2026年2月27日、日本記者クラブにて欧州国際政治を専門とする筑波大学の東野篤子教授が登壇し、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の現状と今後の展望について解説した。国際社会では全面侵攻から丸4年が経過したと認識されているが、ウクライナ側にとっては2014年のクリミア占領とドンバスの戦いから続く12年目の戦争であると東野教授は強調した。
領土的妥協では終わらない「ウクライナの属国化」が最終目標
ロシアのプーチン大統領は2021年の論文でロシア人とウクライナ人の歴史的一体性を主張しており、その最終目標はウクライナの属国化や主権の弱体化にあるため、東部や南部4州の領土的妥協だけでは戦争は終結しないと分析している。
占領地におけるロシア化の現状について、東野教授はウクライナ人に対するパスポートの強制配布や、就職や教育を含む行政サービスの制限など、過酷な支配が行われていると指摘した。さらに、1万9000人とも言われるウクライナの子供たちがロシアに連れ去られ、養子縁組を通じたロシア化や、一部では兵士としての訓練を受けて最前線に投入される懸念があること、また民間人を対象としたドローン攻撃など、占領の固定化がもたらす現実は想像を絶すると警鐘を鳴らした。
2026年の衝撃:グリーンランド問題を巡る「米欧の亀裂」
2025年から2026年にかけての国際情勢の大きな変化として、東野教授はトランプ政権下の米国と欧州の間に生じた亀裂を挙げた。2025年中、欧州諸国はウクライナ支援のために米国を引き留める努力を続けたが、2026年1月に顕在化した米国によるグリーンランド取得を巡る問題が欧州に深刻な衝撃を与えた。
米軍基地の縮小や欧州首脳からの私信公開などを経て、欧州内で米国に対する不信感が決定的なものとなり、一部では中国よりも予測不可能な潜在的脅威と見なされ始めているという。一方の米国は、2026年7月4日の米独立250周年記念式典や中間選挙を前に、戦況とは無関係な独自の期限を設けてウクライナに和平合意への圧力をかけている状況にある。
日本の役割:非殺傷装備の調達と汚職監視
日本が果たすべき役割について、東野教授は日本が欧州諸国と並ぶ極めて重要な支援国として高く評価されていると述べた。北大西洋条約機構と連携して米国から非殺傷装備を調達しウクライナに供与する枠組みへの日本の参加検討は、戦時調達の現実を学ぶ貴重な機会になると評価している。また、2025年夏にウクライナ国内で起きた反腐敗機関の権限縮小の動きに対して欧州連合が強く反発した事例に触れ、汚職問題に関しては主要7カ国の枠組みを活用した監視と指導が有効に機能していると説明した。
今後の展望:「凍結紛争」への懸念
今後の見通しとして、東野教授は2026年中に恒久的な和平が実現する可能性は極めて低いと結論づけた。
冬季のインフラ攻撃による市民生活の疲弊から一時的な停戦が生じる可能性は否定できないものの、根本的な解決には至らず、最終的には低強度の戦闘が長期化する凍結紛争に陥る公算が大きいと予測している。ロシア側が国際社会の関心の低下と支援の枯渇を待っている状況下において、ウクライナ社会の強靱化を支え、欧州諸国と連携した持続的な支援を継続することが不可欠であると訴えた。
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編集:小田菜々香
















































