トップ ニュース 【舞台裏】「誰かが強行すれば撃て!」 あの李登輝訪米時、国旗掲揚をめぐり“発砲命令”が下されていた
【舞台裏】「誰かが強行すれば撃て!」 あの李登輝訪米時、国旗掲揚をめぐり“発砲命令”が下されていた 李登輝元総統は1995年、米国の母校コーネル大学を再訪し演説を行った。当時、ホテルで国旗が掲揚され、大きな波紋を呼んだ。(写真:新新聞資料)
米国、台湾、中国の三者間の微妙な政治関係は、現在の国際政治において最も注目される焦点の一つである。1978年の米中国交樹立以降、中国が主張する「一つの中国」原則に基づき、台湾と米国の間では正式な外交往来ができなくなった。そのため、台湾総統はしばしば「通過」という形式で短期間米国に滞在する「過境外交(トランジット外交)」を行っている。2024年12月の台湾総統・頼清徳氏によるハワイおよびグアムへの立ち寄りもその一例であり、頼氏はハワイでナンシー・ペロシ米下院名誉議長と電話会談を行い、その後グアムでマイク・ジョンソン連邦下院議長らとオンライン会談を行った。
台湾総統による最も有名な訪米といえば、故李登輝総統による1995年のコーネル大学訪問にとどめを刺すだろう。李氏は「民之所欲,常在我心(民の欲するところ、常の我が心にあり)」と題した演説を行い、歴史的な一ページを残した。さらに、当時李氏が宿泊したホテルでは一時的に中華民国国旗が掲揚され、これは外交上の大きな突破口と見なされた。しかし、当時の困難な外交状況下でこの国旗を掲げるために、一歩間違えれば銃撃戦になりかねない事態があったことはあまり知られていない。
故李登輝総統(写真)の1995年コーネル大学訪問は、「民の欲するところ、常に我が心にあり」と題した演説を行い、歴史的な一ページを残した。(新新聞資料照)
1994年のハワイ立ち寄り時の冷遇 「宿泊不可」に抗議し機内から降りず 1994年5月、李登輝氏は中南米の国交樹立国を訪問した帰路にハワイに立ち寄った。これは米台断交後、初めて米国を経由した台湾総統の事例であった。当時、米国務省で東アジア事務を担当していたウィンストン・ロード国務次官補は、「一つの中国」原則を堅持するため、李氏のハワイでの宿泊に反対し、ハワイ空軍基地内の小部屋で大尉クラスの将校1名が接待し、短時間の休息のみを認める手配を行った。
この事実を知った李氏は激怒し、「機内から降りない」という形で抗議の意を示した。李氏は専用機内でパジャマ姿のまま、当時の米国在台協会(AIT)理事長ナテール・ベロッキ氏と面会した。李氏はベロッキ氏を見送る際、「うっかり米国の土地を踏まないよう、機体のドアまでは見送らないほうがいいだろう」と皮肉を述べたという。当時、この出来事は米国内で騒然となり、民主・共和両党の議員からは「米国は民主国家を自称しながら、中国の脅威によって台湾の総統に対し非礼を働いた」との批判が相次いだ。
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米両党の下院議員らはこれを受け、台湾の指導者を米国に招待すべきだと継続的に声を上げた。1995年3月5日、李氏の母校であるコーネル大学が「傑出校友賞」授与のために彼を招待すると、その翌日には36名の上院議員が当時のビル・クリントン大統領宛てに連名で書簡を送り、李氏の訪米を認めるよう求めた。さらに、台湾と国交のないヨルダンのフセイン国王もワシントン訪問時に李氏の訪米支持を公言した。こうした硬軟織り交ぜた圧力の結果、クリントン政権は最終的に1995年5月、李氏の「私的訪問」としての訪米に同意したのである。
総統在任中に訪米した李登輝氏(左)。元米国在台協会理事長のナテール・ベロッキ氏(右)もその実現に尽力した。(国史館公式サイトより)
