トップ ニュース 【李忠謙コラム】トランプは「ベネズエラ斬首作戦」を再現し、テヘランでイラン神権体制を打倒するのか?
【李忠謙コラム】トランプは「ベネズエラ斬首作戦」を再現し、テヘランでイラン神権体制を打倒するのか? 2026年1月14日、イランの首都テヘランで、通りを歩く女性たちの背後にイラン国旗を握りしめる愛国主義的な巨大ポスターが掲げられている。(AP通信)
イランのアルザハラ大学とシャリフ工科大学で再び抗議デモが発生し、「教室が空っぽなのは、墓地が満員だからだ」という学生たちの叫びが、イラン政権の残酷な本質を浮き彫りにしている。
人権団体HRANAの統計によると、今年に入ってからの武力弾圧だけで、少なくとも7000人のデモ参加者が死亡したという。学生たちは木の梢におもちゃのネズミを吊るし、最高指導者ハメネイ師を地下壕に潜むネズミに例えて嘲笑している。さらに彼らは、「支援の手を差し伸べる準備はできている」「援助はすでに向かっている」と度々公言してきたドナルド・トランプ氏が、その言葉を実現することを期待している。
米軍の巨大な艦隊はすでに配備を完了している。エイブラハム・リンカーン空母打撃群に加え、本来カリブ海に展開していたジェラルド・R・フォード空母打撃群もクレタ島近くのスダ湾に到着し、2003年のイラク戦争以来、同地域における最大規模の米軍戦力が集結した形だ。
今年1月にベネズエラのニコラス・マドゥロ政権に対する「斬首作戦」を成功させた後、イランがトランプ氏の意志を貫徹する次なる場となるかどうかが、各界の注目の的となっている。ハメネイ政権の存続をかけたこの「窮鼠(きゅうそ)」の闘いは、すでに最終の秒読み段階に入ったとみられる。
トランプ氏はソーシャルメディア上で特有の自信を見せているが、多くの専門家はテヘランが米国の裏庭にあるカラカスとは異なると警鐘を鳴らす。米シンクタンク「大西洋評議会」のイラン戦略プロジェクト責任者、ジェイソン・ブロツキー氏は、ハメネイ師が権力を高度に私物化しているものの、イランはベネズエラよりも複雑で、巨大かつ制御困難な制度体系を持っていると指摘する。最高国家安全保障委員会(SNSC)や国防委員会の存在により、政権は局所的な打撃を受けても強力な自己修復能力を発揮する。こうした神権統治者たちにとって、妥協のリスクは戦争よりも高い恐れがある。
群衆はイランの元皇太子、レザー・パフラヴィー氏を求めているが、現状ではロドリゲス氏(マドゥロ氏の副官であり、現在はベネズエラの代理大統領)のように事態を掌握し、トランプ政権から一定の支持を得られる人物が欠如している。ハメネイ師が直面しているのは「司令部のない革命」である一方、トランプ氏が対峙しているのは、廃墟の中で殉教することを選び、交渉のテーブルで命乞いをすることを拒むイデオロギー的な強硬派である。
トランプ氏の目算:兵力配備とレッドラインのジレンマ トランプ氏は全面戦争を仕掛ける準備ができているのだろうか。米戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・F・キャンシアン氏とクリス・H・パーク氏は、データ比較を通じて現在の米軍配備の戦略的意図を読み解き、現在の武力エネルギーは強力であるものの、その構成論理は全面侵攻とは異なると指摘している。
2つの空母打撃群の展開は、確かにワシントンが軍事行動を起こす重要な指標ではある。しかし、1991年の湾岸戦争時の空母戦闘群6隻、2003年のイラク戦争時の空母打撃群5隻と比較すると、現在の米軍の配備は大規模な戦争を開始する体制には見えない。ベネズエラ作戦で米軍が出動させた空母打撃群は1隻のみであり、最終的にはマドゥロ氏への精密な斬首作戦と逮捕が実行された。今回、米軍は強力な空爆とミサイル能力を備えているものの、大規模な地上部隊の動員や、ベネズエラ作戦で鍵となった特殊部隊の母艦は見当たらない。
キャンシアン氏とパーク氏はこの点から大胆な推測を行っており、現在の米軍の武力配備は実質的な政権交代の推進よりも、懲罰的な打撃に傾いていると分析している。また、J・D・バンス副大統領もホワイトハウスの戦略会議において、イランへの攻撃に懸念を示しているという。英紙『ガーディアン』の特ダネによると、バンス氏は席上、統合参謀本部議長のダン・ケイン氏に対し、米軍のミサイル防衛システムがイランの反撃に十分対応できるか問い質したとされる。ホワイトハウスのウエストウイング(大統領執務棟)では、バンス氏の慎重姿勢とマルコ・ルビオ国務長官の強硬姿勢が鮮明な対立を見せている。
戦鼓が鳴り響いた後の3つのシナリオ 現在、各方面はジュネーブで行われる米国とイランの交渉結果に期待を寄せているが、この交渉の窓口が完全に閉ざされた場合、大西洋評議会のウィリアム・F・ウェクスラー氏は、トランプ氏が採りうる3つの戦略オプションを提示している。ただしいずれの選択肢も、地政学的な未知の衝撃を伴うものである。
