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ディズニーが10億ドルでOpenAIに出資!「スター・ウォーズ」や「マーベル」をSoraに独占ライセンス、ハリウッドに失業の波が懸念 ディズニーとOpenAIの提携は、クリエイター団体から強い反応を呼んでいる。アニメーターズ・ギルド会長のダニー・リン氏は、キャラクターの商業価値がクリエイターの労働成果から生まれるため、報酬分配が今後の焦点になると指摘している。(画像/スマートコンテンツセンター提供)
世界的エンターテインメントの巨頭ディズニー(Disney)は、OpenAIに10億ドルを投資して株式を取得すると同時に、同社のAI動画生成ツール「Sora」に対し、『スター・ウォーズ』(Star Wars)、『マーベル』(Marvel)、『ピクサー』(Pixar)などのシリーズキャラクターの使用権を付与すると発表した。この提携は業界に激震を走らせただけでなく、ハリウッドのコンテンツ制作のあり方を根本から覆す可能性がある。
関係者によると、OpenAIはこの取引が公になる前に、ディズニー幹部向けにSoraの技術デモを実施した。その際、ディズニー側はOpenAIが「著作権とクリエイターに関する問題について建設的な対話を行う姿勢」を示したことを高く評価し、交渉が順調に進展したという。合意内容によると、ユーザーが生成したAI動画の一部はDisney+(ディズニープラス)で配信可能になる予定で、これはディズニーがユーザー生成コンテンツ(UGC)領域へ正式に参入し、ショート動画ブームの波に乗ることを意味している。
なぜこの提携が「ハリウッドの転換点」なのか 米CNNの報道によれば、これは単なるライセンス契約ではない。関係筋の話では、ディズニーはOpenAIの株式取得に加え、追加の株式購入が可能な新株予約権(ワラント)も取得しており、さらに社内にChatGPTを導入してアニメーターやクリエイターの制作プロセス効率化を支援するという。また、OpenAIのモデルはDisney+の会員体験にも組み込まれ、ユーザーはChatGPTを通じてキャラクターと対話型コミュニケーションを楽しめるようになる可能性がある。
スケジュール通りに進めば、来年初頭にはSoraとChatGPT Imagesを使って、ミッキーマウス、シンデレラ、アイアンマン、ヨーダといった許諾済みキャラクターのAI動画生成が開始される見込みだ。ただし、個人の権利侵害を防ぐため、俳優の「肖像と声」の使用権は明確に除外されており、これはディズニーが法的リスクとブランドの安全性を守るための堅実な防衛策と見なされている。
ディズニーはいかにして「革新」と「クリエイターの権利」を両立させるか ディズニーとOpenAIの提携は、クリエイターの労働組合から強い反発を招いている。アニメーション・ギルド(The Animation Guild)のダニー・リン会長は、「アニメーターはキャラクターの著作権を持たないが、その商業的価値はクリエイターの労働成果によるものだ」と指摘し、報酬配分が今後の交渉の焦点になると述べた。全米脚本家組合(WGA)も、会員の創作物がAI動画にどう使用されるか開示を求めるとし、この提携を「クリエイターの価値をテクノロジー企業に譲り渡すものだ」と批判している。
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一方、俳優やエンターテインメント業界の労働者を代表する映画俳優組合(SAG-AFTRA)は、ディズニーとOpenAIが「組合側と自発的に対話を行い、技術の倫理的かつ責任ある使用を約束した」と明かし、映像、肖像、声、演技、知的財産権の保護措置が含まれるとしている。しかし市場アナリストらは、組合の影響力には限界があり、AIによるコンテンツ制作拡大の流れを止めるのは難しいと見ている。
なぜGoogleや他のテック大手ではなく、OpenAIだったのか 海外メディアの評論は、「ディズニーとOpenAIの取引は、将来のAIによる混乱に対する10億ドルのヘッジ(保険)だ」と指摘している。法学者のマシュー・サグ氏は次のように分析する。「Midjourney(ミッドジャーニー)では規模が小さすぎ、Googleでは大きすぎる。ディズニーとGoogleはあまりに多くの問題で利益が相反している(YouTubeを考えれば明らかだ)」。
この分析は2つの点を示唆している。第一に、Googleは巨大すぎて商業的な競合が多く、株式提携には向かないこと。第二に、Midjourneyでは影響力が不足しており、ディズニーの世界戦略を支えきれないことだ。その点、OpenAIの規模、ブランド力、柔軟性は「ちょうど良い」選択肢だったといえる。
ディズニーのボブ・アイガーCEOは、CNBCの番組『スクホーク・オン・ザ・ストリート(Squawk on the Street)』のインタビューで、この3年間のライセンス契約においてOpenAIに約1年間の独占期間を与え、その後は他のAI企業にも門戸を開くと説明した。アイガー氏は「我々は常に技術の進歩を脅威ではなく好機と捉えている。技術の進化を止められた世代はなく、我々もその最初の世代になるつもりはない」と強調。ディズニーがAIを拒絶するのではなく、主動的に新技術を受け入れる姿勢を明確にした。
Soraでユーザーはどんなコンテンツを作れるのか 双方の説明によると、OpenAIはユーザーによる違法・危険・不適切な年齢制限コンテンツの作成を許可せず、動画の長さも30秒以内に制限するという。アイガー氏はインタビューで、「これらはあくまで30秒の動画であり、短編映画や映画製作の話ではない」と強調。この機能の目的は、若い視聴者が新しい方法でキャラクターと交流することにあり、映画制作の代替ではないと述べた。
OpenAIにとって、この提携は「約200体のディズニーキャラクター」をAI動画生成ツールに供給できるだけでなく、資金調達とブランドのお墨付きを得ることを意味する。ディズニーにとっては、AIコンテンツの波の最前線に立つための入場券を得ると同時に、自社キャラクターが管理されたコンプライアンス順守下で使用されることを保証できる。将来、Soraで生成された動画がDisney+で配信されれば、視聴者は単なる消費者から、コンテンツクリエイターの一員へと変わるだろう。
アナリストはこの「10億ドルの賭け」をどう見るか アナリストらは概ね、この10億ドルという金額自体は巨額ではないものの、AIコンテンツの勢力図において極めて重要な意味を持つと見ている。ディズニーは株式とライセンス収入を得られ、OpenAIは著作権侵害訴訟のリスクを回避できるため、相互に利益のあるバランスが成立しているからだ。アイガー氏の戦略には、貴重なIP(知的財産)をAI生成コンテンツという「グレーゾーン」に投入することでブランド価値を希薄化させるリスクもある。しかし、もしサム・アルトマン氏(OpenAI CEO)の言う通り、AIがエンターテインメント制作のあり方を変えるのであれば、ディズニーのこの一手は、将来の主導権を確保するための決定的な布石となるかもしれない。
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