トップ ニュース 【北京観察】中國GDP目標、5%割れが「新常態」に?「第15次5カ年計画」草案が初公開、いかに「新質生産力」でハイテク冷戦を突破するか
【北京観察】中國GDP目標、5%割れが「新常態」に?「第15次5カ年計画」草案が初公開、いかに「新質生産力」でハイテク冷戦を突破するか 中国大陸の2026年「全国両会」(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議)は、4日と5日に北京で相次いで開幕する。(写真/AP通信提供)
2026年の中国「両会」(全国人民代表大会・全国政治協商会議)が間もなく開幕する。3日午後には人民大會堂で、政治協商会議(政協)側が民生問題や対台湾政策、「第15次5カ年計画(十五五)」などについて回答する最初の記者会見が開かれる。続いて4日正午には、全国人民代表大会(全人代)側も同様の会見を行う予定だ。今回の両会は3月11日までの7日間の会期で行われる。全国人民代表大会常務委員会の事前手配によれば、今年も引き続き「節約型の開催」が強調され、市民生活への干渉を最小限に抑える方針だ。
「十五五」計画の重要局面 経済成長は鈍化の恐れ 公開された議事日程によれば、全国政協第14期第4回会議では、常務委員会の活動報告や提案活動報告の審議、全人代への列席による政府活動報告の議論に加え、「国民経済・社会発展第15次5カ年計画(十五五)綱領草案」の集中検討が重点となる。
一方、全人代第14期第4回会議では、政府活動報告の審議、十五五計画綱領草案の審査、2025年計画執行状況および2026年計画草案、2025年予算執行状況および2026年予算草案、全人代常務委員会活動報告、「両高(最高人民法院・最高人民検察院)」報告のほか、生態環境法典、民族団結進歩促進法、国家発展計画法など複数の法律案が審議される。
昨年の党中央委員会第4回全体会議(四中全会)で公開された計画案によれば、十五五は「新質生産力(しんしつせいさんりょく)」、科学技術の自立自強、内需拡大の3大主軸を際立たせる内容だ。科学技術イノベーションの比重が顕著に増しており、対外開放も優先順位が引き上げられている。取材に応じた多くの中国人経済学者は、今年の経済政策の方向性について「調整の余地は限定的であり、多分に形式的なものになるだろう」と指摘している。
GDP目標を「4.5%~5.0%」に柔軟化か 現在、中国にとって経済の立て直しは喫緊の課題だ。複数の機関の予測によれば、今年の全人代で設定されるGDP成長率目標は「4.5%~5.0%」の範囲に収まる可能性が高い。これは従来の「5%前後」という表現よりも柔軟性を持たせ、構造調整とリスク回避の両立を図る狙いがあるとみられる。
財政政策については「必要な強度」を維持し、財政赤字率や特別国債の規模は高水準に保たれる見込みだ。金融政策は「適度な緩和」を継続。財政と金融の相乗効果を強調し、預金準備率の引き下げや金利引き下げといった政策ツールを機動的に活用していく方針だ。
2026年1月12日、北京の街頭で見られるタンフールー(サンザシ飴)の露店。(写真/AP通信提供) 実現の可否: 実現難易度の検証決定者の意向: 政策当局の意志年度の特殊性: 時期的な妥当性地方両会からの先行シグナル 同氏は、実現難易度の観点から「2026年の5%達成は、2025年よりも遥かに困難だ」と断じる。その主な要因は、前年の実績が比較対象となる「ベース効果」の影響だ。特に中国経済の柱である輸出と消費が、前年以上に強い下押し圧力にさらされると予測している。同氏によれば、今年の「5%前後」という目標は既に高すぎ、実現には「全力の跳躍」を何度も繰り返すような無理な積み上げが必要になるという。しかし、それに見合うだけのマクロ政策の追加テコ入れは見られず、一部ではむしろ効果が減退しているのが実情だ。
地方政府の目標設定にみる「地ならし」の兆候 また、既に終了した各省・直轄市などの「地方両会」の動向も、全国目標の下方修正を裏付けている。
大半の省・市が成長率目標を下方修正しており、その加重平均値は約5.0%~5.1%にとどまった。一見すると5%を維持しているように見えるが、歴史的な経験則に照らすと異例の事態だ。通常、地方政府の目標は全国目標よりも0.3%~0.8%ほど高く設定されるのが通例だが、今年は両者の差が0.1%未満にまで縮小している。
