中露が日本問題で「戦略対錶」 外交から軍事テーマへ格上げ、北京・モスクワの狙いは何か

2025-12-12 11:07
中国とロシアの軍用機は9日、日本周辺を南北から同時に旋回し、共同で軍事的圧力を加えた。写真は、中国海軍空母「遼寧」艦上に着艦するJ-15戦闘機。(写真/AP通信)
中国とロシアの軍用機は9日、日本周辺を南北から同時に旋回し、共同で軍事的圧力を加えた。写真は、中国海軍空母「遼寧」艦上に着艦するJ-15戦闘機。(写真/AP通信)

中国共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任の王毅氏は今月初旬にロシアを訪問し、ロシア連邦安全保障会議書記のセルゲイ・ショイグ氏と中露安全保障協議を行い、日本問題について「戦略対錶(たいひょう)」を実施した。両国が日本に共同で対応する姿勢を示したかたちだ。その直後、中国とロシアの軍用機が12月9日、南北から日本を包囲するように行動し、沖縄や四国周辺の海空域で合同巡航を実施した。「北に熊、南に龍」。中露が挟撃する構図となり、日本は二正面の作戦を強いられる極めて不利な状況に追い込まれつつある。

高市早苗首相は先に、台湾海峡への武力関与の可能性に触れる発言を行い、その後「台湾地位未定論」をめぐる論争を引き起こし、中関係に緊張が広がった。続いて日本側は、12月6日に沖縄本島南東の公海上空で、中国軍のJ-15戦闘機が航空自衛隊のF-15に二度にわたりレーダー照射を行ったと指摘した。中国側は逆に、海軍空母「遼寧」の訓練を日本側が妨害したと反論し、双方は応酬を続けている。

最新の動きとしては、中国とロシアの軍用機が12月9日、日本の沖縄および四国沖の外海で長距離の合同巡航を実施し、一時は最大15機が日本周辺を旋回した。日本周辺の緊張は一段と高まっている。

日本首相高市早苗。(美聯社)
高市早苗首相による「台湾有事」発言が発端となり、日中関係には一連の緊張が生じている。(写真/AP通信提供)

中露「戦略対錶」、日本問題が軍事テーマへと格上げ

2025年12月2日、王毅氏はモスクワでロシア連邦安全保障会議のショイグ書記と会談し、中露第20回戦略安全保障協議を共同で主宰した。両者は両国の戦略的利益に関わる重要課題について全面的かつ深い意見交換を行い、新たな共通認識に達し、戦略的相互信頼を一層強化した。

中国外交部が発表した声明によれば、中露双方は日本問題について「戦略対錶」を行い、高いレベルで共通認識に到達した。それは、両国が「生命と鮮血で勝ち取った第二次世界大戦の勝利成果を断固として守り、植民地侵略の歴史を覆そうとする誤った言動を拒絶し、ファシズムおよび日本軍国主義の復活を断固阻止する」というものだ。また、中露は国連安全保障理事会常任理事国として、世界の平和と安全を守る共同責任を担うと強調した。

分析では、王毅氏が外交部長ではなく、中国共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任として訪露した点を指摘している。これは中国共産党中央としての行動であり、対日でロシアとの連携を「格上げ」した形だ。今回の会談で中露双方の焦点は明確で、共通のテーマは「日本の軍事的拡張を抑止する」という一点にあった。ロシアメディアによれば、ショイグ氏は「日本軍国主義という九頭竜が再び頭をもたげている。しかし中露はその首を断つ経験を十分に持っている」と述べ、中国への支持姿勢を鮮明にした。 (関連記事: 「中国、南京追悼日に演習の恐れ」台湾国防部が警告 遼寧艦が宮古海峡通過、空母3隻の動向を分析 関連記事をもっと読む

外交部が正式に、日本問題について両国が「戦略対錶」を行ったと表現したことにも注目が集まっている。「対錶(Synchronize watches)」は軍事用語であり、協同作戦を開始する前に指揮官と部隊が時間をぴたりと合わせ、行動を分秒単位で一致させる行為を指す。これが外交の場で初めて用いられたことは、日本問題が単なる外交課題から軍事的次元へと格上げされたことを示し、警戒を要するとされる。

