米軍、ベネズエラ沖でタンカー押収 トランプ氏、マドゥロ政権にさらなる圧力を予告

2025-12-12 19:00
2025年12月10日、ベネズエラのマドゥロ大統領(ニコラス・マドゥロ氏)が首都カラカスで開催された集会に参加し、19世紀のベネズエラ連邦戦争中のサンタ・イネスの戦い(Battle of Santa Ines)の記念日を祝った。(AP)
2025年12月10日、ベネズエラのマドゥロ大統領(ニコラス・マドゥロ氏)が首都カラカスで開催された集会に参加し、19世紀のベネズエラ連邦戦争中のサンタ・イネスの戦い(Battle of Santa Ines)の記念日を祝った。(AP)

米国のトランプ大統領は、米軍が10日にベネズエラ沖で「非常に大きな」石油タンカーを押収したことを報告した。この行動は、ベネズエラのマドゥロ大統領に対する米国の圧力をさらに強化するもので、石油に大きく依存するベネズエラ経済に深刻な影響を及ぼすこととなった。航運情報によると、現在、米国の制裁対象となっている30隻以上の油槽船がベネズエラ沖に停泊しており、これらの船も押収される可能性があるという。

トランプ大統領は10日、ホワイトハウスで行われたイベントで「皆さんもご存じの通り、我々はベネズエラ沖で非常に大きなタンカーを押収しました。これは史上最大規模の押収です」と述べた。ロイター通信によると、これは米国がベネズエラの原油貨物を初めて押収した事例であり、ベネズエラが2019年以来米国の制裁対象となっている中、トランプ政権がこの地域に大規模な軍事力を展開してから初めて取られた措置だという。また、トランプ大統領は「さらに他の行動を取る予定です。詳細は後日お知らせします」と続けた。

米国のボンディ司法長官は、連邦捜査局(FBI)、国土安全保障捜査局(HSI)、米国沿岸警備隊(U.S. Coast Guard)が国防総省の支援を受けてこの押収作戦を実行したと報告した。彼女はソーシャルメディアX(旧Twitter)に投稿した動画の中で、米軍がヘリコプターからタンカーの甲板に降下し、武装して艦橋に侵入する様子を公開した。

ボンディ司法長官によると、このタンカーは過去数年間、「外国のテロ組織を支援するための違法な石油供給ネットワーク」に関与しているとして米国から制裁を受けており、制裁対象となっているベネズエラとイランからの原油輸送に使用されていたという。トランプ大統領はこの行動に関する詳細を明かさなかったが、タンカーの目的地についても触れず、「おそらく石油は我々が保持することになるでしょう」とだけ述べた。 (関連記事: 米軍カリブ海作戦で「生存者射殺」疑惑 トランプ氏、国防長官を擁護「全員殺害の命令は出していない」 関連記事をもっと読む

Today, the Federal Bureau of Investigation, Homeland Security Investigations, and the United States Coast Guard, with support from the Department of War, executed a seizure warrant for a crude oil tanker used to transport sanctioned oil from Venezuela and Iran. For multiple…pic.twitter.com/dNr0oAGl5x

— Attorney General Pamela Bondi (@AGPamBondi)December 10, 2025

ベネズエラ政府は、米国によるタンカー押収に対し、強く非難する声明を発表した。声明では、この行動を「赤裸々な盗み」と「国際海賊行為」とし、トランプ大統領が「ベネズエラの石油を奪おうとしている」と指摘した。ベネズエラの外交大臣であるイヴァン・ヒル氏は、Instagramに投稿した文で、「(米国による)ベネズエラへの長年にわたる攻撃の真の理由がついに明らかになった。移民でも、麻薬でも、民主主義でもなく、我々の自然資源だ」と述べた。ヒル氏は、トランプ大統領が「ベネズエラの石油を無償で手に入れることを目的にしている」と非難した。

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