トップ ニュース 衛星が捉えた大連造船所の「謎の四角いコンテナ」 日米シンクタンク警告、中国の原子力空母構想が現実味
衛星が捉えた大連造船所の「謎の四角いコンテナ」 日米シンクタンク警告、中国の原子力空母構想が現実味 2017年7月7日、中国初の航空母艦「遼寧」が香港に寄港し、解放軍駐港部隊の駐留20周年を祝う。(AP通信)
日本のシンクタンク「国家基本問題研究所(JINF)」が先日、衝撃的な報告をまとめた。高解像度の衛星画像を分析した結果、中国初の国産空母「山東」が建造された大連造船所において、「原子炉格納容器」とみられる巨大なコンポーネントが発見されたのだ。これは、中国の第4隻目となる空母(004型)が原子力推進を採用する可能性が極めて高いことを示唆している。同時に北京の海洋野心が、近海を守る「グリーンウォーター(沿岸海軍)」から、世界中に展開可能な「ブルーウォーター(遠洋海軍)」へと、技術的な最後のハードルを越えて突き進んでいることを象徴している。
太平洋の反対側でも、米国国防総省(ペンタゴン)やワシントンのシンクタンクが同様の警告を発している。中国の造船スピードは驚異的な「20ヶ月に1隻」というペースに達しており、2035年以降、太平洋で展開可能な空母の数において、中国海軍が初めて米国を追い抜く恐れが出てきた。
二つの神秘的な容器 JINFが12月1日に公開した報告書 によると、大連で建造中の第4隻目の空母は、2025年に入り工事進捗が著しく加速した。衛星画像によれば、今年2月に乾ドック内で船底を支える「角材マトリックス(支持台)」が確認され、11月には船体下部の外形が姿を現した。特に分析官の注目を集めたのは、ドック内に置かれたサイズ14メートルと16メートルの「二つの四角い容器状の物体」である。
研究員の中川真紀氏は、これらの部品のサイズや形状が、米国の原子力空母に搭載されている「原子炉格納容器(Reactor Containment Vessel)」に酷似していると指摘する。現代の海軍工学では、生存性と継戦能力を確保するため、米軍のニミッツ級や仏軍のシャルル・ド・ゴールのように、原子力空母は通常2基の原子炉を搭載する。一方が故障しても、もう一方が動力を供給し、航行と作戦を継続するためだ。
もしこの推測が正しければ、中国海軍の発展における歴史的な分岐点となるだろう。人民解放軍は原子力潜水艦の運用経験はあるが、原子炉を小型化し、数万トン級の水上戦闘艦に統合する技術的難易度は、潜水艦の比ではない。原子力推進は「燃料補給艦」の制約を受けない無限の航続距離を意味し、中国海軍は西太平洋やインド洋に長期間居座ることが可能になる。これは、「反介入/領域拒否(A2/AD)」戦略を遂行する人民解放軍にとって、極めて重要な意味を持つ。
ペンタゴンの焦燥:2035年のゴールデンクロス JINFが分析結果を発表した翌日、『日経アジア』はペンタゴンが発表した最新の『中国軍事力報告(CMPR)』を引用し、中国海軍が2035年までに新空母6隻を建造し、保有総数が9隻に達する見込みであると報じた。これは、以前に西側の情報機関が予測していた「6隻」という数字を大幅に上回る。
「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」のシニアフェローであり、元米海軍潜水艦士官のトム・シュガート氏によれば、「もし解放軍が今後10年で6隻の空母を確保するつもりなら、平均して20ヶ月に1隻のペースで新造していることになる」という。シュガート氏は、米海軍の現在の空母建造周期が約4~5年であることを挙げ、そのスピードの差を強調した。
「アメリカ企業研究所(AEI)」の研究員であるライアン・フェダシュク氏は、この脅威を次のように数値化している。「これは過去の推定値から5割増しのペースだ。中国の空母打撃群の規模が、米国に肉薄しつつあることを意味している」。米国は現在11隻の原子力空母を保有しているが、シュガート氏の分析では、これらは全世界の海域に分散して配置されている。米海軍が「太平洋60%、大西洋40%」という兵力配分を維持したとしても、大規模修理(RCOH)や訓練、移動時間を差し引くと、特定の時点で西太平洋に即応投入できるのは7隻、あるいはそれ以下となる可能性がある。
対照的に、中国の9隻の空母は、そのほぼすべてを西太平洋という単一戦域に集中させることができる。
「北京が9隻という軌道に乗れば、西太平洋に集結できる空母の数で、米国を凌駕する瞬間が訪れる」とフェダシュク氏は警告する。これは台湾海峡や南シナ海で衝突が起きた際、決定的な局面で人民解放軍が一時的な海空優勢を握る可能性を意味している。
中国は建造スピードにおいて驚異的な成果を上げているものの、高度な特殊材料や原子炉の運用の安定性、そして空母打撃群としての統合作戦能力や要員の質が、ハードウェアの進化に追いつけるかは不透明だ。シュガート氏は「中国は今後10年で爆発的な建設を行い、米海軍との『対等(パリティ)』を目指すだろう。これは2049年までに『世界一流の軍隊』を構築するという目標の一環だ」と、慎重ながらもその執念を指摘している。
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