴ってきた。「テクノロジーと大国の台頭」は密接不可分であると考えられている。そして今、我々は再び重要な転換点を迎えている。AI(人工知能)がもたらす産業革命は、米中間の大国間競争における最終的な勝敗を、AI競争の中で決することになるだろう。

AIは近年、個人の生活、雇用、消費・娯楽から、マクロな産業発展、投資、企業改革、さらには大国間のパワーゲームに至るまで、多岐にわたる分野で最も注目されるトピックとなっている。最近、海外メディアでは米中間のAI競争の勝敗に関する議論が散見されるが、その見解や予測は真っ向から対立している。

昨年初頭に中国の「DeepSeek(ディープシーク)」が彗星のごとく現れて以来、従来の「中国のAIは米国に遠く及ばない」という外部の認識は覆された。この1年で中国のAI企業は増加の一途をたどり、これまでに中国が発表した大規模言語モデル(LLM)は1500種を超え、世界最多となっている。ダウンロード数が多く評価も高いアプリの多くは、オープンソースモデルであるDeepSeekをベースにしたものである。例えば、米国企業でありながら中国のAI技術を採用している画像共有サービス「ピンタレスト(Pinterest)」は、世界的に人気を博し、毎月数億人のユーザーが利用している。また、「フォーチュン500」企業の多くも、中国のAI技術を採用し始めている。

一方で、中国国内からは悲観的な見方も出ている。先月、中国のAIスタートアップ企業「智譜AI(Zhipu AI)」の創業者である唐傑(タン・ジエ)氏は、米中間のAI格差は実際には拡大しており、その鍵は半導体(チップ)のボトルネックにあると指摘した。また、今後3〜5年で中国が米国のAI企業を追い抜く可能性について問われた際、アリババ(Alibaba)のAI技術責任者である林俊暘(リン・ジュンヤン)氏の回答は「20%以下」という厳しいものであった。

米中間のAI競争の行方がこれほどまでに注目され、懸念される理由は、個々の技術の重要性だけではない。最も重要なのは、AIという技術因子が「第4次産業革命」を始動させると見なされているからだ。過去の歴史を振り返れば、産業革命は大国の興亡と権力の交代を伴ってきた。これこそが、新著『テクノロジーと大国の興隆――汎用技術はいかに権力構造を変えるか(原題:Technology and the Rise of Great Powers)』のテーマでもある。 (関連記事: 【独占インタビュー】「名前だけで金が集まれば、それがバブルだ」ノーベル賞・エングル氏が語るAI熱狂の「正体」と崩壊の条件 関連記事をもっと読む

著者のジェフリー・ディング(Jeffrey Ding)氏は、ワシントン大学の政治学助教であり、米国のシンクタンクやAIガバナンスセンターと協力し、新興技術と国際安全保障、イノベーションの政治経済学、そして中国の科学技術力について研究を行っている。本書はシカゴ・グローバル評議会の2024年推薦図書に選出されており、2025年中旬には台湾でも出版される予定だ。

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