【丸山翔のコラム】在留資格と労務管理は切り分けられない ――外国人採用が広がる今、企業が注意すべき実務上の接点

2026-02-28 09:57
日本政府は永住権と専門職ビザの審査を厳格化する方針で、専門人材を単純労働に従事させた場合、経営者が刑事罰に問われるリスクも高まっている。(写真/黃信維撮影)
日本政府は永住権と専門職ビザの審査を厳格化する方針で、専門人材を単純労働に従事させた場合、経営者が刑事罰に問われるリスクも高まっている。(写真/黃信維撮影)

日本で暮らす外国人は年々増加し、企業にとっても外国人材の活用はもはや特別なものではなくなっている。こうした中、政府は外国人政策の見直しの一環として、「永住者」や「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」の在留管理について、これまで以上に厳格化する方向で検討を進めている。

これまで比較的安定した在留資格と受け止められてきた永住許可についても、今後は審査の見方がより厳しくなる可能性がある。従来から、一定期間の在留歴や独立した生計、公的義務の履行などが要件とされてきたが、今後は資産・収入状況、日本語能力、税や社会保険料の納付状況などが、より実質的に確認される流れが強まるとみられる。単に長く日本に住んでいるというだけでは足りず、日本社会の一員として安定的に生活し、義務を果たしているかが、これまで以上に重視される時代になりつつある。

現場での「少し手伝う程度」が命取りに

一方で、企業実務において特に注意が必要なのが、「技人国」ビザの運用である。本来この在留資格は、専門性や知識を活かした業務に従事することを前提としており、いわゆる単純労働を予定したものではない。ところが現場では、名目上は通訳・営業・企画・管理などの業務として採用しながら、実際には清掃、製造補助、接客中心の現場業務に長時間従事させているケースもみられる。こうした実態と在留資格とのずれは、今後ますます厳しく見られる可能性がある。

企業側が見落としやすいのは、「本人が大学や専門学校を卒業しているから大丈夫」「少し現場を手伝う程度なら問題ない」といった感覚である。しかし、在留資格の判断では、学歴や肩書きだけでなく、実際にどのような業務に従事しているかが重視される。採用時の説明と実態が食い違っていれば、企業側の認識不足や管理不備が問われかねない。

経営者が負うべき「不法就労助長」の刑事責任

特に経営者が意識すべきなのは、不法就労をめぐるリスクである。たとえ現場任せ、人事任せになっていたとしても、「知らなかった」というだけで責任を免れるのは難しい。実際、東京都内の飲食店で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人従業員を、必要な許可のないままホールスタッフとして働かせた疑いで、経営者が逮捕されたと報じられた。経営者は在留資格自体は把握していたものの、「法律違反ではないと思っていた」と説明していたという。外国人材の配置や業務内容が在留資格に適合しているかを十分に確認しないまま運用を続ければ、企業の信用低下にとどまらず、行政対応や刑事責任の問題に発展するおそれもある。

だからこそ今、企業に求められるのは、在留資格を単なる採用時の確認事項として扱わないことである。実際の業務内容、配置転換の有無、現場支援の範囲などをあらためて見直し、「契約書上は問題ない」ではなく、「実態として適法か」という視点で点検する必要がある。もし現場業務が中心となるのであれば、そもそも別の制度設計や在留資格の検討が必要になる場合もあるだろう。

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