12月2日,中共中央政治局委員、中央外辦主任王毅在莫斯科與俄羅斯聯邦安全會議秘書紹伊古見面,共同主持中俄第20輪戰略安全磋商
12月2日、中国共産党中央政治局委員・中央外事工作委員会弁公室主任の王毅氏がモスクワでロシア連邦安全保障会議書記ショイグ氏と会談し、中露第20回戦略安全保障協議を共同で主宰した。
最新ニュース
日中関係が緊張する中、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が中国で1か月上映・1613万人動員 興収149.3億円のヒットに
グレープストーン、2025年クリスマス&2026年年賀スイーツを発表 限定商品が多数登場
【武道光影】幕末最恐の抜刀技 野太刀自顕流―― 「抜き」
水原一平の賭博スキャンダル、米ドラマ化が正式決定 『ワイルド・スピード』のジャスティン・リン監督が就任
米、観光客に「SNS5年分」提出義務化を検討 日本政府が懸念表明
名古屋エリアがAI分野で国際賞 StartupBlink「Rising AI Ecosystem Star 2025」受賞
「中国、南京追悼日に演習の恐れ」台湾国防部が警告 遼寧艦が宮古海峡通過、空母3隻の動向を分析
揭仲コラム:高市首相の台湾発言に中国が不満 説明は「未完成の答え」と批判
誕生85周年のトムとジェリー「Happyくじ」第5弾、12月26日発売 BIGぬいぐるみ、ホットドッグ姿のジェリーも登場
世界3000都市のプレミアム送迎を日本から手配可能に TBR Global Japanとリロケーション社が戦略提携
Nothing、コミュニティと共創した「Phone (3a) Community Edition」を発表 世界1000台限定で発売へ
世界から嫌われても構わない中国 『エコノミスト』が読む、台湾問題で世界を黙らせる「冷遇外交」と貿易の武器化
TENTIAL、BAKUNEシリーズ最新作「BAKUNE メリノウール」を発売 極上の肌触りと疲労回復機能を両立
TSMCは「大きすぎて潰せない」 このカードを米国に切ればどうなるか 元副院長・施俊吉氏「第三次世界大戦なしでも台湾は世界を握りうる」
アメリカ深刻な「失業増加・インフレ根強さ」という二重危機に直面 FRBは3会合連続利下げも「そろそろ打ち止め」シグナル
ウクライナ大統領選が1年停止 トランプ氏「もはや民主主義ではない」と痛烈批判 ゼレンスキー氏は反撃「安全が確保されれば90日で投票できる」
ステーブルコインは「安全な通貨」になり得るか 国際金融の専門家がFCCJで最新動向を解説
青森震度6強地震の数時間前に台湾・花蓮でもM5.7地震 気象署「直接の関連性は確認されず」
中国メーカーがヒト型ロボットを大量出荷 AI市場「3~5年で家庭普及」予測も AI次の主戦場へ一気に拡大
ロイヤル×ユニクロ、コラボ第2弾 6ブランド商品をタマタカ限定販売
浜辺美波さん、「お城EXPO 2025」でトークライブ 大河『豊臣兄弟!』寧々役の裏側を語る
美麗島事件46周年 台湾・賴清徳総統「在野も共に主権を守るべき」 「競争はあっても団結を欠いてはならない」
お城EXPO2025、厳選講演チケットを11/15販売開始 10周年で人気プログラムが集結
国内最大級「お城EXPO2025」12月開催 10周年特別企画が一挙公開 小学生無料、限定御城印も登場
『手に魂を込め、歩いてみれば』セピデ・ファルシ監督が会見 制作の裏側とガザの現実を語る
青森県の強震後に巨大地震のリスク100倍に!1週間以内に311クラスの大地震の恐れ 高市首相が「一度揺れたら避難を」と呼び掛け
中露軍機が日本周辺で長距離合同飛行 頼清徳総統「地域の平和を脅かす行為」と非難
アメリカの圧力に耐えきれず? メキシコが中国製品に「最大50%関税」検討 トランプ氏の鉄鋼・アルミ関税引き下げと引き換えに
江崎グリコ、チョコ製品約600万個を自主回収 「香辛料混入による風味異常」 台湾でもPocky2商品対象
トランプ氏、NVIDIAのH200対中輸出を許可 売上25%を米政府に納付 中国は購入に動くのか
舞台裏》台湾・新北市長選に異変 国民党と民衆党は連携へ?李四川氏の去就と黃國昌氏の動向
舞台裏》台湾副総統・蕭美琴氏の「彼女」と「彼」 誰も気づかなかった変化がすでに起きていた
ブルームバーグ、「台湾有事」の最前線・与那国島を取材 住民に広がる「住み続けられるのか」という不安
ソフトバンクホークス公式チア「Honeys」2026年度選考、台北で2年連続開催 12月に福岡最終審査へ
第67回レコード大賞、各賞決定 Mrs. GREEN APPLEやBE:FIRSTら選出
小泉防衛相、中国側の「事前通報」主張を否定 30分間のレーダー照射を問題視
SAKE HUNDRED、台湾進出1年で市場定着 高級ホテル・台北「Villa32」で記念イベント開催
Nothing、AIネイティブOS開発へ 500万ドルのコミュニティ投資ラウンド開始
舞台裏》黄国昌氏を不機嫌にさせる人はいない!台湾・民衆党の「黄国昌保護党」の運営方法とは?
U-NEXT、「i-dle」さいたまスーパーアリーナ公演を12月25日に独占ライブ配信
ロイヤルホスト、2026年福袋を発表 人気メニューが福袋に「ロイヤルホスト デリの福袋 2026」2種を数量限定販売
長崎県、Yahoo!ショッピングに公式店「ながおしセレクト」開店 ご当地グルメ・特産品176商品を展開
Yahoo!ショッピング社員が「サンタ」に クリスマスイブに家庭訪問しプレゼントを届ける特別プロジェクトを実施
気候変動対策は失速するのか 江守正多氏がCOP30と米国の動向を解説
駐日韓国大使が初会見 国交正常化60年で「揺るぎない日韓関係の構築」を強調
SNS拡大が日本政治に影響 専門家が「虚偽情報」と匿名文化に警鐘
Netflix『ボーイフレンド』シーズン2、2026年1月13日配信へ 舞台は冬の北海道