米下院、台湾へ3500億円規模の軍事支援法案を可決 無償資金と融資で「対中抑止」強化へ

米連邦下院は、台湾の防衛能力強化を目的に総額約23億ドル(約3,500億円)規模の「軍事融資および融資保証」を提供する計画だ。(写真/柯承惠撮影)
米連邦下院は、台湾の防衛能力強化を目的に総額約23億ドル(約3,500億円)規模の「軍事融資および融資保証」を提供する計画だ。(写真/柯承惠撮影)

米国議会が台湾支援に向けた強力なシグナルを発した。米連邦下院はこのほど、台湾に対し総額約23億米ドル(約3,500億円)規模の「軍事融資および融資保証」を提供する法案を圧倒的多数で可決した。これにより台湾の防衛能力を強化し、台湾海峡の安全保障における抑止力を高める狙いがある。

3億ドルの無償資金と20億ドルの融資枠

法案内容によると、米国務省の「対外軍事融資(FMF)」プログラムを通じて、3億ドル(約465億円)を無償資金として直接拠出する。これは米国製兵器の調達や軍事サービス、関連訓練に充てられる。さらに、最大20億ドル(約3,100億円)の融資および融資保証枠を設定し、台湾が長期的な自衛能力への投資を行えるよう支援する。関係者は、これが台湾の防空・反撃能力の強化に寄与するだけでなく、インド太平洋地域の安全保障を安定させる重要な支点になると指摘している。

また法案では、国務長官が海外援助を配分する際、受給国が国連システム内で台湾のオブザーバー資格取得を支持しているかどうかを考慮しなければならないと規定しており、制度設計を通じて台湾の国際的空間を拡大しようとする意図も盛り込まれている。

AITやフィリピンにも資金、包括的なインド太平洋戦略

支援対象は台湾だけにとどまらない。法案は米国在台協会(AIT)に3590万ドル(約55.6億円)、フィリピンへの軍事融資として1億ドル(約155億円)を割り当てており、米国がインド太平洋地域の安全保障において「多角的アプローチ」をとっていることを示している。米議会関係委員会は、全体的な設計目的は、高まる地政学的圧力に対応し、地域の同盟国の能力を強化することにあるとしている。

さらに、中国の近年における世界的な影響力拡大に対抗するため、「中国の影響力対抗基金」の設立に4億ドル(約620億円)、インド太平洋における米国の安全保障利益の推進に18億ドル(約2,790億円)が計上された。

中国リスクを明記、金融・人材の流出防止へ

経済・制度面においては、多国間開発銀行が中国へ融資を継続することに反対し、中国の出資比率引き上げを阻止するよう求めている。同時に、国務省と国防総省に対し、外国の「人材招致計画(千人計画など)」が米国の国家安全保障に及ぼす潜在的脅威を防ぐため、協力を強化することも求めた。

米議員「武器の引き渡し加速を」

下院「中国共産党との戦略的競争に関する特別委員会」のジョン・ムーレナー委員長(共和党)は、「ここ1ヶ月、台湾はサイバー攻撃や人民解放軍の演習圧力に晒され続けている」と指摘。この立法は台湾の防衛力強化に資するものであり、トランプ米大統領が先導した対台湾武器売却の流れを汲むものだと述べた。その上で、「将来起こりうる台湾海峡の危機に備えるため、米国は台湾への武器引き渡し速度を上げなければならない」と強調した。

今後の焦点は上院審議

立法手続き上、法案は今後、米上院の審議に送られ、下院と同内容で可決された後、大統領の署名を経て正式に発効する。法案が成立すれば、台湾の安全保障がさらに強化されるだけでなく、インド太平洋地域における米国の戦略的影響力が強固になり、地域情勢にとって重要な「安定の要」になるとの見方が広がっている。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp

