【夏一新の視点】ミュンヘン警告から輸出禁止へ―日中関係、制度的対立に突入

2026-02-28 16:29
ミュンヘン会議で日本の高市早苗首相を公然と批判した中国の王毅外交部長。写真は米国のマルコ・ルビオ国務長官(左)と王氏(右)。(資料写真、AP通信)
ミュンヘン会議で日本の高市早苗首相を公然と批判した中国の王毅外交部長。写真は米国のマルコ・ルビオ国務長官(左)と王氏(右)。(資料写真、AP通信)

2026年2月、ミュンヘン安全保障会議において、中国の王毅外相は日本の高市早苗首相の安全保障政策を公然と批判した。王氏は関連する言動が中国の領土主権問題に関わると主張し、軍事拡張は深刻な結果を招くと警告した。また、日本の歴史問題への対応をドイツの戦後におけるナチス清算と比較し、日本がいまだ軍国主義の影を引きずっていると疑問を呈した。近年、中日の公的な場においてこれほど強硬な姿勢が見られることは珍しく、今回の声明は単なる外交レベルの応酬にとどまらなかった。

外交的警告から輸出リストの発動へ

2026年2月24日、中国商務省は「輸出管理法」の関連規定に基づき、三菱重工、川崎重工、IHIなど日本の防衛産業に関連する企業・機関計20社を輸出「管理リスト」に加えると発表した。これにより、即日、軍民両用項目の輸出制限が実施された。同時に、別の20社も「懸念リスト」に加えられた。全面的な禁止ではないものの、今後の輸出にはより厳格な審査と最終用途の評価が義務付けられることになる。

この二層構造のリスト制度は、単発的な処罰ではなく、柔軟な調整余地を持つ政策ツールである。輸出活動が市場取引から行政許可へと移行することで、サプライチェーンのペースやコンプライアンス・コストは政策の影響を受け、企業が負うリスクは単なる商業リスクから制度レベルの不確実性へと拡大する。

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、今回の輸出管理措置はレアアース、重希土類磁石、機械設備、半導体製造関連機材など、軍民両用の特性を持つ製品を網羅しており、一部のレアアース製品については輸出許可審査が一時停止されているという。影響は防衛産業にとどまらず、より広範な材料や設備供給網に及ぶ可能性がある。

資本市場の反応もリスク評価の修正を示している。三菱重工の株価は3.6%、IHIは6.2%、川崎重工は約5%下落し、監視リストに入ったスバルも同様に値を下げた。これらの価格変動は、投資家が今回の措置を一企業の出来事ではなく、制度レベルの政策変更と見なしていることを反映している。

中国に調達や生産拠点を置く企業であれば、輸出審査やコンプライアンス手続きの遅延が生産ラインの進捗に影響を与える可能性がある。米通信社ブルームバーグの分析によれば、軍民両用製品の規制は行政手続きを通じてサプライチェーンのサイクルを長期化させる傾向があり、その波及効果は直接制限を受けた企業の範囲を超える可能性があるという。 (関連記事: 米中首脳会談を控え、米国で「レアアース供給危機」が深刻化 航空宇宙・半導体産業への打撃懸念 関連記事をもっと読む

軍事の常態化と経済への波及

輸出制限は孤立した事象ではない。過去1年、中国は西太平洋や東シナ海での軍事活動を明らかに増加させており、空母打撃群の遠洋行動や頻繁な海空演習などが確認されている。英紙『フィナンシャル・タイムズ』は、中国の軍事配備が威示的な演習から常態的なプレゼンスへと徐々に移行しており、戦略の重点も姿勢の誇示から長期的な布陣へと転換していると指摘している。

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