中国人民解放軍(PLA)の中央軍事委員会は今週月曜日、北京の八一大楼(ビル)で将官昇進式を行い、中央軍事委主席の習近平氏が出席した。式典は中央軍事委副主席の張升民氏が主宰した。
中国中央テレビ(CCTV)のニュース映像によると、かつて40人以上いた上将(大将)は、現在はわずか6人にまで減っている。反腐敗闘争が高圧的に進むPLA内部の状況下で、今年初の昇進式となった。過去2年は年3~4回実施されており、今年の回数減少は内部闘争の激化を示唆している。加えて、PLAは「空軍部隊における不正調達問題」に関する公告も発表しており、複数回にわたって空軍高層に波及する可能性がある。反腐敗の圧力は今後も続く見通しだ。
昇進式が映し出す軍内“粛清”の現実
今回、上将に昇進したのは、いずれも空軍出身の東部戦区司令員・楊志斌氏と、中部戦区司令員・韓勝延氏である。
楊志斌氏は、空軍上海・福州指揮所司令、蘭州軍区空軍参謀長、南部・西部戦区副司令員などを歴任し、2011年に少将、2021年に中将、2025年12月に上将へ昇進した。韓勝延氏は、今年の「九三軍事パレード」で総指揮を務め、軍改前の2016年には蘭州軍区空軍参謀長、成都軍区空軍副司令員を務め、西部戦区発足時の初代副司令員でもある。
中部・東部戦区司令員の昇進は、日中関係の緊張や台湾海峡情勢の複雑化を背景にした人事とみられる。台湾問題と日本問題は性質が異なるものの、関連する防空戦力の低下は許されないとの判断がある。また、渤海・黄海周辺での日本側の動きを北京が注視しており、沿岸部での空軍訓練が近ごろ活発化している点も影響している。
中部戦区の昇進は、将来の戦区間の後方・戦備調整機能を重視した人事とみられる。中部戦区は北京、河北、山東、山西を含み、首都防衛の要であり、非常時の治安安定任務を担うなど、政治安全の観点が強い。
かつて上将が約40人いた規模に比べ、今回の昇進式で壇下にいたのは6人のみで、空軍司令員の常丁求氏、空軍政治委員の郭普校氏、陸軍政治委員の陳輝氏、国防大学校長の蕭天亮氏らは姿を見せなかった。台湾海峡の「先鋒作戦指揮」を担った何衛東氏の失脚後、2027年にPLAが台湾侵攻能力を保持できるのかを疑問視する声も出ている。
ただし、今回昇進した上将が「短命」に終わるかどうかは、なお見極めが必要だ。
空軍における不正入札問題に焦点 今後の発展の重点対象に
中央軍事委は今月15日、空軍部隊が実施する物資・サービス調達に関する不正(入札代理機関が関与する案件を含む)について通報を受け付けるとの公告を出した。需要策定、審査、契約履行、業者処分、代理機関選定、オンライン調達などが対象で、実名での郵送通報も可能としている。
過去にも反腐敗関連の公告はあったが、単一軍種を名指しして対外公表するのは初めてで、意味は大きい。前中央軍事委の李尚福氏の案件でロケット軍の調達不正が問題化した後、数カ月に及ぶ是正が行われ、入札禁止業者リストの公表などが実施された。今回の空軍への照準は、空防戦力の安定性が初動戦闘力の成否を左右するとの認識を裏付ける。
現時点で空軍の上将が失脚したとの情報は出ていないが、慣例上、来年初頭には新たな是正の動きが起きる可能性が高い。

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編集:佐野華美

















