第一の選択肢「執行モード(Enforce)」
第二の選択肢「弱体化モード(Degrade)」 米中央軍(CENTCOM)がより支持する案であり、イランの無人機工場、中長距離ミサイル基地、そしてフォルドなどの核施設の残存部分を組織的に破壊する。数週間にわたる空爆で、イランの国防能力を20年後退させることを狙いとする。昨年の「ミッドナイト・ハンマー」作戦の再演とも言える。
第三の選択肢「排除モード(Remove)」 最高レベルの介入であり、米軍が政治・軍事指導層に対して直接的な斬首作戦を行う。神権統治を迅速に終わらせる可能性がある一方で、打撃が指揮系統を完全に麻痺させられなければ、ペルシャ民族主義の強い反発を招く可能性が高い。米軍を数十年にわたる泥沼に引きずり込む恐れがあり、最もリスクが高い。
エネルギーの核爆弾:ホルムズ海峡と90ドルの悪夢 台湾のように輸入エネルギーに高度に依存する経済体にとって、この衝突における最も致命的な脅威はホルムズ海峡にある。CSISのエネルギー専門家、クレイトン・シーグル氏は、湾岸諸国が最狭部わずか2マイル(約3.2キロ)のこの航路に極度に依存していると指摘する。
サウジアラビアの原油の89%、イラクの97%がここを通過し、クウェート、カタール、そしてイラン自身に至っては原油輸出の100%をホルムズ海峡に頼っている。
さらに深刻なのは、ホルムズ海峡を回避する代替ルートが極めて限られている点だ。サウジアラビアの東西パイプラインは日量わずか240万バレルの余剰容量しかなく、総輸出量の半分にも満たない。ひとたび衝突が激化すれば、イランはハルク島の封鎖や近隣国の油田に対する飽和攻撃を行う可能性がある。データ予測によれば、ペルシャ湾で戦火が上がれば、ブレント原油価格は容易に1バレル90ドルを突破し、供給が実質的に途絶すれば130ドルの高値に達する可能性が高い。これは世界のエネルギー安全保障とインフレ抑制にとって、間違いなく大災害となるだろう。
ジュネーブの最後の好機:医療用核エネルギーという妥協案 今週開催予定のジュネーブ交渉において、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は一つの「メンツを保つ案」を提示した。イランにごく少量の低濃縮ウランの保持を認め、医療研究目的に限定するというものだ。皮肉なことに、この提案の核心となるテヘラン研究用原子炉は、60年前に米国が「平和のための原子力」計画の下で親米政権に提供した産物である。
トランプ氏にとって、これは完全勝利を宣言できる口実となり得る。しかし、イランのアッバス・アラグチ外相は最近のインタビューで依然として強硬な姿勢を崩しておらず、「イランは条約で保障された濃縮の権利を決して放棄しない」と改めて強調している。トランプ氏の特使であるワイコフ氏らは、これが再びテヘランの時間稼ぎ戦術ではないかと注視している。彼らの見立てでは、テヘランは平和を心から求めているのではなく、単に抗議の波が収まるのを待っているに過ぎない可能性がある。
テヘランを巡るこの駆け引きは、本質的に二つの政治的意志の衝突である。一方はトランプ流の取引主義と極限までの圧力、もう一方はハメネイ流の神権統治が持つ病的なまでの粘り強さだ。巨大な地政学のチェス盤の下で、最も現実的な苦痛を背負わされているのはイラン国民である。彼らはインフレ、制裁、暴政の狭間で生き延びようとし、暴政に殺されるか戦火に滅ぼされるかの選択肢の間で、国家のために出口と第三の可能性を模索している。
米軍のミサイル攻撃は遠心分離機を容易に破壊できるが、権威主義の廃墟の上に真の民主主義を植え付けることは難しい。トランプ氏はベネズエラ方式の短期決戦を再現できるかもしれないが、イランという土地の歴史の厚みと制度の強靭さは、精密な斬首作戦で解消できるものではない恐れがある。戦争の火花はテヘランの残り火を一瞬で点火するかもしれないが、この土地を真に再生させる力はホワイトハウスの作戦室にはなく、逮捕のリスクを冒して街頭で自由を叫ぶ学生や市民の手にある。トランプ氏はすでに戦鼓を打ち鳴らしたが、テヘランの未来の調べは、最終的にはイラン国民自身が向き合い、紡ぎ出すことになるだろう。
更多新聞請搜尋🔍風傳媒日文版
最新ニュース
台湾立法院、約5.8兆円の国防特別予算案が前進 頼総統の「国政報告」実現に向けた与野党協議も 台湾の行政院(内閣に相当)が提出し、長らく審議が滞っていた1.25兆台湾元(約5.8兆円)規模の国防特別予算に係る「防衛強靱性および非対称戦力計画調達特別条例草案」について、事態が大きく動いた。立法院(国会に相当)の韓国瑜院長は24日、与野党協議を招集。各党団(議員団)は、行政院版の国防特別予算案と野党・台湾民衆党版の軍事調達条例案を併合して審議することに合......