国旗掲揚に向けた極秘作戦 李翔宙氏が米警官へ「上がってくる者は射殺せよ」と厳命 李登輝氏の訪米は1995年6月7日から6月12日にかけて行われた。李氏の出発前、総統警護を担当する特勤センター「大安警衛室」の内衛組主任であった李翔宙氏が先遣隊を率いて、李氏の宿泊先となるロサンゼルスのリッツ・カールトン・ホテルに到着した。当初、先遣隊はホテル側と交渉し、李氏の滞在期間中にホテルの屋上に中華民国国旗を掲揚することで合意しており、カリフォルニア州政府もこれを認めていた。しかし、李氏到着の前日午後4時半になってホテル側が突然態度を変え、国旗の掲揚を許可しないと通告してきたうえ、掲揚用の梯子まで撤去してしまった。
当時、ホテル内にはベロッキ氏、李翔宙氏、台湾の駐米代表・魯肇忠氏、当時の国家安全局長・殷宗文氏らがおり、互いに顔を見合わせた。最後に全員の視線が先遣隊長の李翔宙氏に集まると、ベロッキ氏が単刀直入に「李大佐、どうするつもりだ?」と尋ねた。李翔宙氏はその場では一言も発しなかったが、心中にはすでに極秘の計画があった。彼は殷氏に「私に考えがあります」と耳打ちした。彼が口にしなかったその計画とは、何としても屋上に上がり、国旗を掲揚するというものであった。
同日午後6時、台湾側は李登輝氏が宿泊するフロアの警備を引き継いだ。当時、警備強化のために非番の米国警察官を雇用して警護の支援にあたらせていた。これらの警官は大柄で、全員が拳銃を携帯していた。その際、李翔宙氏は武装した米国警官たちを集め、こう指示した。「今からこのフロアには誰も上げてはならない。もし強行突破しようとする者がいれば、その者を射殺せよ」。そして、全ての結果に対する責任は自分が取ると伝えた。
李登輝氏のコーネル大学訪問時、ホテルに国旗を掲げるという歴史的な場面を計画・実行した人物こそ、当時「大安警衛室」内衛組主任を務めていた李翔宙氏である。(資料写真、余志偉撮影)
台湾男児4人による「組体操」での国旗掲揚 涙の敬礼 李翔宙氏が人の立ち入りを禁じたのは、国旗に触れようとする者が必ずそのフロアを通過しなければならないためであり、「もし強行突破しようとする者がいれば、射殺せよ」との指示はそのために出されたものであった。米国警官に「死守命令」を下した後、李翔宙氏は翌日の午前4時、つまり李登輝氏がホテルに到着する5時間前に秘密行動を開始した。彼は先遣隊員2名と当時の駐ロサンゼルス弁事処副処長・李世明氏を呼び出し、4名で中華民国国旗を持ってホテルの部屋のバルコニーから屋上へとよじ登った。そして「人間ピラミッド」のように、最も背が高く屈強な李翔宙氏が一番下になり、4人の台湾男児が重なり合って屋上のホテルの旗を取り外し、中華民国国旗を掲揚したのである。万難を排し、ついに青天白日満地紅旗が米国の空に翻った。4人は部屋に戻った後、互いに敬礼を交わし、感動の涙を流したという。
報道によれば、ホテル側に旗を撤去されるのを防ぐため、「強行突破する者は射殺せよ」という命令を受けた武装警官が配備されていたほか、決行前には先遣隊の数名しかこの事実を知らず、台湾の国家安全局やAITさえも知らされていなかった。李登輝氏がホテルに入った後も誰もこの件について触れることはなく、李氏が事実を知ったのは、翌日飛行機でロサンゼルスを離れ、機上の人となってからのことであった。その後、李氏がコーネル大学での講演を終え、アンカレッジで李翔宙氏と合流した際、開口一番「一体どういうことだったのか」と尋ねた。李翔宙氏が事の顛末を報告すると、李氏は責任を問うことなく、ただ「感動した、感動した」と述べたという。
実際、当時の敏感な米台関係においては、李登輝氏の訪問期間中の一挙手一投足は、その大部分において双方の協議と合意が必要とされていた。例えばベロッキ氏は後に、李氏がコーネル大学での講演後に記者会見を行うことを希望していたが、米側が緊張の高まりを避けるために断固として拒否したと記している。それゆえ、4人の李氏の警護官と幕僚が米国で危険を冒して組体操を行い、さらには米国の武装警官に「(妨害する者は)直ちに射殺せよ」と告げてまで中華民国国旗を掲揚したというスリリングな物語は、まさに首が飛ぶ覚悟で行われた行動だったのである。
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