この数値の乖離の縮小は、地方政府が全国目標の下方修正を見越し、そのための「地ならし」を行っている強力なシグナルであると同氏は分析している。
地方財政の加速と債務構造の調整 毎年発表される「政府活動報告」は、世界の投資家が中国の政策の風向きを読み解く重要な窓口となる。今年は特に、地方政府の債務比率と財政執行の強度が注目されている。
専門家の「宏観辺際(マクロ・マージン)」氏は、今年の財政赤字対GDP比(赤字率)について、4.0%程度の水準が維持される可能性が高いと予測する。昨年4%に引き上げた経緯もあり、これ以上のさらなる拡大余地は限られている。特に「第15次5カ年計画(十五五)」の建議草案では「財政の持続可能性の強化」が強調されており、大幅な積み増しは困難な情勢だ。一方で、赤字率が4%を下回れば、市場に「財政縮小」というネガティブな予期を与えかねず、経済工作会議が定めた「必要な赤字、債務総額、支出総量の維持」という方針に逆行することになる。
同氏は、赤字率が4%で据え置かれたとしても、経済規模の拡大に伴い赤字の絶対額は増加するため、それ自体が財政による下支えの強化(積極的な政策基調)を体現するものだと分析している。
中国政府による「4兆元」の景気刺激策は、新たな成長をもたらした一方で、地方債務の急増という時限爆弾を埋め込む結果となった。貴州省三都スイ族自治県や青海省投資グループでは、最近相次いで債務不履行(デフォルト)騒動が伝えられている。(写真/新浪博客提供)
専項債の発行規模と「消費による債務処理」 地方政府の専項債(特別債)の発行規模については、約4.5兆元前後と予想される。専項債の使途拡大に伴い、経済成長に資する資金が圧迫される「クラウディング・アウト効果」が強まっていることから、昨年当初の予測を上回る4.5兆元規模への小幅な増額が必要になるとの見方だ。
買い替え促進: 補貼(補助金)規模は小幅に減少する可能性がある。 サービス消費: 昨年末の経済工作会議の精神に基づき、特定のサービス消費分野で約1000億元(約1兆8500億円) 規模の補貼が実施される見通しだ。 高齢者支援: 年初に導入された中度以上の要介護高齢者向けサービス消費補貼についても、約1000億元(約1兆8500億円) 規模に達すると試算されている。
外交と対台湾政策 戦略的定力の維持と融合の深化 外部環境が複雑化・多変する中、今回の「両会」における外交的メッセージは世界中から注視されている。中国政府は引き続き「高水準の対外開放」を強調し、国内と国際の「双循環(二つの大局)」を統括しながら、「一帯一路」の高品質な発展や「グローバル・サウス」との連携を推進していく見通しだ。貿易摩擦や関税障壁といった課題に直面する中、より強靭な「戦略的な粘り強さ」を示すものとみられる。
対台湾政策については、「両岸融合発展の深化」という主基調が維持される見込みだ。政府活動報告では、人的往来の円滑化、経済協力の深化、そして「中華民族経済」の拡大といった内容が盛り込まれる。分析によれば、「第15次5カ年計画(十五五)」において台湾関連の記述がわずかに増加する可能性があるものの、全体としては「台独反対・統一促進」と「民心の掌握」を軸とした方針に大きな転換はないとされる。
市場と民心の「信頼醸成」を目指す政策の転換点 中国にとって、この春の政治イベントは単なる政策宣言の場ではなく、市場と国民の信頼を勝ち取るための「信頼醸成プロジェクト」としての側面が強い。外部の不確実性が高まり、国内の構造調整が加速するという二重の圧力の下で、いかに「安定成長」と「改革促進」のバランスを取り、確定的な方針によって不透明感に対応していくかが、通年の経済予測や国際的な評価を左右することになる。
GDP成長率目標の現実的な調整から、民生課題の詳細な展開、そして科学技術の自立自強に向けた戦略的な強化まで。3月初旬の北京は、再び世界が注目する「政策の起点」となる。
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