台湾・頼清徳総統、立法院での国政報告に同意 韓国瑜院長「一括質疑・一括答弁」方式で礼遇へ 台湾の頼清徳総統は23日、五院(行政、立法、司法、考試、監察)の院長らと新春茶話会を行った。終了後、韓国瑜立法院長(国会議長に相当)は、頼総統に対し立法院で国政報告を行うよう要請し、頼総統がこれを快諾したことを明らかにした。総統への礼遇として、質疑応答は「一括質疑・一括答弁(統問統答)」方式を採用する方針だという。
新春茶話会での合意と「化」の精神韓院......
【論評】「唯一無二」を自負する頼清徳総統 立法院での国情報告は与野党融和の糸口となるか 丙午(ひのえうま)の新年を迎え、台湾の頼清徳総統は五院(行政・立法・司法・考試・監察)の院長を招き茶話会を開催した。その席で頼氏は、立法院長(国会議長)の韓国瑜氏が掲げた「化(転化・解決)」というキーワードに応じ、「誤解を理解へ、不一致を団結へ、個人の小利を国家の大義へ、対立を平和へ変えたい」との希望を表明した。さらに、「憲法の手続きに適合する」ことを前提に......
ロイヤルホストがグランドメニューを刷新、「洋食」の原点回帰で看板ハンバーグやドリアを改良 ロイヤル(東京都世田谷区)が展開するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」は、2月26日(木)より全国の店舗でグランドメニューを改訂する。今回の改訂では「伝統と新しさ」をテーマに掲げ、創業以来の看板商品であるハンバーグやドリアといった洋食メニューの質を底上げし、家庭では味わえないレストラン品質の体験を強化する。外食市場において、安価な日常食と高付加価値な食事......
【自民】麻生派が60人に急増し過去最多へ 党内唯一の存続派閥、新人ら18人加入で影響力拡大 自民党の麻生太郎副総裁が率いる麻生派(志公会)は19日、衆院選後初となる例会を東京都内の事務所で開いた。同会合にて、新人議員11人やこれまで無所属などで活動していた北神圭朗氏、比例北海道ブロックで全国最年少の25歳で当選した村木汀氏、国政復帰を果たした元職4人を含む計18人が新たに加入したことが発表された。これにより、同派に所属する国会議員は1月の衆院解散前......
政府、特別国会に61法案提出へ 「国家情報局」新設や「年収178万円の壁」是正など 日本政府は19日、現在の特別国会にインテリジェンス機能の強化を目的とした「国家情報局」の設置法案や、今後5年間の赤字国債発行を可能にする法案など、計61の法案を提出する方針を固めた。衆議院議院運営委員会の理事会に出席した尾崎官房副長官の説明によると、今回の提出法案には情報機能集約の要となる「国家情報局」のほか、災害対応の司令塔として期待される「防災庁」の創設......
外国にルーツを持つ子供の支援を強化へ 文科省、日本語指導補助者らを法令上の「正規職員」に規定 文部科学省は、日本語指導が必要な児童生徒への教育体制を抜本的に強化するため、これまで外部人材やボランティアとして扱われてきた「日本語指導補助者」や「母語支援員」を、学校教育法上の正規の「職員」として位置づける方針を固めた。関係者への取材で明らかになったこの方針は、2026年度中にも学校教育法施行規則を改正することを目指しており、法的根拠を明確にすることで、人......
スノーピーク、吉野ヶ里歴史公園に体験型複合施設を開業 弥生時代をモチーフにした宿泊体験も 株式会社スノーピークは2026年3月18日、佐賀県の官民連携事業に基づき、新たな体験型複合施設「スノーピークグラウンズ 吉野ヶ里」を開業する。同施設は吉野ヶ里歴史公園内に位置し、複合施設エリアのほか、弥生時代の建造物をモチーフにした宿泊施設や九州最大級のキャンプ場を備える。複合施設エリアには、スノーピーク直営店に加え、スターバックスや「みつせ鶏本舗」のレスト......