李忠謙コラム:ベネズエラ侵攻は「中国への贈り物」か ミアシャイマーが読み解くトランプ「新・帝国主義」の危うさ

2026年1月5日、フィリピン・マニラの米国大使館付近で行われた抗議活動。ドナルド・トランプ米大統領によるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領拘束を非難するデモ参加者ら。(写真/AP通信提供)
2026年1月5日、フィリピン・マニラの米国大使館付近で行われた抗議活動。ドナルド・トランプ米大統領によるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領拘束を非難するデモ参加者ら。(写真/AP通信提供)

「ドナルド・トランプ氏が2016年の大統領選に出馬した時点から、彼が自由主義的覇権を大失敗と見なし、その中の主要な戦略のいくつかを破棄したがっていることは明らかだった。しかし、本書の執筆時点では、彼がどのような外交政策を追求するかを判断するのは困難だった。次に、中国の台頭とロシアの再台頭により強権政治が再び表面化したことを踏まえれば、たとえ現実主義が国内で相当な抵抗を受けたとしても、最終的にトランプ氏は現実主義に基づいた戦略を立案せざるを得なくなると考えるのが妥当だろう」

――ジョン・ミアシャイマー氏『大いなる幻想』第1章(2019年)

国際関係理論における「攻勢的現実主義(オフェンシブ・リアリズム)」の大家であるシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、自由主義は国際政治の指導理論として不適切であると主張してきた。ミアシャイマー氏によれば、より多くの国を自由民主主義へと導き、開放的な国際経済を提唱し、さまざまな国際体制を構築しようとする「自由主義的戦略」を掲げる覇権国家は、結局のところ事態を混乱させるだけであることが証明されている。外交政策を考える上での真の拠り所は、民族自決を重視する「ナショナリズム」と、国家の生存と勢力均衡を追求する「リアリズム(現実主義)」にあるというのだ。

米政府はウッドロウ・ウィルソン氏からフランクリン・ルーズベルト氏、ロナルド・レーガン氏、そしてジョージ・W・ブッシュ氏に至るまで、常に自由主義的覇権を信奉してきた。ミアシャイマー氏は、これこそが米国が絶えず戦争の泥沼に陥り、国際紛争を緩和できず、核拡散やテロリズムを増長させている問題の核心であると指摘する。同氏は7年前に著書『大いなる幻想:自由主義の夢と国際政治の現実』を執筆し、米政府に転換を促そうとした。当時、同氏はトランプ政権の誕生に一定の期待を寄せていた。それから7年が経過し、ドナルド・トランプ氏は二度目のホワイトハウス入りを果たした。ワシントンの権力構造を熟知したトランプ氏は、今回、政権を「身内」で固め、イランへの空爆やベネズエラへの軍事侵攻、グリーンランド買収の準備など、より大胆な行動に打って出ている。 (関連記事: 舞台裏》アメリカが私たちに伝えた真実 軍高官:台湾の防衛能力と実際に必要な能力には『大きな差がある』 関連記事をもっと読む

しかし、これはミアシャイマー氏が期待していた「現実主義の瞬間」なのだろうか。これにより、米国の国際的地位や生存危機は改善されるのだろうか。ミアシャイマー氏は最近のインタビューで、トランプ氏は現実主義の信奉者ではなく、「映画『悪魔のいけにえ(テキサス・チェーンソー・マサカー)』の登場人物のようなキャラクターだ」と断言した。トランプ政権の振る舞いは、現実主義(あるいはメディアが最近頻繁に言及するモンロー主義)というよりも、自由主義という偽装を完全にかなぐり捨て、動機を隠そうともしない「帝国主義」や「新植民地主義」的な強権発動に近い。その結果、米国の国際的な立場や中国との競争は、より不利な状況に陥る恐れがあるという。

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