防衛費、過去最大9兆353億円を計上へ 無人機やミサイル防衛網「SHIELD」構築、航空宇宙自衛隊創設など抜本的強化

政府は26日、過去最大の9兆353億円を計上した2026年度防衛予算案を決定し、「航空宇宙自衛隊」への改編や無人機防御網「SHIELD」構築、弾薬庫増設などで防衛力強化を進める転換点を迎えた。(写真/黃信維撮影)
政府は26日、過去最大の9兆353億円を計上した2026年度防衛予算案を決定し、「航空宇宙自衛隊」への改編や無人機防御網「SHIELD」構築、弾薬庫増設などで防衛力強化を進める転換点を迎えた。(写真/黃信維撮影)

日本政府は26日、防衛力整備計画の4年目となる2026年度(令和8年度)の防衛予算案を決定した。予算の総額は9兆353億円で、前年度比3.8%増となり、史上初めて9兆円の大台を突破し、過去最大を更新することになった。

この予算案は、高市早苗政権が引き継ぎ、推進している「防衛力抜本的強化」の総仕上げとして位置づけられており、従来の装備体系から脱却し、戦術や戦い方の改革を鮮明に打ち出している。無人機(ドローン)の大量導入や長射程ミサイルの量産加速、航空自衛隊の「航空宇宙自衛隊」への改称・改編など、装備面での強化に加え、継戦能力を高めるための弾薬庫の増設や、人材基盤強化のための施策など、ハード・ソフト両面にわたる大規模な投資が含まれている。

特に、無人機を使った防衛能力の強化が大きな転換点となっており、陸・海・空の各領域で使用される10種類、数千機規模の無人機を整備するために、2773億円が計上された。この施策は「SHIELD」と呼ばれる構想の中心となり、無人機を多層的に組み合わせることで、有人装備の損耗を減らし、継続的な警戒監視や攻撃能力を維持しながら、沿岸防衛を効率的に強化することを目指している。

国内生産が整うまでは、海外製を主に調達し、2027年度内の体制構築を目指すとされている。また、相手の射程圏外から反撃可能な「スタンド・オフ・ミサイル」の整備には9733億円が充てられ、国産の「12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)」の開発・量産を加速させるほか、米国製の「トマホーク」や「JSM」を取得して、早期に相手の脅威圏外から反撃できる能力を確立する。

さらに、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称・改編する歴史的な変更が決定された。現代戦において非常に重要な宇宙領域での優位性を確保するため、航空と宇宙の領域を融合し、より高度な脅威に対応できる体制に進化させることを目指している。この改革に伴い、宇宙状況監視(SSA)能力の向上や、関連装備の研究開発にも重点的な投資が行われる予定だ。

一方、南西諸島の防衛体制強化は引き続き最重要課題として位置づけられ、沖縄県内の自衛隊施設整備に691億円が計上された。具体的には、陸上自衛隊の那覇駐屯地にある第15旅団を「師団」へと格上げする準備や、2027年度に配備予定の対空電子戦部隊の設置に向けた環境整備が進められる。

有事の際に戦闘を継続する能力(継戦能力)の要となる弾薬庫の増設には560億円が計上された。防衛省は2032年度までに全国で約130棟の増設を計画しており、既に北海道、青森、京都、大分、宮崎、鹿児島、沖縄など65棟の整備場所が決定している。しかし、この計画には地域社会で賛否が分かれている。

例えば、鹿児島県さつま町では、中岳の国有林に自衛隊施設の整備が決まったことに対し、建設業者の山崎隆氏が「人口減少が進む町の活性化に繋がる」として誘致を歓迎しており、経済効果への期待の声が上がる一方、町議会議員の武さとみ氏は「有事の際に最初に攻撃対象となり、住民の生活が脅かされる」と懸念を表明しており、地域で議論が分かれている。

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