福島第一原発の廃炉、本格デブリ取り出しまで「12~15年」 保管場所不足に強い懸念

NDFの更田豊志・廃炉総括監は10日の会見で、福島第一原発の燃料デブリ本格取り出しに向けた準備に12〜15年かかるとの見通しに触れつつ、敷地内での廃棄物保管の限界や、事故の教訓である「慢心」への警戒を強く訴えた 。(写真/日本記者クラブ提供)
NDFの更田豊志・廃炉総括監は10日の会見で、福島第一原発の燃料デブリ本格取り出しに向けた準備に12〜15年かかるとの見通しに触れつつ、敷地内での廃棄物保管の限界や、事故の教訓である「慢心」への警戒を強く訴えた 。(写真/日本記者クラブ提供)

原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の更田豊志・廃炉総括監は10日、日本記者クラブで会見を行い、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉進捗について語った。更田氏は、燃料デブリの本格的な取り出しに向けた準備工程に「12年から15年かかる」との見通しが東京電力から示されていることに触れ、取り出した廃棄物の保管場所が敷地内で不足する可能性など、今後の課題について強い懸念を示した。

政府と東京電力は2051年の廃炉完了を目標としているが、更田氏は燃料デブリ取り出しの現状について、試験的な採取にとどまり本格作業には着手できていないとした

直近の小委員会で東京電力は、本格的な取り出し(最初のひとつかみ)までの準備工程に12年から15年かかると報告している。更田氏は、廃炉作業において最も困難なのは「取り出し」そのものではなく、取り出した後の「廃棄物との戦い」であると指摘した

デブリは取り出し後に金属製容器に入れて管理するため、元の体積よりも大きくなる。更田氏は「あの敷地の中だけでは出てくる廃棄物を管理できない可能性がある」と述べ、革新的な保管方法を考案しない限り、廃棄物保管建屋の建設が追いつかず、取り出し作業を待たざるを得ない状況が生まれかねないと警告した

デブリの取り出し工法については、原子炉建屋全体を水没させる「冠水工法」は耐震性や漏水リスクの観点から「無理だろう」と判断され、「気中工法」で進めざるを得ないと説明した。現在は「横アクセス」を主軸とし、上部からのアクセスは補助的に用いる考え方が主流になりつつある

また、これまでの調査分析により、格納容器上部の「シールドプラグ」が極めて高濃度に汚染されていることが判明した。特に2号機と3号機では10〜20ペタベクレル(環境中に放出されたセシウム137の総量に匹敵または凌駕するレベル)の放射能量があると見られており、廃炉作業の困難さを示している

リスクコミュニケーションと「慢心」への戒め

更田氏は、事故の根本原因として、スリーマイル島やチェルノブイリの事故を「対岸の火事」と捉え、「日本では起きない」とした「慢心」があったと振り返った

現在の廃炉プロセスにおける地域社会との対話については、行政や企業に「パターナリズム(父権主義)」がいまだに残っていると指摘。「情報を共有するには早すぎる」として不確実な情報の公表をためらう姿勢が透明性を損なっているとし、意思決定の過程により多くのステークホルダーを参加させる重要性を強調した

現状の安全性

現在の福島第一原発の状況について、更田氏は「崩壊熱は十分に下がっており、冷却という点では空冷でも十分」との見解を示した。燃料が再び溶融するようなエネルギーはなく、運転中の原子炉に比べればリスクは低いとしつつも、建屋の劣化や将来の地震への備えが必要であり、放置はできないと述べた

編集:小田菜々香

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