最新ニュース
TSMC、2026年は「異例の好スタート」 Q1売上高358億ドル見通し、粗利益率は65%へ挑戦
「チケットの適正な流通」がライブエンタメの未来を支える――チケットプラス取締役・飯沼裕樹氏が独自インタビュー
TSMC決算、四半期売上高が初の「1兆台湾ドル」突破 EPSは過去最高、先端プロセス比率77%に到達
米マケイン研究所「セドナ・フォーラム」初の東京開催、シュライバー氏はトランプ政権の「戦略的曖昧さ」回帰を指摘
TSMC、2ナノの歩留まり「驚異的」、A16は26年後半に量産へ 魏会長が宣言「唯一の頭痛の種は供給不足」
「TSMCの対米投資だけでは台湾を救えない」専門家が警鐘 米通商拡大法232条発動で、対米輸出7割に打撃の恐れ
舞台裏》台南市長予備選、陳亭妃氏はなぜ頼総統の愛弟子を破ったのか?最大の勝因は皮肉にも「頼清徳」自身だった
習近平氏はいかに「自由世界の喉元」を握ったのか NYTが解き明かす中国レアアース覇権、60年の布石
【現地レポ】JR山手線・京浜東北線が全線見合わせ 変電所トラブルと火災、午後1時すぎに全線再開
在留外国人に「社会規範」習得を義務化へ 政府有識者会議が提言、土地取得規制も
片山財務相、「自公」決別と「自維連立」の意義を強調 ガソリン税廃止で現役世代の支持回復へ
安倍昭恵氏、習近平夫人へ「手紙」送っていた 亡き夫の遺志と「対中外交」の秘話を語る 鈴木桂治氏らと「ソフトパワー」議論
FPCJ創立50周年、児玉理事長「信頼される日本の姿を世界へ」
AppleがGoogleと手を組んだ裏事情とは?著名アナリストが分析する苦渋の決断「今年のWWDCは失敗が許されない」
SGAのロゴマン封入! NBA公式ストア、「Topps Chrome」最新作を1月16日発売 1人5箱まで
中国の対台湾認知戦、偽情報231万件超 台湾当局が5大手法を暴露「AIで市民の声を収集・偽造も」
米軍はイランを攻撃しないのか? トランプ氏「テヘランは処刑を止めつつある」と主張も、軍事オプションの放棄は明言せず
北京観察》取り締まるほど腐敗が深刻化? 習近平氏が「トップ自ら反腐敗」を指示 金融・国有企業・たばこ・医薬業界で新たな大粛清へ
Gemini「パーソナライズドAIサービス」正式開始! 新機能は何が変わる?Gmail・YouTube・写真との連携や有効化手順を一挙公開
中国軍「戦死10万人」でも習近平氏は止まらない?米報告書が描く悪夢と、北京を黙らせる唯一の条件
米中ハイテク戦争、米政府の「輸出許可」も無意味か 中国税関、エヌビディア「H200」の輸入を実質禁止へ
タイで中国支援の高速鉄道工事現場からクレーン倒壊、走行中の列車を直撃 死者31人の大惨事に
【単独インタビュー】2026年はリアルイベント開催へ SOD初の台湾人専属女優・齋齋いつきが語るアンチへの本音「本業に集中するだけ」
ノーベル賞学者スティグリッツ氏が語る「台湾病」の正体 「高い住宅価格が若者の自由を奪う」
WBSCプレミア12、2027年大会は日本・台湾ら本戦直行 中国で初の予選開催、出場チーム発表
茂木外相、タイ・ナコーンラーチャシーマー県の列車事故で哀悼の意を表明
1.25兆台湾ドルの国防予算、対米武器購入は「一部のみ」か 台湾民衆党・黄国昌主席が明かす米側との協議内容
木村拓哉さんがアンバサダーのOWNDAYS、新宿東口に新旗艦店オープン 生成AI接客やスマートロッカー初導入
【WBC】2026公式オンラインストア、1月15日開設 侍ジャパンや台湾代表などグッズ500種以上
「推し活」を進化させる最新技術が幕張に集結 ライブ・エンターテイメントEXPO、21日開幕
森ビル運営の3つのヒルズで冬の「あったかグルメ」が展開 鍋・おでん・スープなど多彩なメニューが集結
韓国検察、尹錫悦前大統領に「死刑」求刑 戒厳令は「内乱」、憲政史上最大の汚点に
【独自】記者暴行にパワハラ疑惑 国民党・鄭麗文体制を揺るがす「側近」の暴走
「救済は間もなく到来する」トランプ氏、イラン介入を示唆 サイバー攻撃から核施設空爆まで検討か
蔡英文前総統が2026年の春節飾り「福気加碼」を発表 幸福と収入アップを願う
李忠謙コラム:ベネズエラ侵攻は「中国への贈り物」か ミアシャイマーが読み解くトランプ「新・帝国主義」の危うさ
歴代邦画実写No.1記録の映画『国宝』展がGinza Sony Parkで開催へ 吉沢亮の撮影現場に密着した特別写真展も同時開催
北京観測》中国、「言葉だけの好景気」に見切り 若者の香港預金殺到、2026年「資産封鎖」への警戒感
トランプ氏、グリーンランド併合へ「3つの極秘シナリオ」 住民は「米国人お断り」
「少数与党」の窮地打開へ、高市首相が「電撃戦」か 2月8日投開票の可能性
城内実・経済財政担当相、高市内閣の「サナエノミクス」全容を語る 「年収の壁」178万円へ引き上げ、子ども1人2万円給付も
イラン暴動、死者116人超 トランプ氏が「軍事介入」を示唆する真意とは?自由のためか、石油のためか
ウクライナ避難民、在留1956人に、3割超が東京に集中 入国ペースは月10人前後へ減少 入管庁・2025年末時点速報値
【独占】台湾ドローン大手・銘旺科技、「空飛ぶエッジAI」で世界へ 国家チーム結成、東南アジア第2の大国と提携、国際戦略を加速
【外国人材】5年間で「123万人」受入れへ 新制度「育成就労」と特定技能の運用方針案が判明
「トランプ氏はむき出しの帝国主義」東大・佐橋教授が警鐘 日本国内で浮上する「プランB(核武装論)」の誘惑
高市首相、韓国・李在明大統領と会談 安保・経済連携と「シャトル外交」活発化で一致
TSMC米工場「5棟追加」か 台湾株先物3万1000突破、関税15%で合意報道
【イラン抗議デモ全貌】政権崩壊のカウントダウン 経済破綻と弾圧激化、米国は軍事介入も示唆
米中和解でも「最大の戦場はインド太平洋」 パパロ米司令官が警告、尖閣・台湾への圧力懸念