野依良治氏、日本の科学・教育における「危機」と「ガラパゴス化」を警告 若者の海外離れと大学の自律性喪失に懸念

野依良治氏は、日本の科学・教育が政府の過度な管理と内向き志向により「危機的状況」にあると警告し、若者の海外挑戦と大学の自律性回復を強く訴えた。(写真/FCCJ提供)
野依良治氏は、日本の科学・教育が政府の過度な管理と内向き志向により「危機的状況」にあると警告し、若者の海外挑戦と大学の自律性回復を強く訴えた。(写真/FCCJ提供)

2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治・名古屋大学特別教授は、日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた記者会見において、近年の日本人研究者によるノーベル賞受賞を祝福しつつも、現在の日本の教育およびアカデミアが「危機状態」にあると強い懸念を表明した

野依氏は、日本の研究はもはや世界一ではなく、2年前の科学誌『ネイチャー』においてもその地位低下が指摘されたことや、論文の被引用数(サイテーションレート)においてかつては米国に次ぐ位置にあった日本が、現在では中国などの台頭により相対的に地位を低下させている現状を指摘した。さらに、スイスのビジネススクールIMDによる世界競争力ランキングにおいて、日本がかつてのトップポジションから38位まで転落しているデータを示し、技術的な停滞以上に「リーダーシップの危機」であると断じた

野依氏は、日本の科学界が直面する問題として、国際的な連携の欠如と「ガラパゴス化」を挙げた。特に若い世代が海外へ出ようとしない現状について、米国で学ぶ日本人大学院生がわずか115名にとどまっている(中国やインドと比較して極端に少ない)ことを憂慮し、その背景には大学名偏重の「悪い文化」や、海外に出ることで国内での就職機会を失うことへの恐怖があると分析した

同氏は、知識は輸入できても経験は輸入できないとし、若者がリスクを恐れず海外で経験を積むことの重要性を説くとともに、教育システムが過度に標準化・管理化されている現状を批判した

また、大学や研究機関のあり方についても言及し、文部科学省による管理・統制が強まる一方で、大学側もその管理下にあることを「安全」と感じて自律性を失っていると指摘。政府の研究資金配分が「選択と集中」の原則により特定の分野に偏り、自由な研究活動が阻害されている現状を問題視した

野依氏は、科学には「自由」が不可欠であり、研究者が政府の顔色をうかがうことなく、自らの意志で研究を行える環境を取り戻すべきだと訴えた。一方で、日本の科学には「暗黙知(Tacit Knowledge)」を含む日本独自の文化が根付いており、欧米の科学とは異なるその独自性(ユニークさ)こそが強みであり、誇るべきものであるとも強調した

会見の結びとして、野依氏はイノベーションには長い時間が必要であることを、30〜40年前の発見が現在評価されている近年のノーベル賞受賞者を例に説明し、長期的視点の必要性を説いた

その上で、日本が直面する課題を解決するためには、海外からの人材登用を含めた多様性の確保と協力が不可欠であり、若者が自由に道を選び、挑戦できる社会環境の整備こそが、日本の再生と科学の発展につながる唯一の道であると締めくくった

編集:小田菜々香

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